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「中深海スロージギング」その魅力とベーシック的思考を清水一成が語る【前編】

アカムツに代表される中深海のスロージギングは、“釣りの組み立てが難しい”“なかなか釣れない”という負のイメージが先行してしまうためか、一歩足を踏み出すまでには至らない、という人も多い。確かに難しく、最初はなかなか釣れないかもしれない。だが、釣れるプロセスを理論として説明できるという釣りとしての面白さ、そして奥深さは、他の釣りにはない大きな魅力だ。そんな中深海スロージギングについて、第一人者のひとりである清水一成さんが解説する。

“すべてが必然”。中深海の魅力

中深海スロージギングの魅力とは何か? この釣りのエキスパートのひとりとして知られる、ダイワフィールドテスター・清水一成さんに単刀直入に聞いてみた。

「これは中深海に限ったことではなく、スロージギング全般に言えることですが、スロー以外のジギングでは、今どうやって釣ったのか? ということを案外しっかりと説明できないことがあると思います。ところが、スローの場合は釣れたことは偶然ではなく、すべて”必然”で説明できます。これがこの釣りの凄いところで、この釣りを説明する際の重要なキーワードになります」

とくに青物を対象としたジギング(ハイピッチなど)では、よく分からないままにガンガンしゃくっていたら、いきなり、もしくはたまたまヒットしてしまった、などということは珍しくない。

だが、スローの場合はこのようなケースはほとんどないのだという。

「スローは最初のしゃくりですべてが分かるような感じです。このタックルのセッティングなら釣れる、この潮では今は釣れない、といった具合です。つまり、必然的にロジックを組み立てていくことが可能で、そこに面白さがあります。だから私なりに中深海、スローの釣りの魅力をひと言で表すなら”偶然ではなくすべてが必然”ということになります」

すべてが必然、つまり”いま釣れたのはなぜか?”ということをしっかりと説明できるということは、”たまたま釣れた”ではなく、”自分で狙って釣った”ということ。これは単純に釣りとして面白い。

「そもそも中深海の釣り自体、魚が欲しいだけならジグでやる必要はないと思うんです。エサで釣れば、はっきり言ってジグより数釣れるでしょう。しかし、それをあえてジグで狙うということは、この釣りそのものに面白さや魅力を感じているからに他なりません」

そして釣れた理由を説明できるということは、”次につながる”ということでもある。ただ漠然と釣りをしているときと比べて、次に釣行した際も釣れる確率が高い、ということだ。再現性が高いのである。もちろん絶対はないが、釣れる確率が高いということは、アングラーにとっては非常に喜ばしいことであることは言うまでもない。

まずは”潮の抜け感”を体得しよう

どんな釣りでもそうだが、それなりの域に達するまでには多少の時間と授業料は必要だ。だが、このスロージギングは、そのレベルに達しさえしてしまえばかなりの確率で魚を引き出せるようになる、ということである。では、”そのレベル”に達するまでには、どんなことに気をつけて釣りをすればよいのだろうか?

「さらに詳しく”必然”というキーワードに沿って話を進めていくと、私たちは”ロッド(タックル)を合わせる”というキーワードをよく使います。これが非常に重要です。タックルを合わせるというのは主観になってしまいますが、水深や潮など様々な条件下で、ロッドに掛かる負荷、ルアーの重さ、ラインの張りなどを合わせていくんです。そうすると、そのタックルで1投目を入れた時点で”これなら釣れる”このタックルでは釣れない”ということが感覚的に分かるようになります」

具体的にどのようなプロセスなのかというと、たとえば「あ、いまタックルが合ってないな」と思うようなときは、フォールが少し速いから遅くしよう→ではジグを軽くしよう→でも中層が二枚潮になっていてラインが食われる(引っ張られる)からラインを細くしよう→ラインを細くするということはロッドが硬いと跳ねてしまうので、ロッドの番手も落とそう……となる。

このように、答え(釣果)までのプロセスをひとつのフォーマット化してしまうとよい、と清水さんは言う。

ただ、これを初心者にいきなりやれと言われても正直無理な話。前述のように、ここまでのレベルに達するまでは、それなりの時間と授業料が必要である。 では、初心者はどうしたらよいのか?

「エンドユーザーさんに伝えるのは、もちろん常に釣りたいという気持ちはあるのは当然だとは思いますが、”いつも釣れなくていい”ということです。要は、自分が釣れないときにどうするか、ということです。

自分に限らず同船者の誰かに魚がヒットしたら、『ああ、この潮でこの魚がヒットするんだ』ということを覚えておいていただきたいんです。また、どうやったらいいのか分からないときは、釣れた人とジグやロッド、ラインを合わせてくださいと伝えます。

そのセッティングでジグを引いたときの潮抜け感、ロッドに掛かる負荷が、釣れるときの潮抜け感なんです。もし毎回釣る人や同行するエキスパートの人がいるのなら、その人にタックルを借りてひとしゃくりさせてもらうのも手です。そこで多くの人は、こんなに違うの? と驚くはずです。

それで『あ、この軽さにもっていかないとダメなんだ』と理解してもらえます。この負荷をぜひ体感的に勉強していただきたいと思います。この釣りはジグのフォールのスピードも重要ですが、私たちはそれ以上に”潮抜け感?を意識しています」

その感覚を自分のなかで作り上げてしまえば、あとはどんな釣り場のどんな状況でもその感覚を作り出すことで、釣果が勝手についてくる、と清水さんは言う。

「これがこの釣りの凄いところです。だからまずは、この”抜けの良さ”を追求していただきたい。そこから次の段階、たとえば魚が食うレンジはどこなのかなど、他のいろいろなことを考えていくとよいでしょう」

▲清水さんのしゃくりは、力任せにジグを動かしている感じはまったくしない。竿でラインを引っ張り、ラインでジグを動かしている。

ジグが重いから硬い竿を使うわけではない

スロージギングで使用する専用ロッドは、1番、2番、3番、4番……といったように細分化されている。このなかで自分のスタイル(ターゲットや釣り場)に最適な番手はどれで、何本そろえればよいのか……。初心者がスロージギング用ロッドを選ぶ際は、分かりづらいことが多い。

「この釣りは、ジグが重いから硬い竿を使うというわけではありません。竿でジグを動かすのではなく、竿で糸を優しく引っ張って、その糸がジグを動かす、という感覚だからです。”ラインをしっかり張ることによってジグが動く”ということを強く認識してください。300mの水深で竿をしゃくっても糸が伸びるだけで、ジグは動いていません」

実際に清水さんのしゃくりを見ていると、しなやかで、力任せにジグを動かしている感じはまったくしない。ジグが重いから硬い竿、水深が深いから硬い竿、番手の高い竿、というセレクトではないのだ。

「実はスローの釣りは、通常の青物などのジギングよりずっと楽です。力任せにはしゃくりませんし、竿はラインを引っ張るための道具だからです。竿を曲げてサスペンションの役目をさせるようにすると、腕も疲れません」

したがって、ロッドはそのときの状況に合わせてジグがしっかりと抜けるような番手、そしてジグを動かす際は竿を優しく動かしてラインをちゃんと引っ張ることができる番手、を選べばよいということだ。

それゆえ、その感覚に合わせるためには何通りかのタックルを準備しなければならない、ということになる。

「基本的にはパワーでいうと2番、3番、4番、5番の4本があれば、日本全国どこでもどんなターゲットにも通用すると思います。そのなかでも釣り場によってよく使う番手は異なるので、それに合わせて2、3、4番、または3、4、5番といったようにセレクトすればよいと思います」

ただ、いきなり3本、4本そろえるのは難しいだろう。だが、普通のジギングでも竿1本で来る人はあまりいないはず。釣りをより快適に楽しむため、そして何よりも魚を釣るためには必要な投資であると考えたい。むしろ最適な道具がなくてその日一日まともに釣りが出来ない、自分だけ魚が釣れないという状況のほうが釣り人としては辛いものだ。

「ロッドは海に合わせるためにあります。直接的に魚を釣るためではありません。魚はリールで巻き上げることができます。したがって、ロッドの番手の基準は魚の大きさではありません。潮の流れなど水中環境に合わせるためにロッドの番手があると思ってください。お財布と相談しながら、ゆっくりでいいのでぜひ揃えていただきたいと思います」

▲この釣りはロッドが細分化されている。だが、ジグが重いから、魚が大きいから硬い竿を使うわけではない。

アカムツ狙いならラインは1.2号が基準

勘のいい方はもうお分かりだと思うが、この釣りのタックルはロッドの他にもうひとつ重要な物がある。ラインだ。

ラインは複数台のリール、またはスペアスプールに号数を変えて巻くことで対処する。

「中深海の代表的ターゲットであるアカムツ狙いでいえば、現在の標準は全国共通で1.2号です。そのなかで、例えば私の地元の愛知では1号をよく使います。ところが四国では1・5号を使うこともあります。その狙いは、ラインを太くすることによる抵抗でジグのフォールスピードを遅くしたいから。たとえば大きなジグでアピールしたいと思ったときに、どこで抵抗を持たせるかとなれば、ラインとリーダーを太くして負荷を掛けるわけです」
バランスの取り方はそれぞれの自由。ジグとラインをどう組み合わせるかによって答えは何通りもあるということだ。

「逆にジグを小さくしたいからラインも細くしたいというとき、1号ではラインが伸びてしまう面もあります。しかし、慣れればそれほど使いにくくはないうえに、”抜け”に関しては非常によくなります。伊良湖の高松沖などは凄く潮が悪いので、抜けを最重要視して1号を選択することはよくあります。したがって、アカムツ狙いでいえばラインは1.2号を基準に1号から1.5号までを用意すればよい、ということになります」

▲何がヒットしたのか想像し、どんな魚が上がってくるのか当ててみる。そんな楽しさもこの釣りにはある。

「中深海スロージギング」その魅力とベーシック的思考を清水一成が語る【後編】はこちら>>>

「中深海スロージギング」その魅力とベーシック的思考を清水一成が語る【後編】

「中深海スロージギング」その魅力とベーシック的思考を清水一成が語る【後編】

2021年12月29日

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SALT WORLD 編集部

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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。

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