
リモートワークに最適な空間も! 古都の景観に連なる伝統工法の住まい|鎌倉エリア【きらくなたてものや】

湘南スタイルmagazine 編集部
- 2021年02月06日
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鎌倉のアイデンティティの伝わる住まいを建てたい! 伝統技法に宿る知恵を実感しながら、つくり上げた家がこちら。
伝統工法に則って建てられた家
鎌倉らしい緑豊かな谷戸が広がる扇ガ谷の一角に建つ芳賀邸。新築ながら、その佇まいは何年も前からこの土地に根付いているかのようで、手焼きの屋根瓦・竹小舞(割いた竹で組む土壁の下地)の入る土壁や釘を使わない構造など、雰囲気だけ和風というのではなく、伝統工法に則り建てられている。それは外観に漂う凛とした空気感、屋内で感じる木や土に包まれた気持ち良さでも分かる。
子どもたちの勉強部屋は1階リビング奥手。この部屋をはじめ、家全体に使われている壁土は、泥と藁を捏ねたのち数ヶ月発酵させたもの。他の雑菌が入りにくいようにされたこだわりの素材。
縁側で談笑するご主人と日高さん。家づくりは施主家族も参加し、冬に水分の抜けた竹の伐採から始まる竹小舞や、土壁用の泥捏ねも行う。
鎌倉石を使った外構の水回り。現在は新規の入手が困難のため、移築したものを使用。
木や土に包まれた気持ちのよい家がここに
「佐助に住んでいた時、通勤途中に建築中の家がありました。普通の家と違ってなかなか完成しない。しかも泥を捏ねたり、なんだか楽しそうで」と意を決してご主人が話しかけ、出会ったのが「きらくなたてものや」代表の日高さんだ。
杉皮を貼った外壁。油分があり水を弾く作用が強いため、泥はねするような部位に使われる。
国内で1~2軒しか現存しないと言われる、だるま窯で焼かれた手焼きの瓦。昔ながらの製法の瓦は、現在主流の釉薬を塗ったものとは違い保水性が高く、雨上がり後の炎天下では涼しくなる。
板の外壁は職人の技術と手間を要する、一定間隔に簓桁(ささらげた)をはめたもの。
伝統工法にすっかり魅了され
意気投合し、ワークショップに参加するとすっかり伝統工法に魅了され、新居を決意。同じ鎌倉内で土地を探し、念願の自邸ができた。海外からのゲストが来訪しても誇れる家構えで、家づくりを通じて、まさに「日本の美意識や知恵に気づかされた」とご主人。
引き戸タイプのクラシックな玄関。棚上の写真は、ご主人がファンだという新山清さんの作品。
2階にある自由スペース。リモートワークが多い現在、ご主人の仕事部屋としても機能。現しの梁や柱などの構造材は柿渋を塗り、耐水・耐久性を高めている。
住み心地や間取りがよいため、新居に越してからは、このLDKに家族が集まる機会が増えたそう。また竹小舞や土壁の泥捏ねなど、家づくりに関わる要所要所の作業は施主家族が総出で行うスタイルのため、家への理解や、愛着を皆で共有できた。
古都の街に寄り添う1000年続く住宅づくりの知恵
「新しいアイデアや技術をスクラップ&ビルドするのではなく、日本で1000年続く住宅づくりの知恵を継承したい」。ご主人の言葉に、この家そして古都の街が頷いているような気にさせられる。
キッチンとダイニングを仕切る棚には、左官仕事による研ぎ出し仕様の覆い。
風呂場に続く、ランドリールームのシンク周りは造作で、ここも左官の研ぎ出し仕様に。
トイレもこだわりの空間で壁面はほかの部屋と色を変え青の漆喰にし、シンクには銅を用いた。
風呂場の壁面には、水や湿気に強いと言われるサワラの材を使用。
キッチン周りでは、大谷石の壁面に、栗の木で造作された収納棚を設置。ガスレンジの奥には大判のタイルを貼付した。
施工ビルダー
きらくなたてものや
神奈川県鎌倉市手広4-34-7
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PROFILE

湘南スタイルmagazine 編集部
1998年創刊の湘南を代表するメディア。湘南エリアに住む人と住んでみたい人に向けて、湘南オリジナルのライフスタイルと暮らしを充実させるテクニックを訴求し続ける。
1998年創刊の湘南を代表するメディア。湘南エリアに住む人と住んでみたい人に向けて、湘南オリジナルのライフスタイルと暮らしを充実させるテクニックを訴求し続ける。