
東海道新幹線で旨い和牛を食べに行く 東海道五十三”牛” – 特選和牛 静岡そだち –

タビノリSTAFF
- 2025年04月28日
そのまま人生を過ごしていたらきっと縁がないであろう駅を降り、散策するのは楽しいものだ。特にワンイシュー、ひとつの目的のためだけに旅をする贅沢というのは大人の旅の醍醐味だと思う。そこでおすすめしたいのが各地のローカル和牛を食す旅。特に東海道新幹線沿線には日本三大和牛の一角から、知られざる名産まで、和牛ブランドを複数抱え、まさに東海道五十三次ならぬ、五十三”牛”なのである。
そんな和牛の旅、初回にご紹介するのは、東京駅から東海道新幹線「こだま」で約1時間20分ほどの静岡駅から、歩いて5分の店舗でいただける静岡産のブランド和牛だ。
静岡に来たら海の幸も良いが、地元が誇るブランド牛「静岡そだち」を食すべし

「静岡」の名産と聞いて何を思い浮かべるだろう。まずはお茶やみかん、新鮮な魚介類があり、あとは浜名湖のうなぎ、静岡おでんに富士宮やきそばや浜松餃子……、筆者のように静岡に詳しくない者にとってそのあたりだろうか。
だが、実は静岡県に高品質な黒毛和牛ブランドが複数あることをご存知だろうか。歴史を遡れば、鎌倉時代末期に国産の牛十選を説いた図説「国牛十図」に遠江牛(遠江は現在の静岡県西部地方)に関する記述があり、故今出川入道太政大臣家が筑紫牛の血統を移入させたものとされる。昔から淡路牛や丹波牛といった現存でも知られるブランド牛と肩を並べるほどの和牛の飼育が盛んな地域であったのだ。海沿いの温暖な気候や土壌、古来より受け継がれてきた飼育技術などにより、良い牛が育つ信頼のブランド牛の産地というわけだ。
県内には有名どころだけでも「特選和牛 静岡そだち」「遠州夢咲牛」「掛川牛」「JAみっかび和牛」「あしたか和牛」など地域ブランドが群雄割拠、その筆頭が「特選和牛 静岡そだち」である。
「特選和牛静岡そだち」は、静岡県内で愛情をかけて育てられたJA静岡経済連が認定する黒毛和牛のブランド牛だ。飼育は静岡県御殿場、富士、島田、浜松、湖西など静岡県内の指定農場において、血統の良い黒毛和種雌牛にこだわり、その特徴を引き出すオリジナル飼料と統一した飼養管理のもと、じっくり愛情をこめて育てられている。さらに、JA静岡経済連小笠食肉センター及び浜松食肉市場に出荷され、日本食肉格付け協会により肉質等級3級以上に格付けされたものの中から、銘柄認定委員により認定された牛肉のみが「特選和牛 静岡そだち」を名乗ることができる。味の特徴は口どけの良い甘味のある脂肪と、柔らかくきめ細かいわらかな肉質、上品な旨味、それらの安定した品質にあるという。
静岡県畜産共進会肉牛の部での静岡県知事賞の他、近畿東海北陸連合牛共進会優良賞入賞などの受賞歴を誇る、まさに静岡県が誇るブランド牛なのである。
今回はそんな特選和牛 静岡そだちがいただけるお店をご紹介したい。
JA静岡経済連の直営だから可能な一頭買いのアンテナショップ

静岡駅北口を降り、駅前の地下街を通り歩いて約10分程、ビルの2階にその店舗「駿府の肉処 静岡そだち」はある。先述した静岡県産の和牛ブランド「特選和牛 静岡そだち」生産者の認定に携わるJA静岡経済連が運営する直営の焼肉店なのである。
階段を上がった2階の店舗ドアを開け、入店すると明るく清潔感のある店内で、若く爽やかな久保田店長が迎えてくれた。

店内に入って直後の右手にはストッカーが。同店はいわゆる一頭買いの焼肉店だ。

店内はお座敷とテーブル、個室におひとり様にも好評というカウンター席を用意。眼下に知らない街の人やクルマを眺めながらいただく焼肉は特別だ。
メニューは一般的な焼肉店同様、単品からお得なセットメニューに接待やデートなどにも使えそうなコースなど、幅広いが、肉旅は推しの一品いただくのが王道。とはいえ、希少部位がそろうお店だけに悩みます。

悩む我々に久保田店長がおすすめしてくれたのは、甘い口どけが特徴のお肉「上ロース(1,890円)」と、せっかくなら様々な味が楽しめる人気メニュー「特選和牛食べ比べ6選(2,090円)」。ここは店主のリコメンドに素直に受け入れオーダーすべし。

ほどなく我々のテーブルに運ばれて来たのが、この幸せの名札たち。サシの入りが美しい上ロースと、食べ比べセット、これだけでお酒が進みそうだ。ちなみに取材時の食べ比べセットのラインナップは「上ロース」「モモ」「カルビ」「特徴カルビ」「ハネシタ」「フランク」の6種。店長にベストな焼き方のアドバイスをいただき、いざ実食へ。

まずは店長リコメンドの上ロースから。肉の周囲に焼き色がついてきたら裏返すのがコツとか。

焼きあがったら、地元静岡が誇るスパイス、生食用としては日本一の生産量を誇るワサビや塩でいただくのが流儀。上質な和牛特有の旨味に加え、生わさびならではの辛さの中にも甘味を感じる味わいにお肉の脂身の甘さが加わり、まさに口福です!

さらに、耳寄りな話がこちら。ランチ営業もある同店には日替わりランチ(平日)も提供。同じく静岡県産のブランド豚「金豚王」を含む「特選和牛 静岡そだち」のランチメニューまで用意され、平日のランチ時は周辺のオフィスワーカーたちも多く訪れるという。観光客やインバウンド向けの店舗でなく、ブランド認知を広げる役割を持ったアンテナ店ならではのサービスだろう。
平日には4,000円からのコース料理も用意され、さらに1名からオーダーできる、おひとり様仕様の神対応なお店。
静岡への出張時はもちろん、わざわざ訪れる価値のあるブランド和牛店である。
Information
電話:054-251-4129
住所:静岡県静岡市葵区追手町2-15MRK追手町2階
営業:ランチ11時半~14時(L.O.13時半)※土日祝は11:00~ ディナー17時~22時(L.O.21時) 無休
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『タビノリ』は、旅の楽しさは、旅のはじまりである「移動」から、旅前の準備、ふとした寄り道、車窓から見つけるお気に入りの風景など、旅の余白に目を向け発信していくメディアです。また、旅をその周縁のものと組み合わせ、定番の旅先や新しい旅の提案などを仕掛けていきます。
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