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令和時代のニッポン絶景、通称「モネの池」の後はキッチンの名刀を手土産に【出張絶景-出張帰り新幹線に乗る前に-】

絶景とは本来、眺めのすばらしい様、他所では見られない景色のことである。スマートフォンの普及で誰もが感動的な景色をその場で知らない誰かと共有できる時代、現代の絶景はかつてのそれよりも解釈が広がり、風景に限らず様々なものを内包する言葉となっている。ここでは、出張帰りなどに立ち寄っても見る価値のある、現代のネオ絶景を紹介する。

SNSで火が付いたインバウンドも注目の岐阜エリア屈指の絶景「モネの池」

東海道新幹線「名古屋駅」からローカル線に乗り換えるルートなら、東京から最速で約2時間半。中部地方にある岐阜県・関市は、県内にV字状に連なる形状が特徴で、全国的にも知られる刃物産業を代表とする産業エリアと、自然豊かな山間エリアが共存する街だ。面積の80%以上が森林が占める、人口8万人強ののどかな街は近年、SNSにより全国でその名を知られるようになった。

それが、上の写真にある通称”モネの池”こと「名もなき池」の存在である。

その名は、フランスの印象派を代表する風景画家、クロード・モネの作品である「睡蓮」を思わせることから、近年そう呼ばれるようになったという。ちなみに、クロード・モネは自邸の隣の土地を買って「水の庭」を造り、その周りに様々な植物を植え約30年間にわたり、250枚以上の「睡蓮」シリーズを描き、「睡蓮」は東京にある国立西洋美術館にも所蔵されているので気になる方は、現物と見比べてほしい。

写真だけ見れば、これが日本国内にある風景とはなかなか思えない、まさに絶景だ。実際、このモネの池は一躍人気スポットとなり、現在、週末には全国からインバウンドを含む多くの観光客が訪れているという。

そもそも、このモネの池、一体どのようにして生まれたのだろう。

モネの池は、日本三大清流にも数えられる長良川最大の支流・板取川水系の湧水を水源とし、その前身は関市板取地区にある「根道神社」参道脇にある貯水池だった。自然の湧き水を利用し、1980年頃に同地の農地改良時に灌漑用として整備されたもので、その後1999年に隣接施設「フラワーパーク板取」開業時に池の手入れを行ない、その際に睡蓮やコウホネを植え現在に至る。

池の水はすべて湧水のみで、池にかかる橋の前下部付近から主に湧き出ている。湧水部では石英質の白い砂が残り、光りの反射でより明るく見えるのが特徴で、湧水は硬水で年間を通じて約14度で一定だが、夏は相対的に水温が冷たくなるため、睡蓮は午後咲きとなり、冬は相対的に暖かいため睡蓮の葉が枯れず、赤く紅葉して池を彩るという。池を涼しげに泳ぐ錦鯉は根道神社の氏子の方々が管理を行っているそうだ。

2015年、板取地区のアジサイを目当てにした観光客が同池を訪れた際、水面に浮かぶ美しい睡蓮の写真をインターネットへ上げ始めたのが同地のブームの始まりで、同時期に東京で「モネの絵画展」が行われことにより、インスタグラムなどのSNSで”モネの絵画に似ている”と話題に。これを見た某週刊誌が同年初秋に紹介したことにより、全国的な知名度を獲得。さらに紅葉時に地元TV局での放映をきっかけに、その景観を求めて観光客がいっきに拡大したのだという。

現在は、いわゆる”映え”を目的に、プロアマ問わず池の写真の撮影を目的に数多くの人が訪れているのだそうで、昨年度は把握しているだけでも、約17万3000人が訪れているから驚きだ。

自然と、地元住民によりつくられ奇跡の絶景、そういう意味でも前述のクロード・モネの池という表現はなるほど適切かもしれない。

訪問のベストシーズンは、睡蓮の花が咲く6~7月と、紅葉シーズンの10月下旬~11月中旬。上記以外にも、4月中旬~11月下旬ころまでは周囲の木々の緑が映える。季節ごとに異なる景色で訪れる者を魅了してくれる点も魅力だろう。ちなみに、モネの池に湧き出る清らかな水は、同地が全国的に知られる「刃物産業」の街であることにも深く関係している。

国内屈指の刀鍛冶の里、岐阜県関市

日本の「関(Seki)」、イギリスの「シェフィールド(Sheffield)」、ドイツの「ゾーリンゲン(Solingen)」は、頭文字にちなみ「刃物産業の3S」と呼ばれ、「MADE IN SEKI」は、世界に誇る刃物産業の街だ。

その歴史は700余年も遡り、かつて関の地が日本刀の産地として隆盛を極めたことに始まる。やがてその刀鍛冶の技術が、現代の刃物づくりに受け継がれ、包丁、ナイフ、ハサミ、爪切りなどの刃物製品の出荷額において全国1位を誇り、名実ともに「日本一の刃物のまち」として知られている。

刀づくりには良質な水や土、炭が必要であり、関市の刃物文化隆盛の背景には、モネの池にも通じる清らかな水流が巡る土地と深く関係しているのである。

刀鍛冶の技術が盛んな関市らしいスポットは市内に点在。約700年前に刀鍛冶の技術がこの地にもたらされて以来、「関鍛冶」と呼ばれる職人たちが優れた日本刀を世に送り出してきた伝統は、近年、アニメの影響による刀剣ブームの到来以降、名工が手がけた刀剣をひと目見ようと、ファンたちがこぞって訪れるエリアでもある。

そんな彼らの”聖地”となっているのが「関鍛冶伝承館」で、関市に伝わる刀匠の技を、映像・資料の他、約30振もの日本刀が常設展示されており、関を代表する関の孫六(せきのまごろく)」こと孫六兼元(まごろくかねもと)、和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)をはじめとする名匠の日本刀が何百年も経た今も鋭い輝きを放ち、刀剣ファンの心を掴んでいる。

蛇足だが、せっかく同地を訪れるなら食べておきたいグルメの筆頭が「うなぎ」。内には16店舗で取り扱いあり、かつて刀匠が日本刀鍛錬をするためにうなぎを食べて精をつけたという説も(※諸説あり)あるそうだ。また、清流長良川で食べれる鮎も人気で、夏シーズンには川沿いで多くのお店がやなやアユ料理を提供している。

心洗われるような絶景に、国宝級の日本刀と、その技術をいかした暮らしの道具に絶品の川魚。絶景以外にも見どころ豊富な同地をぜひ訪れてみてほしい。

Information

名もなき池(通称:モネの池)

電話:0581-57-2111(関市板取事務所)

住所:岐阜県関市板取448

駐車場:あり(160台)

関鍛冶伝承館

電話:0575-23-3825

住所:岐阜県関市南春日町9-1

営業:9~16時半(最終入館16時) 火曜、祝日の翌日、年末年始休

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タビノリSTAFF

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『タビノリ』は、旅の楽しさは、旅のはじまりである「移動」から、旅前の準備、ふとした寄り道、車窓から見つけるお気に入りの風景など、旅の余白に目を向け発信していくメディアです。また、旅をその周縁のものと組み合わせ、定番の旅先や新しい旅の提案などを仕掛けていきます。

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