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削り節,おにぎり,鰹節,BUSHIMESHI,網代,熱海

熱海網代漁港の老舗水産加工会社が提供する削りたてほやほやの鰹節かけごはんの衝撃【熱海特集】

かつて”ねこまんま”とも呼ばれた鰹節かけごはんは、鰹節でとった出汁の出しガラをご飯にかけて飼い猫に与えた風習からその名がつけられたという。いわば庶民のくらしを下支えしてきた、国民的フードカルチャーだ。だが、熱海で出会ったその鰹節かけごはんは、一般的に知られるそうしたイメージを根底から覆す一杯だった。

プロ仕様の削りたて最高級極薄鰹節をかけた至高の鰹節かけごはんがまとう美しさ

 

JR東海道新幹線「ひかり」、「こだま」で「東京」駅から約40分で到着する人気の温泉地「熱海」。クルマで海岸沿いを西へ約20分、10キロほど走ると同市網代地区へとたどり着く。江戸時代から漁港として栄えた同地は、別名「南熱海温泉」として湯治客を集め、現在でも地元名産の干物を扱う店が軒を連ね、”干物銀座”、”干物横丁”として観光客が数多く訪れるエリアだ。

そんな風情ある漁師町のメインストリートから、タイトな路地へと歩をすすめ、抜けた先にあったのが繊細な木のルーバーが印象的な飲食店「BUSHI MESHI 」だ。

 

店内は視線が低めで圧迫感のない、コの字型のカウンターを中心とした設えで、壁から天井にかけて配された木のルーバーと石造りのカウンターが良いコントラストを生み出し清潔感にあふれる。

提供されるのは、削りたての鰹節をたっぷりのせた「ほやほや削りごはん」をはじめ、削り節を使ったシンプルな食事メニューと、お刺身や焼き魚など、地元網代港でその日に取れた新鮮な海の幸。ここは、削り節かけごはん専門の飲食店なのである。

 

 

さっそく看板メニューである「ほやほや削りご飯」に味噌汁、漬物のセットと、全面に削り節をまとうおむすびのセットをオーダー。すると、ほどなくして冒頭で紹介したフワフワ極薄の削り節をかけたどんぶりと、見た目の異なる2種類の削り節をかけた、上品なおにぎりが目前に運ばれてきた。

 

ごはんセット、おにぎりセットはともに各800円。老舗和食店で料理人が使用するような最高級削り節がこの価格で手軽にあじわえるのは素晴らしい。店内には持ち帰り用に削り節のパッケージも販売。

 

「まずはそのままでお召し上がりください」というスタッフの作法にのっとり、削り節ごはんを何もかけずにいだたく。ふわふわ、エアリーな削り節は箸で持ってもその重さを感じないという表現がおおげさでないほど薄くて軽い。口へ運ぶと舌の上で鰹の出汁のうまみがぱっと広がり、その後、まるで口内でスっと溶けてしまいそうな感覚がある。繊細でありながら、しっかりボリュームもあり大満足。一方のおむすびも、左が潤目鰯、右には鯖の削り節が使われており、味の違いが楽しめる。こちらもそのまま何もつけずにいただけてしまう。

今まで食べてきた削り節ごはんは何だったのか、そんなカルチャーショックに襲われるかもしれない。なぜ、この店の削り節は特別なのだろう。理由はその製法にある。

 

原料の鰹節を撮影させてほしい、という取材チームに形の良い鰹節を選ぶから待ってくださいと、スタッフが選んで持ってきた鰹節。雌節(めぶし、鰹の腹側の部位)、雄節(おぶし、背中側の部位)の美しい2本を見せていただいた。

 

全国的に知られる削り節の名産地は、鹿児島県の枕崎市、指宿市(山川地区)、静岡県の焼津市と言われる。この店で提供される削り節も、鹿児島県枕崎及び山川、静岡県焼津にある信頼関係で繋がった地元生産者と提携、現地で下処理を行った後、網代の工場へ集約し熟成されたものだという。

そうして商品となった最高峰の素材をもとに、オーダーを受けてから、専用に開発した削り機で、薄さ0.02mmの極薄で削ったほやほやの削り節を地元静岡産のお米によるご飯にかけて提供しているのだ。まさに、削り節界のプロフェッショナル、それもそのはず、ここでいただける削り節は、そもそも高級料亭やホテルなどプロの料理人が使用するために生み出されるものなのだから。

 

プロ仕様の本物の削り節のおいしさを味わってもらうために、ごはんにかけて最高に美味しい厚さを探求し、たどり着いたのが僅か0.02mmの厚みの鰹節。料理人からのカスタマイズを受けた削り節を生産してきた同社ならではの味の追求といえる。

老舗水産加工会社「丸藤」が照らす、ニッポンの伝統食削り節の未来

 

BUSHI MESHIは、網代で昭和元年に初代藤田信吉氏により、鰹節製造会社「カネヘイ藤信商店」の屋号で創業した、水産加工会社「丸藤」が運営するアンテナショップという位置づけだ。

かつて網代は「京、大阪に江戸、網代」と謳われたほどの伊豆東海岸随一の天然の良港として栄え、同社は、網代港に揚がった魚の干物製造や、削り節などを、主に築地をはじめとする市場向けに生産を行っていたという。

その後、削り節製造を事業の中心として据えると、季節によって下処理を変える秘伝のレシピや、顧客ごとにカスタマイズして削り丁寧に仕上げられる鰹節が、出汁にこだわる料理人を中心としたプロからの信頼を集め、熱海・伊豆周辺の旅館やホテルから東京都内のホテルグループや日本料理店、有名レストランなどに拡大。全国へと販路を拡大していった。

そんな削り節専業の丸藤が、自社が培ってきた経験や技術をもとに、プロだけでなく、一般の食卓でも、いわゆる出汁パックではなく、そのままでも食べられる鰹節本来の味や、出汁のうまみを味わってもらうべく、2023年7月に自社の本社ビル1階にオープンさせたのが、BUSHI MESHIなのである。

「それまでオンラインではプロ向けに削り節商品を販売しておりました。もともといわゆるBtoBの業態だったのですが、コロナ禍で飲食業界が危機にさらされる中で、プロだけでなく一般の方にも本物の削り節を味わっていただくための場として生まれたのが飲食業態であるBUSHI MESHIでした。

プロユースの削り節は手間暇がかかっている分、決して安くはありませんが、こちらの店舗では削り節本来の味を手軽に知っていただくことができ、折からの中食ブームやSNSの発信も手伝い、現在大変好評をいただいております」とは同社、広報担当氏。

店舗内の木のルーバーは0.01mmの厚みにこだわる弊社の削り節をイメージして設えたものだそうで、 なるほど、細部まで、そのこだわりは徹底されている。また、漁港である網代では水揚げされた魚は、基本的に近隣の宿泊施設や市場などへ出荷されることがほとんどで、地元民が口にできないことに問題意識を持っていたという、地元網代出身の丸藤現代表は、お店に併設する形で、鮮魚の直売所もスタート。

取材の際、削り節ごはんと一緒にいただいた、お刺身3点盛りが590円で提供されていることからも、この鮮魚店の新鮮さと安さは現地できっと驚くだろう。そして、同店がいわゆる一般的な観光客向けの店でないことがお分かりいただけるはずだ。

取材時のお刺身3点盛りは、鯛、わらさ、炙りカマスの3品目。タイのコリコリした歯ごたえ、わらさやカマスのトロトロな食感、お店で590円は破格!

唯一、ご注意いただきたいのが営業が平日のみということ。オペレーションが削り節加工を担う丸藤の社員だけで運営されているため、土日は基本お休みなので訪問の際はご注意を。削り節を愛し、地元を愛し、社員を大切にする老舗の削り節ごはん専門店、熱海を訪れる際は、ぜひ立ち寄っていただきたい。

Information

BUSHI MESHI

住所:静岡県熱海市網代458-3 (丸藤本社 1F)

電話:0557-68-4147

営業:(飲食)10時~14時半(L.O.14時)、(物販)9時~16時 土・日休

https://bushimeshi.com/

 

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『タビノリ』は、旅の楽しさは、旅のはじまりである「移動」から、旅前の準備、ふとした寄り道、車窓から見つけるお気に入りの風景など、旅の余白に目を向け発信していくメディアです。また、旅をその周縁のものと組み合わせ、定番の旅先や新しい旅の提案などを仕掛けていきます。

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