ドンブロウスキーが第4ステージ逃げ切り、マリアローザはデマルキへ|ジロ・デ・イタリア
Bicycle Club編集部
- 2021年05月12日
ジロ・デ・イタリアの第4ステージが現地5月11日に行われた。中盤から後半にかけてハードなアップダウンが続いた丘陵コースは、逃げでレースを進めていたジョセフロイド・ドンブロウスキー(UAEチームエミレーツ、アメリカ)が独走に持ち込んでステージ優勝。グランツール初勝利を挙げた。また、個人総合首位の証であるマリアローザも移動。このステージ2位になったアレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネイション、イタリア)が袖を通すことになった。
総合順位大シャッフル、マリアローザ候補も動き出す
ピアチェンツァからセストラまでの187kmに設定されたステージは、スタートからしばし平坦区間を進み、中盤からアペニン山脈へと分け入っていく。そこからはアップダウンの連続。この日のポイントは、最後のカテゴリー山岳となる2級のコッレ・パッセリーノ。登坂は4.3kmだが、この間に高度にして422mを一気に駆け上がる。平均勾配は9.9%、中腹で最大勾配16%の区間が控える。総合での上位進出を目指す選手にとっては、脚試しにピッタリの上りといえそう。そして、この頂上からフィニッシュまでは2.5km。上り終えると、あとはラストスパートあるのみだ。
雨の中で始まったレースは、リアルスタート直後にクイントン・ヘルマンス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ベルギー)とヴィクトール・カンペナールツ(チーム クベカ・アソス、ベルギー)がアタック。メイン集団が数十秒差で追う状況が続いたが、やがて数人単位で追走パックが生まれ、そのまま先頭へとジョイン。スタートから40kmに到達しようかというところで、25人の先頭集団が形作られた。
この大人数の逃げは、メイン集団に対して最大で6分のリードを確保。集団は大会初日から個人総合でトップを走るフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)がマリアローザを着ながら牽引役を務める。そこにアスタナ・プレミアテックのアシスト陣も加わって、先頭25人とのタイム差を調整する。
先頭集団に変化が起きたのは、111.8km地点に設けられたこの日1つ目の山岳となる3級の上り。頂上でのポイント争いからの流れで、ヘルマンス、レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エストニア)、クリストファー・ユールイェンセン(チーム バイクエクスチェンジ、デンマーク)が抜け出すことに成功。あっという間にタイム差が広がっていき、3人の先行を許す形になった追走グループとは1分、メイン集団とは8分以上の開きに。続く2つ目の3級山岳でヘルマンスが遅れ、タラマエとユールイェンセンの2人逃げとなって終盤を迎えた。
この頃メイン集団では、長くペーシングを担ったガンナが2つ目の3級山岳まででお役御免。そのまま集団から離れ、マリアローザを手放すことが決定的になる。それからはイネオス・グレナディアーズやドゥクーニンク・クイックステップが集団先頭を固めながら進行し、先頭2人との差を4分台として最後の上りコッレ・パッセリーノへと入った。
快調に先頭を走り続けたタラマエとユールイェンセンだったが、急勾配が続くコッレ・パッセリーノではペースが落ち気味。一方で、追走を続けていた2番手グループでデマルキが再三ペースアップを試みて、前の2人との差を一気に縮める。そうして残り4.5km、ついに追走メンバーが先頭へと合流を果たした。
この直後、追いついたうちの1人であるドンブロウスキーが先頭に立つと、そのままデマルキらを振り切って独走態勢へ。最後まで勢いが衰えなかったドンブロウスキーが、そのまま最後の数キロを走り抜き、独走でフィニッシュへと到達。自身初となるこの大会でのステージ優勝を果たした。
結果的に、前半からの逃げに乗り、中盤以降は追走でレースを進めていた選手たちがステージ上位を確保。13秒差の2位にデマルキ、27秒差の3位にはフィリッポ・フィオレッリ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)が続いた。
かたや、逃げを容認したメイン集団もコッレ・パッセリーノでは動きが見られた。まず、ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード、イタリア)が先陣を切るアタック。これは誰も追わなかったが、残り3kmでのミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)のアクションには有力どころが反応。ランダがチッコーネに追いつくと、アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)、エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO、イギリス)と追随。
この5人がパックを組み、そのままフィニッシュへ。ここに加わることができなかったレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)、ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネイション、アイルランド)、サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ、イギリス)、ロマン・バルデ(チームDSM、フランス)らは11秒差。ヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード、イタリア)や、ジャイ・ヒンドレー(チームDSM、オーストラリア)らは33秒差でステージを終えることとなった。
これらの結果から、個人総合順位は大シャッフル。ステージ上位の選手たちが多数ジャンプアップを果たし、この日2位だったデマルキにマリアローザが舞い込んだ。プロ11年目にして、グランツールでは初めてとなるリーダージャージの着用となる。また、総合系ライダーでは、ウラソフが実質の最上位となる個人総合7位。数秒差でエヴェネプールやカーシーが続き、このステージで好走したベルナルらも順位を上げている。ステージ優勝のドンブロウスキーは、山岳賞争いで首位に立った。
なお、出走した183選手全員が問題なくステージを完了。新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は、ドンブロウスキーから23分6秒差の158位で走り終えている。
本格的にプロトンが動き出した今大会。12日に行われる第5ステージはモデナからカットリーカまでの177km。変化がほとんどない完全平坦ステージで、スプリンターのための1日となる。
ステージ優勝 ジョセフロイド・ドンブロウスキー コメント
「サイクリングのキャリアには浮き沈みがあるものだが、今日は私にとってよい1日になった。最高の形で今大会のスタートが切れ、第3週に待つ山岳ステージへとつなげていけると思う。
コース的には自分向きではなかったが、チャンスをつかみたいと思った。力のあるメンバーがグループにそろって、先頭との差も悪くなかった。一緒に走っているメンバーにマリアローザを狙っている選手がいることは知っていたし、できるだけその選手を利用しようと考えながら走っていた。
ステージ優勝できたことが一番で、マリアローザに手が届かなかったことは気にしていない」
個人総合首位 アレッサンドロ・デマルキ コメント
「11年間のキャリアで何度もアタックしてきたが、成功せずとも大きなミスを犯したことはなかったと思っている。とにかくあきらめないことが重要だ。マリアローザは誰もが子供のころから夢見ているもの。これまで近づいたことすらなかったので、こんな形で手に入るとは想像していなかった。要因が何だったかは分からないが、2日前から想定はしていて、今日実行に移した。
最後の数キロは壮大な戦いで、逃げ切ることが容易ではないと理解していた。それでも、チャンスを生み出すにはこの方法しかなかったし、すべては計画通りに進んだ。マリアローザが手に入っただけでなく、多くの選手が私の走りをきっかけに満足できる結果を得られたと聞き、とてもうれしく思っている」
ジロ・デ・イタリア2021 第4ステージ 結果
ステージ結果
1 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(UAEチームエミレーツ、アメリカ)4:58’38”
2 アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネイション、イタリア)+0’13”
3 フィリッポ・フィオレッリ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)+0’27”
4 ルイス・フェルファーク(アルペシン・フェニックス、ベルギー)+0’29”
5 ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス、スロベニア)ST
6 アッティラ・ヴァルテル(グルパマ・エフデジ、ハンガリー)+0’44”
7 ニコラ・エデ(コフィディス、フランス)+0’49”
8 ネルソン・オリヴェイラ(モビスター チーム、ポルトガル)+0’57”
9 レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、エストニア)+1’33”
10 クリストファー・ユールイェンセン(チーム バイクエクスチェンジ、デンマーク)+1’36”
158 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+23’06”
マリアローザ(個人総合成績)
1 アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネイション、イタリア) 13:50’44”
2 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(UAEチームエミレーツ、アメリカ)+0’22”
3 ルイス・フェルファーク(アルペシン・フェニックス、ベルギー)+0’42”
4 ネルソン・オリヴェイラ(モビスター チーム、ポルトガル)+0’48”
5 アッティラ・ヴァルテル(グルパマ・エフデジ、ハンガリー)+1’00”
6 ニコラ・エデ(コフィディス、フランス)+1’15”
7 アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)+1’24”
8 レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)+1’28”
9 アルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・NIPPO、イタリア)+1’37”
10 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO、イギリス)+1’38”
111 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+23’22”
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー)
マリアアッズーラ(山岳賞)
ジョセフロイド・ドンブロウスキー(UAEチームエミレーツ、アメリカ)
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
アッティラ・ヴァルテル(グルパマ・エフデジ、ハンガリー)
チーム総合成績
バーレーン・ヴィクトリアス
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