サガンの技ありスプリント光る、ポイント賞争いで首位に浮上|ジロ・デ・イタリア
Bicycle Club編集部
- 2021年05月18日
ジロ・デ・イタリアの第10ステージが現地5月17日に行われた。平坦にカテゴライズされたステージは、スプリントによるステージ優勝争いとなり、ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)が勝利。今大会1つ目の勝ち星を挙げるとともに、ポイント賞争いで首位に立ってマリアチクラミーノに袖を通している。個人総合首位はエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)が堅守し、マリアローザを引き続き着用する。
ボーラ・ハンスグローエが終始レースをコントロール
5月8日の開幕から、ここまで9ステージを消化。続く第10ステージが大会第1週の最終日となる。長かった最初の週を締めくくるのは、139kmの平坦ステージ。ロードレースステージでは今大会最短となる1日は、2009年の大地震で大きな被害を受けたラクイラをスタート。いくつかの丘越えをこなしながら、フィニッシュ地・フォリーニョを目指す。
レースが始まるとすぐに5人が逃げグループを形成。今大会の逃げ常連となっているシモン・ペロー(アンドローニジョカトリ・シデルメク、スイス)、ウンベルト・マレンゴ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)、サムエーレ・リーヴィ(エオーロ・コメタ、イタリア)、タコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、オランダ)、コービー・ホーセンス(ロット・スーダル、ベルギー)が、この日の先導役となった。メイン集団は、ボーラ・ハンスグローエが早い段階でコントロールを開始。先を行く5人との差を最大でも3分程度として、残り距離を減らしていく。
46.9km地点に敷かれた1回目の中間スプリントポイントは、リーヴィが1位通過。その後メイン集団もポイント加算を狙う選手が動きを見せ、エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス、イタリア)が先頭通過。全体の6位通過を決めている。
その後はしばし形成に変化はなく進行。途中、逃げグループが踏切で足止めを食うが、メイン集団が追撃を急がなかったこともあり、その時点ではレース展開が変わることはなかった。
ただ、この日のメイン集団は早めの逃げ吸収を選択。フィニッシュまで43kmを残した時点で先行していた選手たちを全員捕まえる。さらには、立て続けにやってくる無印の上りで有力スプリンターが次々と脱落。マリアチクラミーノを着てスタートしたティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー)や、ジャコモ・ニッツォーロ(チーム クベカ・アソス、イタリア)、ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)らが後ろへと下がったことで、サガンのスプリントを有利にしたボーラ・ハンスグローエのアシスト陣がハイペースを維持。途中の4級山岳を越えて下りに入ると、その勢いはさらに増した。
そんな流れの中、フィニッシュを前に個人総合上位陣がアクションを起こす。121.2km地点に設定された、この日2回目の中間スプリントポイントめがけて、イネオス・グレナディアーズとドゥクーニンク・クイックステップが猛然とペースアップ。上位3人に付与されるボーナスタイムを狙って、エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)とレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)を前に送り込もうという狙いだ。
ドゥクーニンク・クイックステップのトレインが優位に立ったかに見えたが、フィリッポ・ガンナ(イタリア)の猛烈な引きに続いたベルナルが一気に前方へ。負けじとエヴェネプールも後ろにつけて、スプリントポイント目前でベルナルをかわす。エヴェネプールの1位通過を阻止しようと追い込んだジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)がギリギリで先頭に立ち、そのままトップを確保。それでも、エヴェネプールは2位通過で2秒、ベルナルは3位通過で1秒と、それぞれボーナスタイムを得ることに成功している。
再びボーラ・ハンスグローエが全体の統率を図って、やがて態勢はスプリントへ。ボーラのトレインは先頭を譲らず最後の1kmへ。サガンが好ポジションをキープし、その後ろにはUAEチームエミレーツやコフィディス勢が続く。この状況を打破しようと、それぞれ発射台を務めるシモーネ・コンソンニ(コフィディス、イタリア)とフアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア)が残り500mで数人を一気にかわして先頭まで上がってくる。
しかし、サガンがこれらを冷静に対処。前に出た2人の番手につけて、残り200mからの緩やかな右カーブを迎えると外側から一気に加速。そのままトップに躍り出ると、フェルナンド・ガビリア(UAEチームエミレーツ、コロンビア)やダヴィデ・チモライ(イスラエル・スタートアップネイション、イタリア)の追い上げをかわしてフィニッシュラインを通過。終始レースをまとめたチームメートの働きに報いる、今大会最初のステージ優勝を飾った。同時に、ポイント賞争いでも首位に立ってマリアチクラミーノに袖を通している。
プロトンは最終局面でいくつかのパックに割れたものの、103位までを同タイム扱いに。個人総合上位陣は全員この中で走り終え、ベルナルのマリアローザも変わらず。終盤のトレイン牽引で力強い姿を見せた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も、ステージ61位として1日を終えている。
今大会最初の休息日として、18日はレースが行われない。次は19日、第11ステージがペルージャからモンタルチーノまでの162kmで争われる。後半にかけて4カ所・総距離35.2kmに及ぶグラベル(未舗装)区間が待ち受ける。フィニッシュ直前には石畳の急坂も控えており、第2週の初日からハードなステージが設けられる。
ステージ優勝、ポイント賞首位 ペテル・サガン コメント
「とてもうれしい。チームみんなに感謝している。特に最後2つの上りでのコントロールは素晴らしかった。最終局面は、マチェイ・ボドナルとダニエル・オスが好位置に引き上げてくれたので、あとは勝利に向かって全力で踏むだけだった。ステージ優勝と合わせてマリアチクラミーノがめぐってきたが、それを最後までキープするのは簡単ではない。大会はようやく中間地点を迎えたところで、まだ半分が残っている。いずれにせよ、ジロを走ることができて今はとてもハッピーだ」
個人総合首位 エガン・ベルナル コメント
「マリアローザを着て走ることは特別だ。(最終目的地の)ミラノでもこのジャージを着ていたいが、まだまだ先は長いので、いまは1秒を大切に集中して走りたい。中間スプリントについては、スポーツディレクターが無線でジャンニ・モスコンとジョナタン・ナルバエスに指示しているのを確認して動くことにした。ピッポ(ガンナ)の後ろにつけたことで前へうまく上がることができた。ボーナスタイム1秒を獲得したが、その1秒だけですべてが決まるとは思わないし、この先の山岳について考える必要もある。レムコ(エヴェネプール)との駆け引きだけではなく、総合タイム差1分以内につけているすべてのライダーが個人総合を争う立場にあると考えている」
ジロ・デ・イタリア2021 第10ステージ 結果
ステージ結果
1 ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)3:10’56”
2 フェルナンド・ガビリア(UAEチームエミレーツ、コロンビア)ST
3 ダヴィデ・チモライ(イスラエル・スタートアップネイション、イタリア)ST
4 ステファノ・オルダーニ(ロット・スーダル、イタリア)ST
5 ジャンニ・フェルメールシュ(アルペシン・フェニックス、ベルギー)ST
6 ドリース・デボント(アルペシン・フェニックス、ベルギー)ST
7 アンドレア・ヴェンドラーメ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、イタリア)ST
8 ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ、イタリア)ST
9 エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス、イタリア)ST
10 フアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア)ST
61 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)ST
マリアローザ(個人総合成績)
1 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア) 38:30’17”
2 レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ、ベルギー)+0’14”
3 アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)+0’22”
4 ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード、イタリア)+0’37”
5 アッティラ・ヴァルテル(グルパマ・エフデジ、ハンガリー)+0’44”
6 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO、イギリス)+0’45”
7 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+0’46”
8 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネイション、アイルランド)+0’52”
9 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ、イギリス)+0’56”
10 ダヴィデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ、イタリア)+1’02”
89 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+1:00’52”
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)
マリアアッズーラ(山岳賞)
ジョフリー・ブシャール(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)
チーム総合成績
イネオス・グレナディアーズ
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