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アメリカのグラベルレースに元日本チャンプ中村龍太郎が挑戦【Unbound Gravel準備編】

2015年全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオンで、現在はUSA在住の中村龍太郎さんが、カンザス州で開催されたグラベルレース「Garmin Unbound Gravel 200」に参加してきた。日本のグラベルレースとはひと味ちがう、本場のグラベルレースの様子を、中村さんからのレポートで全2回に分けてお届けする。

 

アメリカグラベルレース【レース編】はこちら

人生最長のグラベルレース「Garmin Unbound Gravel 200」へ

お久しぶりです。USA在住の中村龍太郎です。長きにわたるステイホームを半ば強引に解き放ち、ワクチンという免罪符を振り回すアメリカでは、マスクの着用義務が解除されるなど“Breaking away from COVID”な空気になっており、オリンピックが控える日本との温度差を感じる今日この頃です。

さて先日、カンザス州で開催された「Garmin Unbound Gravel 200(ガーミン・アンバウンド・グラベル200)」に出場してきたのでレポートにまとめたいと思います。

「Dirty Kanza」から大会名が変化

まず、UNBOUND Gravelというレースを初めて知る方がほとんどだと思います。なぜなら旧名である「Dirty Kanza(ダーティ・カンザ)」の名前の方が有名だからです。しかし「Kanza」という言葉がレース会場周辺に住むアメリカ先住民族「Kaw Nation」を指しており、そこにDirty=汚いという言葉が追加されることにより、彼らに不快感を与えるという理由でレースの名称変更が行われました。カンザス州で汚れよう!みたいなポップなレース名だと思っていたら、思った以上に深い落とし穴だったようです。

ロードプロからMTB選手、一般までさまざまな選手が出走

名称が変わっただけで、そのレースの過酷さは変わりません。レースのカテゴリーは距離で大別されており、25、50、100、200、XL(350)の4つから選ぶことができます。気をつけなければならないことはこの数字がすべてMile(マイル)表記であること。このUSA特有の単位はわかっていても度々勘違いすることが多く、重さのlbや長さのinchなど、日本人としてはkg、mmに統一してくれぇ!と思うことも多々あり……。まぁここで愚痴を言うのは割愛します。

この中でもメインレースと位置付けられるのが200です。一昨年はEFエデュケーションのAlex HowesとLachlan Morton、当時トレック・セガフレードのPeter Stetinaが出場しており、今年は完全にグラベルプロに転向したPeterを筆頭に、ジュニア世界チャンピオンのQuinn Simmons、MovisterのMatteo Jorgenson、元プロのLaurens ten Dam、Ian Boswellと知った名前がエントリーリストに記されました。我々のような一般ライダーも、抽選の結果当選すれば同じカテゴリーで走ることができます。

200は2006年から始まっており、メインレースと位置付けられるのもあってエントリー費も高めの$240。なぜかその倍近く走るXL(350)は$150と距離に比例していない感じがしますが、「350mileの方がお得!」とならないのはあまりにも長すぎるためでしょうか……。

ちなみに今年の350の優勝者は23時間弱で完走。完走者は46人で、最終完走者は36時間弱と完全にブルべです。200は前回大会で史上初めて10時間を切る好記録が出ており、今年はIan Boswell の10時間18分が優勝タイム。朝6時にスタートして優勝者は16時ごろにゴールします。この時期のアメリカの日没は21時ごろなので、15時間頑張れば日のあるうちに完走できると思うと、なんだかできる気がしますよね。……350と比べているからか頭が麻痺しています(笑)。

さすがアメリカ!合計距離332kmのうち90%が未舗装路

350のスタートは金曜日の15時。金曜日はJr/25/50のレースも行われます。100/200は土曜日にスタート。スタート位置は自己申告制で前から10時間、12時間、14時間……と2時間ごとに並びます。当然先に挙げた選手たちは10時間に並ぶのですが、自分は謙虚で内気な心が邪魔をして12時間に並びました。前に並んでおけば写真とか撮れたのにと後悔しました。

コースに関して走り切ってから思うのは、「さすがアメリカ」。冗談抜きで合計距離332kmのうち90%が未舗装路でした。これをほとんどラインレースにできるのがすごいところ。しかも350のルートをショートカットさせることでコースを200マイルにしているので、距離が長いとはいえ同じところをグルグル回るのではないことが驚きのポイントなのです。

コースを事前にダウンロード、サイコンが切れたら即終了

このコースはコース上に矢印が置いてあるのではなく、レースの一カ月前に提示されるコースデータを参加者が自分でサイコンにダウンロードするなりして、自己責任で走ります。分岐点が結構あるため確実にサイコンにダウンロードしておかないと遭難します。携帯は圏外がほとんどで繋がりません。当然サイコンの充電切れたら終了です。

グラベルは普段車が通っている道の轍は舗装路のように固く走りやすいのですが、使われていないであろう道の石は一つ一つが大きく尖っていて、パンクを誘発させます。40km地点から始まるガレ場は直線で難しくはないのですが、下りのラインを間違えるとパンクするような岩が転がっており、パンク者が続出するため、例年この40km地点で集団がばらけます。

アメリカらしい直線の単調なコースで、コーナーは基本90度。山の中を走るようなことはなく、一部林の区間が走行中の唯一の日陰。道路わきに生えている木の下で仮眠している選手を何人も見ました。

獲得標高は3152mと、一つ一つの坂が短く延々とアップダウンが続くので、インターバル的な負荷がかかります。コースは反時計回りで一周するのですが、午後になると南から吹いてくる風が強くなり、後半にいくにつれて向かい風になるという、まさに鬼の所業でした。

今回のレースに向けた対策

アメリカに赴任して2年になりますが、今回のレースが自分にとって最大の挑戦となるレースでした。ライトウェイプロダクツジャパン様のサポートの元、昨年から乗せてもらっている相棒の「フェルト・ブリード30」もDHバーをつけたりと、レース仕様に改造していく準備は着々と進んでいました。
しかしレース3週間前の練習で、車止めに衝突し落車。STIが破損し、昨今の供給不足のあおりを受けて交換もできず、何とか直してもらいましたが、変速にコツがいるという謎仕様になってしまいました。

さらに右大腿部は腫れあがり、結局長距離の練習が一度もできないまま当日を迎えることになります。300kmまで残り数周のところで雷雨による中止となった7年前の富士チャレが自身の最長距離で、結局300km以上を走った経験が無いという事実は非常に不安な気持ちにさせます。

最大の挑戦を支えた、相棒の「BREED30」

今回はフェルト・ブリード30 2020モデルでチャレンジ。ベースとなる完成車のレビューはこちらに↓

https://www.riteway-jp.com/itemblog/%e8%87%aa%e8%bb%a2%e8%bb%8a%e3%83%96%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%89/felt-34009/2020/10/_siegeryde

BBBのベンドタイプのDHバー「エアロマックス BHB-60」

グラベルレースでは軽量化のためかストレートタイプのDHバーが使われている傾向にありますが、今回はベンドタイプを選びました。特に短距離TTのように出力を上げて走るわけではないから、むしろ安定して走れたと思います。空気抵抗低減のためではなく、長時間は知る際に違う姿勢を取れるという意味合いで、そこまできつくないようなポジションをとれるように調整しました。

Redshiftのステム「Shock Stop」

今回300km以上走ったことがないため不安になりすぎて、秘密兵器として導入したのがこれです。90mmを使用し、最初は気持ち悪かったのですが、思った以上に衝撃を吸収してくれて、これのおかげで路面からの突き上げを上半身に伝えることなく、疲労を軽減させて走り切れたと思っています。ただやはりダンシングすると力が逃げていくような感覚があるので、本当に長距離向けなのだと思います。DHポジションを長時間取れたのもShock Stopの影響が大きいでしょう。ステムにCP/Oasisの距離を書いて貼りました。妻が応援メッセージを書いてくれて、これも走るうえで大きな力になりました。

Cycledesignのフレームバック「EVA FRAME BAG」

ボルトオンタイプのトップチューブバッグでボトルゲージ位置にも取り付け可能です。今回はフレーム上部に取り付けました。背が高くない上にサイド面が固い素材でできているので、ある程度重いものを入れてもバイクを振った時に左右に暴れることが無く、チャックも開けやすいので走行時にストレスなく補給食を取ることができます。今回のレースではおにぎり100g×三ついれて走ったのと、終盤には携帯充電器を入れて、そこからコードを伸ばしてGARMIN520を充電しながら走りました。

BBBのサドルバック「スピードパック BSB-33」

Lサイズの690cm3を使用しました。この中に650のチューブ×2、パッチ、液体のり、タイヤレバー×2を入れて丁度ぴったりくらいの大きさです。

CAMELBAKのボトル「PODIUM DIRT SERIES CHILL 21 OZ /.62L」

キャップ付きのボトルを使用することで砂埃が飲み口につかず、不快な思いをしません。キャップは走行中でも簡単につけ外しでき、専用品なので外した際に落ちることもありません。長時間走るにはいかにストレスを軽減させるかという点も重要になります。ボトルの中身がおいしくても砂利や泥と一緒に飲むのはおいしさ半減です。620mlの大きさはブリード30のフレームのボトルゲージ穴では2本刺すことができなかったので、前後共にボトルケージマウントアダプターを使用しました。加えてボトルゲージはOGKのをRC-12を使用して右斜めから抜き差しできるようにしています。

CAMELBAKのバック「ROGUE LIGHT」

荷室5L+リザーバー2Lあり、長距離ライドには十分の容量です。今回のレースはチェック/オアシスがあったため途中で補給が可能であることを考えて、そこまで大きくないものを選びました。この中には電動ポンプや工具、補給食を入れていました。水は基本1L入れておき、チェック/オアシスで1Lまで補充といった具合に、入れすぎないように注意しました。リザーバーは取っ手部分がついており安定して水を入れやすく、口が大きいため洗いやすくなっています。ホースの先の飲み口は若干噛んで変形させてから吸うタイプなので、先端から漏れる心配は無く、飲みやすい仕様になっています。

LEZYNEのライト「MEGA DRIVE」

CP2で装着したMEGA DRIVEは旧型ですが600ルーメンで十分な光量でした。月明りも街灯もない最後の2時間30分はライト無しでは走れない状況でした。コースはまっすぐなのでそこまで難しくはないのですが、ガレ場を走る区間もあり安心できませんでした。後で見ると説明書には600ルーメンで2時間30分もつと書いてあったので本当にギリギリでした。

スタート前にバイク重量を測ったら13.92㎏

車体総重量はスタート時点で13.92kg。フレームがアルミというのもあるのですが、かなりの重量になりました。DHバーのエンドを切ったりとまだ軽量化の余地はありそうです。また補給食はスタート前、スタート~CP1、CP1~CP2でそれぞれおにぎり×3と、ハニースティンガー・ワッフル×2枚、プロテインバー×2本 、ハニースティンガー・エナジージェル×2本、粉飴ジェル×2本、ハニースティンガー・チュー×2、第1チェックポイントで粉飴300gを1Lに溶かしたものをリザーバーに入れたものを消化。ボトルにはハニースティンガーとグリコ・オキシドライブを毎チェックポイント/オアシスごとに交換し計6本分を摂取。計算してみると4185kcalを食べているが、ストラバで見ると7000kcalくらい消費しているので計算上は若干少なかったようですが、前日にせっせとホテルでパスタを茹でたおかげか、ハンガーノックは避けられたと思います。

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2021年07月03日

 

ライダープロフィール
中村 龍太郎(なかむら りゅうたろう)

2015年全日本選手権個人タイムトライアルチャンピオン。一般企業に勤めるフルタイムワーカーでありながら、Jプロツアーを走り1桁台の順位を量産。トラックレースにも参戦し、全日本オムニアムでは3位。2019年から仕事の関係でアメリカ・ケンタッキー州在住。

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