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ブエルタを第1週振り返り、エヴェネプールが総合リード ログリッチらの反撃に注目|ロードレースジャーナル

vol.43 ブエルタ第1週振り返り
22歳エヴェネプールがが難関山岳で猛攻

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。2022年シーズン最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャは第1週が終了。オランダでの開幕から、スペイン入り後早々に難関山岳が登場。リーダージャージ「マイヨロホ」争いの形勢も見えてきた。大会前半戦を終えて個人総合首位に立っているのは、次世代スターの1人であるレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)。ライバルに対して着々とリードを広げつつある。今回は、そのブエルタ第1週を振り返るとともに、続く第2週の見どころを押さえていこう。

大会序盤はユンボ・ヴィスマによる“マイヨロホ・リレー”

今大会の全容は、本コーナーvol.42をチェックされたい。

ブエルタ直前情報、4連覇かかるログリッチら大物選手参戦!|ロードレースジャーナル

5年ぶりのスペイン国外スタートとなった今回。開幕地オランダで快走したのは、同国に本拠を置くスーパーチーム、ユンボ・ヴィスマだった。

ユトレヒトの市街地を走った、第1ステージ(23.3km)のチームタイムトライアルを2440秒(平均時速56.676km)で走破し大会最初の勝者になると、以降、同国を走った3ステージはユンボ・ヴィスマ内でマイヨ・ロホをリレー。第1ステージでチーム内一番手でフィニッシュしたロベルト・ヘーシンク(オランダ)を皮切りに、マイク・テウニッセン(オランダ)、エドアルド・アッフィニ(イタリア)と、献身的な働きが評価されるアシスト陣が日頃のご褒美となるリーダージャージ着用の喜びに浸った。

©︎ Unipublic/Charly Lopez

この間、第2ステージ(175.1km)、第3ステージ(193.2km)はスプリンターが主役を務め、サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ、アイルランド)が連勝している。

本格山岳をエヴェネプールが完全支配

移動日1日を置いて、第4ステージ(152.5km)からは本来の舞台であるスペインへ。

ユンボ・ヴィスマによる“マイヨロホ・リレー”は、いよいよエースのもとへ。小集団による丘陵スプリントをプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)が制して、今大会1勝目。同時に、個人総合首位に浮上。前人未到の大会4連覇へ向けて、早くも優勢を示すとともに、ツール・ド・フランスで負った落車負傷からの回復をアピールした。

©︎ Unipublic / Charly López

ただ、グランツールにおいては長くリーダージャージをキープするのはアシスト陣の負担にもつながる。開幕早々リーダーチームについたユンボ・ヴィスマは、いったんマイヨロホを手放すという戦術的な動きを見せる。

それが第5ステージ(187.2km)。10人を超えた大人数の逃げをそのまま行かせ、逃げ切りを容認。ステージ優勝争いをマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ、スペイン)が制するとともに、4位でフィニッシュしたルディ・モラール(グルパマ・エフデジ、フランス)のもとにマイヨロホが舞い込んだ。モラールは2018年に4日間マイヨロホを着用しており、キャリア2度目となるグランツールのリーダーに。

第6ステージの頂上フィニッシュでエヴェネプールが有利に

©︎ Unipublic / Sprint Cycling Agency

この流れが劇的に変化したのが、第6ステージ(181.2km)だった。今大会最初の本格山岳は、1級山岳ピコ・ハノの頂上フィニッシュ。濃霧で前がほとんど見えない中でのクライミングは、ジェイ・ヴァイン(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)が後続の追い上げをかわして逃げ切り。その後ろでは、総合系ライダーたちに大きな動きがあり、エヴェネプールのアタックに有力視されていた選手たちが次々と交代。これに続けたのはエンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)ただひとり。勝ったヴァインからそれぞれ15秒、16秒差で走り終えたエヴェネプールとマスの一方で、ログリッチは137秒差でのフィニッシュ。ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)やサイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)といった選手たちもこのグループで終えており、この段階でエヴェネプールが一気に流れを引き寄せる格好になった。

©︎ Unipublic / Sprint Cycling Agency

丘陵部を走った第7ステージ(190km)は、ヘスス・エラダ(コフィディス、スペイン)が逃げ切りメンバーでの争いを制し、エヴェネプールは危なげなくマイヨロホをキープ。アストゥリアスの山岳2連戦となる第1週終盤に進んでいく。

©︎ Unipublic / Sprint Cycling Agency

連戦初日の第8ステージ(153.4km)は、ブエルタ初登場の1級山岳コリャウ・ファンクアヤ頂上フィニッシュ。ステージ争いは最大10人の逃げメンバーから、再びヴァインが躍動。ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)やティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)といった大物との勝負を制して、今大会2勝目を挙げた。一方、メイン集団ではリーダーチームのクイックステップ・アルファヴィニルのペースメイクによって、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)が脱落。状況が整うと、残り4kmで満を持してエヴェネプールがスピードを上げると、これをチェックできたのはマス、ログリッチ、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)の3人だけ。そのまま山頂まで到達し、エヴェネプール、マス、ログリッチは同タイムでレース完了。ロドリゲスも数秒差で続く。このステージを終えた時点で、4選手が個人総合上位を押さえた。

©︎ Unipublic / Sprint Cycling Agency

9ステージでエヴェネプールが2位以下と差を広げた

大会第1週最終日の第9ステージ(171.4km)でエヴェネプールがさらに加速した。最大勾配24%の1級山岳レス・プラエレスの頂上を目指した1日は、この数日同様に逃げメンバーがステージ優勝争い。ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、南アフリカ)が一番に荒れた路面の山頂へと到達した。観る者を驚かせたのは、その後ろで起きていた出来事だ。前日と同じようにクイックステップ・アルファヴィニルのコントロールから、マイヨロホのエヴェネプールがライバルを置き去りにするペースアップ。個人総合のライバルであるマス、ログリッチ、ロドリゲスいずれも追随できず、差は開く一方。エヴェネプールは逃げていた選手たちを次々とパスし、マスに対して44秒、ロドリゲスから46秒、ログリッチからは52秒のアドバンテージを得ることに成功した。

©︎ Unipublic / Sprint Cycling Agency

世界王者・アラフィリップがエヴェネプールをサポート

©︎ Unipublic / Sprint Cycling Agency

1週を終えた時点で、首位エヴェネプールと2位マスとは112秒差。プラス41秒で3位ログリッチ、さらにプラス40秒でロドリゲスとなっている。他とは完全に違う勢いのエヴェネプールだが、第2週以降も突き進むのか。はたまたマスら2位以下の選手たちの猛追あるのか。

クラシックやスプリントステージでのコントロールはお手のもののクイックステップ・アルファヴィニルだが、ここまでは本格山岳ステージでの集団統率もなかなかのもの。世界王者の証であるマイヨアルカンシエルを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス)も機能し、エヴェネプールの好走に高く貢献している。その意味でも、若きエースの戦況は、この先も彼らのアシストにかかっているといえそうだ。

©︎ Unipublic/Charly Lopez

ブエルタ・ア・エスパーニャ 第1週終了時点 個人総合成績

1 レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー) 34:02’32”
2 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+1’12”
3 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+1’53”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+2’33”
5 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)+2’36”
6 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)+3’08”
7 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+4’32”
8 ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)+5’03”
9 ジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)+5’36”
10 パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ、フランス)+5’39”

ポイント賞
マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)

山岳賞
ジェイ・ヴァイン(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)

ヤングライダー賞
レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)

チーム総合
UAEチームエミレーツ

大会第2週の見どころ

すでにマイヨロホ争いの局勢が見えつつあるが、大会第2週でその色合いはよりくっきりすることだろう。

まず、休息日明けの第10ステージで何らかの変動があるはずだ。30.9kmの個人タイムトライアル。トップのエヴェネプールはTTスペシャリストの顔もあるし、追うメンバーのうち、ログリッチは個人TTの東京五輪金メダリスト。彼らを中心に展開することは間違いない。

戦いの場を灼熱のアンダルシアへ移すと、一層勝負は厳しくなる。第12ステージ(192.7km)は、平坦区間を走ったのち1級山岳ペニャス・ブランカスへのアタック。登坂距離19km、平均勾配6.7%、最大勾配15%で、頂上に近づくにつれ路面の荒れも増していく。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2022第12ステージ

週の終盤は再び本格山岳2連戦。立て続けに急坂を上って、1級山岳シエラ・デ・ラ・パンデラの頂上に達する第14ステージ(160.3km)、さらに今大会のクイーンステージともいわれる第15ステージ(152.6km)ではシエラ・ネバダ山脈のオヤ・デ・ラ・モラへ。今大会の最高標高地点であるオヤ・デ・ラ・モラは、唯一の超級山岳でもある。登坂距離22.3kmのうち、上り口からの5kmに最大勾配20%の区間が潜む。ここを上り切った時点で、個人総合争いはどんな形になっているか。第3週を待たずに、大枠ができている……なんてこともなきにしもあらず。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2022第15ステージ

なお、第11ステージ(191.2km)と第13ステージ(168.4km)は、数少ないスプリントステージ。日々耐えに耐えているスピードマンたちが、力を爆発させるときである。

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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