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ブエルタ直前情報、4連覇かかるログリッチら大物選手参戦!|ロードレースジャーナル

vol.42 ブエルタ特有の山岳メインの3週間
2022年最後のグランツールを制するのは誰か!

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。2022年シーズン最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが819日に開幕。そこで、3週間の戦いの見どころをピックアップ。いよいよ、出場23チーム・全184選手の顔触れがそろい、開幕地であるオランダ・ユトレヒトに集結。個人総合リーダーの証である「マイヨロホ」争いをメインに、注目ステージや有力選手の動向を挙げていこう。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 概要

まず、今大会の概要からチェックしていこう。

会期は819日から911日まで。途中で1回の移動日と2回の休息日をはさみながら、全21ステージを走っていく。今年の開幕地はオランダ・ユトレヒト。ブエルタがスペイン国外で開幕するのは5年ぶりで、オランダでの開幕まで見方を絞ると2009年以来13年ぶり。最終目的地は、スペインの首都・マドリード。こちらは2年ぶりの首都閉幕だ。

3週間の総走行距離は3280.5km(諸事情により増減している場合あり)。21ステージの構成は、平坦6・平坦からの上りフィニッシュ2・丘陵4・山岳7・チームTT 1・個人TT 1。この数字から見て、今年もブエルタらしい、山岳メインの3週間であることがお分かりだろう。

なにより、大会第1週から急峻な山々をめぐる日々が待ち受けている。

筆者選定 注目ステージ8

では、コースを見ていこう。筆者の独断で、フォーカスすべきステージを選定した。

●819日 第1ステージ ユトレヒト~ユトレヒト 23km チームタイムトライアル

3年ぶりにチームタイムトライアルが採用された。とはいえ、ブエルタでは過去20年で15回目となるチームTT。とりわけ大会初日に設定されることがほとんどで、フルメンバーの8人がそろった状態で各チームの力を見ていくには絶好の機会でもある。

後述するが、個人総合争いが群雄割拠の様相を呈していることを考えると、大会初日のこのステージをいかにうまく走り抜くかがポイントになってくる。コースは市街地で平坦。極度にテクニカルなセクションはほぼないといえ、オランダ特有の風もさほど心配いらないとの情報も。23kmとチームTTとしては長めの距離設定によって、各チームのタイム差が大きくなる可能性が高い。ここでの順位やタイム差が、その後のレース展開や戦術に強く反映されていくことは間違いない。

●825日 第6ステージ ビルバオ~アセンシオン・アル・ピコ・ハノ 181.2km 山岳

今大会におけるスペイン最初の地であるバスク地方に別れを告げると、いよいよ難関山岳での戦いが本格化。先々のステージと比較すれば「まだ序の口」と言えるコース設定ではあるのだが、やはりチームTTでついた差を埋めようと躍起になる選手が出てくるであろうことから、激しい動きのあるステージとなるはず。

最後に上る1級山岳ピコ・ハノは、登坂距離12.6km・平均勾配6.55%。最大勾配は12%だが、中腹の平坦区間を抜けると11%ゾーンが登場。上った先にフィニッシュラインが敷かれている。

●828日 第9ステージ ビリャビシオサ~レス・プラエレス 171.4km 山岳

大会第1週の最終日。前日から続く難関山岳ステージだが、プロトンを破壊する威力はこの日の方が強そうだ。

最重要はもちろん、フィニッシュへと向かう1級山岳レス・プラエレスの上り。このステージ最後の3.9kmは、平均勾配12.9%の急坂アタック。上り始めからその勾配は厳しいが、1kmほど進んだところで23%区間へ突入。登坂の後半で緩斜面がやってくるが、これを過ぎると今度はさらに厳しい24%区間へ。フィニッシュ前も10%超えで、上りを終える頃には上位陣同士でも相応のタイム差が発生している可能性が大いにある。最後の1kmはアスファルトからコンクリートへの路面変化にも対応が求められる。

なお、レス・プラエレスは4年前にも上っており、このときはサイモン・イェーツ(現チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がトップで駆け上がっている。

●830日 第10ステージ エルチェ~アリカンテ 30.9km 個人タイムトライアル

2週初日は海を見ながらの個人タイムトライアル。コース図からは下り基調が長く、逆に上りがほとんどないレイアウトであることが分かる。主催者によれば、フィニッシュタイムは35分を予想。つまりは、時速53kmで駆け抜ける計算である。

完全なTTスペシャリスト向けのステージ。この日の優勝争いはTT巧者が中心になるだろうが、山岳・TTともに能力を兼ね備えるオールラウンダーにとっては個人総合でジャンプアップまたはリードを広げる大チャンス。一方で、TTを得意としないクライマーにとっては、第1週で築いたものを取り崩す覚悟が必要になる。このステージを終えた時点での、個人総合争いがどんな形成であるかが見ものである。

●94日 第15ステージ マントス~シエラ・ネバダ 153km 山岳

今大会最高標高地点2512mにフィニッシュラインが敷かれる、第2週……いや、今大会でも最重要となるステージ。スペイン国内でもきわめて高温となる地域をスタートするだけに、レース後半の上りはサバイバルとなることが予想される。

1級山岳越えをこなしてから迎えるシエラ・ネバダ登坂。22kmに渡る上りでマイヨロホをかけた戦いの大枠が見えてくることは確実だ。前述の個人TTや、この日を迎えるまでのステージで優位に立っている選手がシエラ・ネバダで“ダメ押し”のアタックを決めるかもしれないし、ライバルの攻撃を封じてジャージを守ることも考えられる。その逆で、追う側が勝負に出て逆転することだって十二分にありうる。獲得標高4000m超えの1日なら、どんなことが起こったって不思議ではない。

誰が優勢な状態で第2週を終えるだろうか。

●98日 第18ステージ トルヒーリョ~アルト・デル・ピオルナル 192km 山岳

大会第3週で個人総合のジャンプアップを狙おうとするなら、チャンスは事実上2ステージ。そのうちの1つが、レース後半に3つのカテゴリー山岳を上る第18ステージだ。

これまでブエルタに登場することが少ない地域で、そうした要素がレース展開にどう作用するだろうか。複数の上りが後半に控えていることから、「前待ち」を企てやすいコースレイアウトである点も押さえておきたい。レース前半の攻防をうまくこなせば、流れを一気に引き寄せられることも。

●910日 第20ステージ モラルサルサル~プエルト・デ・ナバセラダ 181km 山岳

この大会最後の山岳ステージは、最終日前日に設けられる。181kmのルートに1級と2級の山岳5つが詰め込まれ、ただでさえ消耗している選手たちの脚をさらに削りにかかる。

ひとつひとつの上り自体は距離がさほど長くなく、勾配も極端ではないが、それをいくつもこなそうとなると、1つの上りがボディブローのように効いてくる。ここまで来ると、追う側も追われる側も総合エースだけでなく、アシスト陣がどこまで力を残しているかもポイントになってくる。リーダーチームであれば、これだけのコースでレースを統率しないといけないし、エースが逆転を狙っているチームであればそれをお膳立てしライバルを苦しめられるだけの走りがアシストには求められる。

そして、最後の上りに入る頃には、個人総合上位陣によるノーガードの打ち合いになっていることだろう。それを制し、マイヨロホを手にしているのだ誰だろうか。

このステージを終えた時点で個人総合トップの選手が、事実上ブエルタ・ア・エスパーニャ2022の王者に決まる。

●911日 第21ステージ ラス・ロサス~マドリード 96.7km 平坦

3週間を戦い抜いた勇者たちは、スペインの首都・マドリードへと帰還する。個人総合成績が前日に決まることもあり、この日はスタートからしばらくはパレード走行となるはずだ。

マドリードの市街地サーキットに入ると、少しばかりの“レース”が幕開け。もちろん、最後を飾るのはトップスプリンターによる競演。今大会のスプリントチャンスは少ないが、このマドリードステージのために我慢に我慢を重ねたスピードマンたちが己の力を誇示すべくギアをトップに入れる。

21ステージを終えた瞬間、マイヨロホをはじめとする4賞やその他各賞の受賞者が確定する。

●タイムボーナス

・タイムトライアルステージ(第1・第10ステージ)をのぞくすべてのステージのフィニッシュで110秒・26秒・34秒のタイムボーナス。

・第2・第3・第7・第11・第12・第13・第16・第17・第19・第21各ステージの中間スプリントポイントで、13秒・22秒・31秒のタイムボーナス。

・第4・第5・第6・第8・第9・第14・第15・第18・第20各ステージの一部登坂の頂上に13秒・22秒・31秒のタイムボーナス。

ログリッチの4連覇は怪我の回復次第? ジロ王者ヒンドレー、初優勝狙うカラパスも万全

今季最後のグランツールにふさわしく、ビッグネームが続々と参戦を表明。激戦間違いなしのメンツがそろった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

個人総合のマイヨロホ争いでは、昨年まで3連覇中のプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)が今年もスタートラインにつく。ツール・ド・フランスで途中離脱の原因となった落車負傷の具合が気になるところだが、本人は回復をアピール。そのツール以降レースには出場しておらず、慌ただしくなるであろう大会第1週にどう適応していくかがポイントに。選手層の厚さを生かして、ローハン・デニス(オーストラリア)やセップ・クス(アメリカ)、サム・オーメン(オランダ)といった強力な山岳アシストを配備。山岳とTTのバランスから見ても、万全であればログリッチにピッタリの3週間といえる。なお、個人総合4連覇を達成すれば史上初の快挙でもある。

©︎ LaPresse

そこに待ったをかける選手は多数。筆頭格は、今年のジロ・デ・イタリア王者のジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)。第20ステージでの逆転でマリアローザを手繰り寄せた激走がいまも鮮明に記憶に残るが、夏場は休養して7月末からレース復帰。大きなトラブルなく走っており、調整は順調だ。今回はセルヒオ・イギータ(コロンビア)との共闘で、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)もアシストに控える。サム・ベネット(アイルランド)がスプリントで狙うチーム事情もあるが、うまくバランスを保ちながら戦いを進めていく。

©︎ LaPresse

そのジロでヒンドレーに逆転されたのがリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)だった。こちらも今季グランツール2戦目にブエルタを選択。この大会の個人総合優勝は経験がなく、初戴冠に燃える。山岳の強さは誰もが知るところだが、TT能力も高まっており、とりわけチームが得意とするチームTTはライバルに対して先制パンチのチャンス。戦力も充実で、テイオ・ゲイガンハート、イーサン・ハイター(ともにイギリス)、カルロス・ロドリゲス(スペイン)、パヴェル・シヴァコフ(フランス)と、個人総合を狙えるだけのタレントが複数ラインアップ。基本線はカラパスで狙うが、状況次第では総合エース交代など、柔軟に対応できるあたりはチームの強みでもある。

©︎ LaPresse

今大会4人いる個人総合優勝経験者のうちのひとり、サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、イギリス)は、早くからブエルタのタイトルを狙うと公言。7月末にはスペインのレースで3勝(うち1勝は個人総合)を挙げており、好調のまま本番へと乗り込む。チーム力としては他より劣るが、そこはイェーツの経験でカバーしていくことになる。大会を制すれば、2018年以来2回目。

©︎Gonzalo Arroyo Moreno/Getty Images

現在のロードレースシーンのトレンドである、ヤングライダーの快進撃にも期待したいところ。22歳のレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)は、キャリア2回目のグランツールにブエルタをチョイス。早くからこの大会を目指して準備を進めてきた。7月末にはクラシカ・サン・セバスティアンで独走勝利。まだ3週間の戦いには慣れておらず、首脳陣も個人総合を狙うには早すぎるとの見解だが、これまでも他者の見立てをはるかに上回ってきただけに、今回も驚きの走りを見せることは十分に考えられる。

© Bu5Comunicación

かたや、24歳のジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)はすでにグランツールの戦い方を知るヤングライダー。今年のジロは頂点が見える位置を走りながら、大会終盤に体調を崩しリタイア。それからの復調に時間がかかっており、本人もその点は認めているが、8月に入ってブエルタ・ア・ブルゴスでステージ1勝し、個人総合でも2位としたあたりを見ると、状態は悪くない。当初共闘予定だったタデイ・ポガチャル(スロベニア)が出場を回避し、チーム内一番手として個人総合に挑戦する。グランツール初出場のフアン・アユソ(スペイン)やツールでの走りが印象的だったブランドン・マクナルティ(アメリカ)が脇に控えるのも心強い。

ミケル・ランダ ©︎ LaPresse

ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム)、ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)、ミケル・ランダ(スペイン)とジャック・ヘイグ(オーストラリア)のバーレーン・ヴィクトリアス勢も上位戦線に名乗りを上げる。地元の雄モビスターは、総合表彰台経験者のエンリク・マス(スペイン)を軸に難関ステージにチャレンジする。

サム・ベネット © BORA – hansgrohe / Hennes Roth/Sprintcycling

数少ないチャンスを生かそうと躍起のスプリンター陣では、先述のベネットのほか、ティム・メルリール(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)、パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)らによるフィニッシュ前の勝負が楽しみ。混戦になればマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)やブライアン・コカール(コフィディス、フランス)にも勝機が出てくる。

©︎ Luc Claessen/Getty Images

クラシックシーズンの怪我から回復し、世界選手権3連覇へ準備を進めるジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)、ともに今季限りでの引退を表明しキャリア最後のグランツールとなるアレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム、スペイン)とヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ・かザクスタン チーム、イタリア)、逃げでおなじみのトーマス・デヘント(ロット・スーダル、ベルギー)の走りも大会を盛り上げることだろう。

ブエルタ・ア・エスパーニャ 出場チーム

ユンボ・ヴィスマ

アージェードゥーゼール・シトロエン チーム

アスタナ・カザクスタン チーム

バーレーン・ヴィクトリアス

ボーラ・ハンスグローエ

コフィディス

EFエデュケーション・イージーポスト

グルパマ・エフデジ

イネオス・グレナディアーズ

アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ

イスラエル・プレミアテック

ロット・スーダル

モビスター チーム

クイックステップ・アルファヴィニル

チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ

チーム ディーエスエム

トレック・セガフレード

UAEチームエミレーツ

アルペシン・ドゥクーニンク

ブルゴス・BH

エキポ・ケルンファルマ

エウスカルテル・エウスカディ

チーム アルケア・サムシック

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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