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これからのロードバイクタイヤは30Cオーバーがスタンダード?|TLRタイヤインプレッション

かつては700×23Cが主流だったロードタイヤも25Cの時代を経て、ワイドリムが主流となった現在では28Cが一般化している。さらに30C以上のワイドタイヤも標準となりつつある。ワイドタイヤの走行感とはいかなるものなのか? また28Cと32Cの違いとは?
3ブランドから注目のチューブレスレディタイヤを紹介するとともに、レーサーとホビーライダーの視点からインプレッションした!

レースでも28Cが標準、30Cや32Cも特殊なタイヤではない

日進月歩で進化を続けているロードバイク。タイヤも例外ではなく、ディスクブレーキ化やチューブレスの採用、リム内幅のワイド化などによって進化を続けている。最も顕著なポイントといえるのがタイヤサイズのワイド化だ。かつては19Cや23Cが標準だったタイヤ幅も25Cを経てレースでも28Cタイヤの採用が標準となっている。また近年ではロードバイクの楽しみ方も多様化して、エンデュランスやロングライド、さらにはグラベルロードが登場するなど、タイヤ幅の選択肢は格段に広がった。エアボリュームの大きなワイドタイヤのメリットは多く、乗り心地がよく走行抵抗の少ないタイヤの開発が進んだため、かつてのように「太いタイヤ=もっさりとした乗り心地」というのは過去のものとなっている。そのため現代の標準的なディスクブレーキロードバイクでは、32C程度まで対応していることがほとんどだ。選択肢が多くなると同時に生まれるのが、自分にベストなタイヤ幅がわからないという問題だ。

そこで注目の3メーカーのタイヤをインプレッションしながら、30Cや32Cの実力はいかなるものなのか? また28Cはどんなライダーに向いているのか検証していこう。タイヤはすべてレースでも使用できるハイエンドをチョイス。マキシスとヴィットリアは28Cと32C、コンチネンタルは30Cを2人のライダーがインプレッションする。

ナノカーボン粒子のブラックチリコンパウンドを採用「CONTINENTAL GRAND PRIX 5000S TR」

コンチネンタル・グランプリ5000S TR

価格:15,950円
サイズ:350×30/32B、700×25/28/20/32C
TPI:2層220
カラー:ブラック、ブラック×トランスパーレントスキン
重量:300g(700×30C)
問:ミズタニ自転車 https://www.mizutanibike.co.jp/

インプレッション記事はこちら

ハイパーコンパウンドで転がり抵抗軽減とハイグリップを両立した「MAXXIS HIGH ROAD」

マキシス・ハイロード

価格:10,780円(700×25Cのタンウォールカラーのみ11,660円)
サイズ:700×25/28/32C
TPI:170
カラー:ブラック、タンウォール(25Cのみ)
重量:315g(28C)、350g(32C)
問:マルイ https://maxxis.jp/

インプレッション記事はこちら

コットンタイヤの性能を極限まで高めた「VITTORIA CORSA PRO」

ヴィットリア・コルサプロ

価格:13,900円
サイズ:700×24/26/28/30/32C
TPI:コットン320
カラー:ブラック×パラ
重量:295g(28C)、320g(32C)
問:VTJ https://www.vittoriajapan.co.jp/
※上記はチューブレスレディ(チューブド兼用)仕様の価格とスペック、そのほかチューブラー仕様もあり

インプレッション記事はこちら

インプレッションライダーはこの2人

管 洋介(左):本誌インプレッションでもおなじみのベテランライダー。スチールからカーボンまで、ロードバイクの進化を経験してきただけにタイヤに関する造詣も深い。今回は主にレーサー視点でインプレッションを担当した。体重68kg。

柴山大輔(右):川崎市中原区のショップ「MAGNET」でメカニックを務める。ロードバイク歴も長く、現在はフルオーダーしたディスクブレーキ仕様のスチールロードに乗る。ホビーライダーとしての視点でタイヤをインプレッションする。体重52kg。

空気圧を変えながらインプレッション!

インプレッションはタイヤ空気圧の基準を決めて行った。28Cは4.5bar、30Cは4.3bar、32Cは4.0barを基準値として、エアゲージで計測しながら下げることで、体重の異なるライダーごとの最適空気圧を見極めながら行った。

28C~32Cのタイヤをインプレッション

マキシスとヴィットリアは28Cと32C、コンチネンタルは中間である30Cのタイヤをインプレッションした。ワイドタイヤの実力を測るために舗装路のほか、未舗装路や石畳など、さまざまな路面でもテストした。

試乗ホイールはシマノ・アルテグラで統一

多くのライダーから支持されるアルテグラグレードのカーボンホイール、WH-R8170-C36-TLを使用。すべて各タイヤメーカー指定のシーラントを使用してチューブレスレディで運用した。

WH-R8170-C36-TL

価格:22万8618円(前後)
問:シマノ自転車お客様相談窓口

インプレッション総論

管:今回、3メーカーのチューブレスレディをインプレッションしました。マキシスとヴィットリアは28Cと32C、コンチネンタルは中間の30Cをテストしました。
チューブドのクリンチャーがメインであった23Cや25Cかという時代とは、かけ離れたところにあるのが今回の3本だと感じました。やっぱりチューブレスになった現代のタイヤって、こんなに快適なんだなっていうのをトータルで感じていますよね。

柴山:これは当たり前なんですけど、この3種類がそれぞれチューブレスレディの性能をしっかり感じられる。これだけ性格の異なる3タイプがあるというところが非常に面白いし、選ぶ幅があって面白いんじゃないかな。どれも一回触ってみると、ああ履き替えたんだなっていうのがすぐ分かる面白さ。車体はそんなすぐ変えることはできませんから、これは魅力的な要素ですよね。

ワイドタイヤを選ぶ際は自分のバイクのタイヤクリアランスが対応しているかを必ずチェックするのが前提となる

管:タイヤだけでこれだけ性格が違うんだったら、履き替えることでライドの幅って結構広がるかなというのが大きな答えにもなっちゃいます。実際に思うところは、これまでは30Cや32Cの太さのタイヤはロードバイクに乗る多くの方の選択肢にさえ上がってこなかった。それがタイヤ自体の進化やリム幅の拡大、チューブレスの導入によって、スポーツ色の強いライドでも、ものすごく実用的な性能になっているという印象です。そのうち30Cがマストなサイズになっていくんだというのを感じさせてくれました。

ヴィットリア・コルサプロの28C(右)と32C(左)を比較。トレッド面は全体の太さほど変化させずエアボリュームを増している印象

柴山:30Cが標準になりかねない良さを持っていたかなというのが、今回のグランプリ5000S TR(コンチネンタル)ですね。今は主に28Cがレース界の標準だと思うんですけど、それが30Cとなればより快適性は高いし、フィールドがオンロードだけじゃないところまで広がるのが面白いと感じました。そのなかでもコルサプロ32C(ヴィットリア)の巡航力の軽やかな伸びというのは、バイクの性能を思い切り引き上げてくれるなと思うほどびっくりの高性能でしたね。

管:コルサプロのこの飛びぬけたメリットの隣り合わせにはタイヤの薄さを感じる部分もあるので、その辺はユーザーがどのようなタイミングでこのタイヤを使うかとか選ぶところでもあります。ハイロード(マキシス)はシャープな駆動感がレーシーな印象でしたね。

柴山:ハイロードは高剛性でアグレッシブな走りができるレーシングタイヤという印象ですね。ペダリングのパワーを無駄なく路面に伝えるタイヤでした。また反応性もいいので、タイトな下りコーナーが続くシーンや、上りでのダンシングでバイクを意のままに操れる印象です。

管:そうですね。この性格は28Cでも32Cでも共通するものがありました。剛性感は空気圧の調整で変わってきます。路面をしっかりととらえて、それでいてレスポンスの良さを感じられるところにセッティングするのが重要ですね。かなりロードレースの実践向きと感じました。

高剛性で駆動力を余すことなく伝達する印象だったマキシス・ハイロード

柴山:3種全部個性が違うタイヤに、あとはそれぞれを空気圧で微調整するとライドを本当に楽しめるかなと思いますね。このサイズのタイヤは空気圧の違いを感じやすいのが面白いですね。

管:フレームの硬さとかと合わせてタイヤをという話題もありましたが、硬いフレームにしなやかなタイヤはフレームの持ち味のシャープな腰が砕けると感じやすくなりますが、確実に振動減衰性は高まるので乗り心地は良くなる。ソリッドな感触を走りに求めるなら違うタイプのタイヤを求めるのがもちろんベストだと思います。32Cはタイヤのフレームのクリアランスの幅にも影響するので、やはりディスクブレーキロードの登場により採用されたサイズといえるでしょう。28Cと32Cは見た目にも相当ボリュームが違いますね。

柴山:今回のタイヤを総合的に比べてしまえば32Cならコルサプロの性能は非常にインパクトがあったし、ハイロードは28Cが一番アグレッシブにタイヤの持ち味を生かせていた。そして30Cのグランプリ5000S TRはタイヤの標準サイズを引き上げてくれトータルでメリットの良さを感じるタイヤだったんじゃないでしょうか。

今回唯一の30Cだったコンチネンタル・グランプリ5000S TRは総合面で優れたタイヤだった。28Cと32Cもラインアップする

管:ここ2、3年でプロレーサーが履くタイヤも25Cから28Cとなり、チューブラーからチューブレスレディへと移行する変化がありました。フレーム設計自体がその変化に合わせているわけで、一般ユーザーもこのサイズに注目せずにはいられないですよね。

柴山:ここまで太めの30Cや32Cの方が良い印象の会話になってしまっているけど、じつのところそうではないですよね。28Cを選ぶべきライダーは確実に存在している。やはりレースに出るとか速さに妥協したくないなら28Cだと思います。太いタイヤの快適性と、細いタイヤの速さというトレードオフの関係は排除できない。ただしその差というのは以前と比べて確実に少なくなっていますね。

管:そうですね。しかし、レースでも条件次第では30Cや32Cの選択もありだと思います。かつてのこのサイズはコンフォートタイヤという印象でしたが、確実に走行性能が高められている。1本ですべてをこなしたいというホビーライダーは太めのタイヤを選択することをオススメしたいですね。

柴山:今回のチューブレスレディのサイズ違いというのは、本当にタイヤを楽しめるきっかけを感じました。これをやはりユーザーに味わってほしい。比較的お手頃に変えられるものでもあるとは思うので、今まで以上にカスタマイズ、チューンナップするという要素が増し面白いと思います。タイヤは使えば減るものだし、減ったらちょっと違うニュアンスのものを付けてみようっていうチャンスですよね。太めのタイヤへ少し変えてみる勇気を持ってもらえればいいかなとか。改めてこの足回り(タイヤ)の重要さっていうのはよく分かった企画でした。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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