
紳士の装いから香る気品はニットでさらにプラス

阿部
- 2025年02月18日
INDEX
ゴルフウェアにおいて機能素材は当然のように使われていて、その快適さには驚かされるばかり。そのテック素材に逆行するかの如く、天然素材をベースにした「ニットウェア」に再注目。歴史的な生産背景、職人たちの技術、伝統のスポーツウェアとして格式を持つなど。作り手のこだわりを大切に守るブランド、語れるバックボーンがあるのもいい。ニットを取り入れた“旬なスポカジ”でのスタイリングを実践してみませんか!?
ゴルフにも最適な主なモデルニットの種類を紹介
種類を知れば、ウェアを着こなす上でピックアップするアイテムが変わってくる。伝統を受け継いでいるものが多く、流行に左右されないことで長く愛用できるのはニットの魅力でもある。ポイントを押さえて自分だけのスタイルを!
スタイルに取り入れる前に再確認しておこう
ハイテクな素材が次々と登場しているなか、天然素材が用いられるセーターにはクラシックな印象と懐かしさを感じる温かみが存在する。長く愛用でき、自分のスタイルに合ったものを的確にピックアップしていきたい。手に入れる前に代表的な5種類をもう一度確認しておこう。
セーターは海の男たちの作業着としてのルーツを持ち、生活していく上で必要な防寒機能を前提に作られた。今日まで残るセーターには、ガンジーセーターやフェアアイルなど、産地である島の名がそのままアイテム名として使われていたり、その土地の伝統が受け継がれているのだ。セーターには秋冬だけでなく素材によってはオールシーズン着用できるアイテムも多いから、種類の知識を得れば、さらに上品でこなれたスタイルを楽しめる。
TILDEN SWEATER【チルデンセーター】
縄編みが施され、袖口や首周りのラインが特徴のセーター。名の由来となったのはウィリアム・チルデンというアメリカのテニスプレーヤー。別名として“テニスセーター”もしくは、英国伝統のスポーツ・クリケットでも愛用されたことで“クリケットセーター”。
ARGYLE SWEATER【アーガイルセーター】
アーガイルチェックは多数の色糸が用いられ、菱形や幾何学的な柄でデザインが構成される。スコットランド西部のアーガイルが語源となっていて、アイビールックには不可欠なアイテム。オーセンティックな装いだけでなく、カジュアルにも最適で馴染みのある柄。
NORDIC SWEATER【ノルディックセーター】
雪の結晶やトナカイなど、名の通り北欧の人が着用するセーターがモチーフとなっている。また別の名ではスカンジナビアンセーター。点描画はルースコスタと呼ばれ、ノルディックセーターを象徴する柄。クラシカルな印象で男女問わず人気柄のひとつ。
GUERNSEY SWEATER【ガンジーセーター】
保温性と防水性に優れる伝統のセーターは、イギリスとフランスの間にあるチャネル諸島のガンジー島に伝わる伝統的なセーターのこと。極寒の海の地、激しい海の上や造船業で働く男たちを雨やしぶきから守ろうと、無事の帰りを祈りながら編み上げていた。
V-NECK CARDAIGAN【Vネックカーディガン】
シャツやポロシャツなどと相性がよく、羽織れるアイテムとしても人気。ほかにも“ヘチマ襟”と呼ばれる「ショール襟」、大学のイニシャルマークなどを胸に配した「レタードカーディガン」などもあり、1960年代にはアイビーブームで国内でも人気であった。
「ジョン スメドレー」〜新しい可能性を追究し続ける名門
英国が誇る名ブランド
最高級の素材、長い伝統に培われた技術、そして最新のテクノロジーの融合で世界を虜にする「ジョン・スメドレー」。

ジョン・スメドレーと彼の共同経営者ピーター・ナイチンゲールにより、イングランド・ダービーシャー州マットロックのリーミルズに同社が設立されたのは1784年。現在で241年の歴史を誇る、英国を代表するニットブランドだ。職人による手作業の良さを継承しつつ、常に新しい技術を取り入れて進化をし続ける姿勢で、世界でも愛されるブランドとして不動の地位を確立している。
30ゲージという超軽量な編み目の細かいニットを生産。ボディー部分と袖は手作業でひと針ひと針つなぎ合わされ、編みあがった製品はマットロック地区の豊かな水源を使用し洗浄される。これは特有の柔らかな肌触りを与える上で重要な工程。創業の地で、ブランドの歴史とともに受け継がれてきた伝統を守り続ける名門は、今なおニットウェアの価値創造を続けている。歴史を知れば、袖を通してみたくなる。旬な“スポカジ”としてお勧めしたい。


1.上品でクラシカル顔のニットシャツカーディガン
襟付きのニットシャツは程よくハリのある24Gニットを使用。シンプルながらも上品でクラシカルなスタイルに。シーアイランドコットンを使用していて、表面の滑らかさとほのかな光沢感が特徴。57,200円。
2.最高級ラグジュアリー素材はカシミヤシルクのタートルネック
最高級ラグジュアリー素材「LUXURY FIBRES」のコレクション。カシミヤとシルクを組み合わせることで、糸に強さと光沢が加わり、両方の繊維のメリットが最大限に生かされた美しいハイゲージニット。132,000円。
3.1枚は持っておくべき定番コットンニットポロ
世界的にも評価の高い最高級綿「JOHN SMEDLEY’S SEA ISLAND COTTON(シーアイランドコットン)」を使用。シルクのような光沢とカシミヤのような肌触りをあわせ持つ最高級天然素材だ。44,000円。

紛れもない正装着「チルデンセーター」
英国伝統のスポーツウェア
英国伝統のスポーツであるクリケットに興じている人たちが愛用していた「チルデンセーター」が醸すエレガントさに再注目。

着こなしを彩るアイテム
あらゆるシーンで正装が存在するという英国。それはスポーツにおいても同様なのだ。ゴルフ発祥の地でもある英国において、青々とした芝の上でスポーツに興じる紳士ゴルファーたちにとって、紛れもない正装アイテムだ。
DRUMOHR ドルモア

TOMMY HILFIGER GOLF トミーヒルフィガーゴルフ

FRED PERRY フレッドペリー

James Charlotte ジェームス シャーロット

彩り豊かに緻密で規則的な伝統の柄
チルデンセーターは本来クリケットセーターであり、アメリカでは1920〜1930年代に活躍したテニスプレーヤー、ウィリアム・チルデン選手が長く愛用していたことで広まった名称。
なぜスポーツウェアとしてセーターを着るのか?最近の軽量・ストレッチといったハイテク素材とはまったく異なるアイテムなのに——。もちろん理由はある。英国の年間平均気温は東京より5〜6度ほど低く、夏場でも日没後は肌寒く感じることが多い。屋外スポーツではセーターが必要とされていたのだ。また、転倒時の衝撃を緩和させる役割もある。スウェットなどのスポーツウェアではなく、ケーブル編みの上品なセーターを着て優雅に嗜まれるクリケットには、英国紳士のこだわりが感じられる。
カラフルな幾何学模様が特徴の「フェアアイル」も有名だ。英国・スコットランドの諸島を構成するフェア島に伝わるパターンであり、1922年にウィンザー公がゴルフウェアとして着用したことで世界中に広まった。ガンジーセーター同様、島の女性たちが編んでいた背景があるのだ。
歴史的背景が生み出す美しい模様
フェアアイルなど、産地でもある島の名がそのまま使われている。それは脈々と受け継がれた伝統の証明。

THURSDAY GOLFIN BUTCHERS サーズデイ ゴルフィンブッチャーズ

PEMBRIDGE SHEPHERD ペンブリッジ シェパード

SAINT JAMES セントジェームス

無地こそ上質にこだわる紳士の趣
愛用のニットに最近のお気に入りの服をミックスしたり、バランスを取るのもオシャレには重要。上品さと武骨さの絶妙な足し引きこそが必要。

Guernsey Woollens ガンジーウーレンズ
優れる点は「保温力」と「防水力」。紡績工程で堅く編み込まれた毛糸は風を通しにくく、少々の雨や風などは寄せつけない。さらに、漁業の仕事で使われている背景もあり、動きを妨げないように首や肩、腕を動かしやすく、伸縮性もある工夫がされている。


AddElm

rough&swell ラフ&スウェル

5525 ゴーゴーニーゴー

ESTROSO エストロソ

カジュアルからドレスまで応用が効く「カーディガン」を極める

襟もVネックだけでなく、ショールカラーなど豊富な「カーディガン」を愛用するゴルファーも多いだろう。素材や色柄も多彩で、そのマテリアルをアクセントにアウター兼インナーとしても活躍。幅広いシーンで合わせやすいから、ゴルフ観戦などでもジャケット感覚でお洒落を楽しみたい。
RENCONTRANT レンコントラント
全体に大きめのチェック柄が入ることでトラッド感も出るため、普段のコーデに一枚羽織るだけで表情を変えることができる。

FANNI LEMMERMAYER ファニ レママイヤー
特徴的なマルチストライプを目にしたことがある人も多いのではないだろうか。オーストリアで1877年に設立された老舗ブランド。

SEVE セベ
シンプルなアイテムこそ、風合いや仕様が重要。Vネックの深さやボタンの素材によって、合わせるほかのアイテムがより映える。

LACOSTE ラコステ
左胸のクロックエンブレムだけに装飾を抑えたミニマルなデザイン。トレンド感あるシルエットに加え、袖内の配色もアクセントに。

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