新卒一括採用が崩壊した時代の『今、入りたい会社』by Linkedin
FUNQ
- 2019年04月03日
世界で6億1000万人が使うLinkedInは、なぜ日本で普及していないのか?
アメリカではビジネスSNSといえばIT系を中心にLinkedInが主流になっている。
日本ではビジネスにも使われるSNSといえば、Facebookが主流になっている。しかし、Facebookではプライベートも混ざってしまっている。先ほど名刺交換した人が週末子供と遊園地に行っていたということを知るのは、良いコミュニケーションになる場合もあるが、複雑な気持ちにもなることもある。
LinkedInは、日本のユーザー数はまだ多くはないが、ワールドワイドでのユーザー数は6億1000万人と発表されており、約4億人と言われるTwitterのユーザー数より多い。アメリカのモダンな会社ではビジネスミーティングの前にLinkedinでつながって、お互いの経歴やスキルと知り、ミーティングが始まったと同時に本題に入る……というのが普通になっている。1回目のミーティングは顔合わせで終わり、その後もCCメールでやりとりすることが多い日本とはスピード感においてかなり差が出来ている。
名刺交換からコミュニケーションツール、簡単な履歴書として役に立つLinkedInは、働き方が柔軟になっていくこれからの日本で普及していくと弊誌は考えている。
なぜ、日本でLinkedInの普及が遅れているかというと、やはり転職サイトに見えるからだろう。会社への忠誠心が問われる日本社会で、LinkedInのアカウントを活用していると忠誠心が疑われる……と不安になる人が多いのだろう。
転職の役に立つという側面は否定できないが、ビジネスの役にも立つ。働き方改革が叫ばれる昨今なのだから、そのあたりも徐々に柔軟になってくれればいいのだが。
IT系企業、外資がずらりと並ぶLinkedInのランキング
さて、そんな『新しい働き方』の最前線を突っ走るLinkedInが、2015年からアメリカで発表している『TOP COMPANIES』入りたい会社ランキングの日本版を初公開した。
【LinkedIn独自調査】データが語る「今、入りたい会社」トップ25
https://www.linkedin.com/pulse/linkedin%E7%8B%AC%E8%87%AA%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E4%BB%8A%E5%85%A5%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%9725-satoshi-ebitani/
ちなみに、日本の就職サイトが発表している新卒の人気企業ランキングでは、文系上位が『ANA』『JAL』『東京海上日動火災保険』『JTBグループ』『オリエンタルランド』、理系上位が『ソニー』『味の素』『明治グループ』『カゴメ』『サントリーグループ』となっている。そのあたりを意識して見比べてみるとなかなか興味深い。
参考:(マイナビ・日経 2019年卒大学生就職企業人気ランキングhttps://saponet.mynavi.jp/release/student/popular/2019%E5%B9%B4%E5%8D%92%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E7%94%9F%E5%B0%B1%E8%81%B7%E4%BC%81%E6%A5%AD%E4%BA%BA%E6%B0%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0/)。
1位はAmazon、2位アルファベット(つまりGoogle)、3位楽天、4位オラクル、5位セールスフォース、6位IBM、7位SAPまで、いわゆるIT系企業がずらりと並ぶ。
日本企業としては、3位楽天、11位LINE、12位武田薬品工業、18位日産自動車、19位ヤフー(これは日本法人のことですよね?)、20位サイバーエージェント、22位NECなどの名が並ぶ。
上記新卒の人気企業ランキングと、出てくる顔ぶれがまったく違うところが興味深い。
なぜ、新卒の人気企業ランキングと、LinkedInの人気企業ランキングは違うのか?
考えなければならないポイントはふたつ。
ひとつは、LinkedInのユーザー層自体が『IT系・外資系中心』であることに由来するだろう。
海外のビジネスマンとコミュニケーションする機会の多い人ほど、LinkedInを活用する機会が多いし、現状日本ではそういう企業が中心にLinkedInが求人を出しているから、当然ながら『IT系・外資系中心』のランキングになる。
考えようによっては、『LinkedInユーザーの中でのランキングに過ぎない』ともいえるだろう。
もうひとつは、LinkedIn自体、当然新卒層より、転職層が使うものだから、より実戦的なランキングになっているという側面。ユーザー層自体が経験を積んだビジネスマン中心だから、彼らが活躍できるステージとして、現在企業としてのパフォーマンスが高く、高収入が期待できる職場としてこれらの会社を選んでいるということだ。
そんな視点で、新卒人気企業ランキングと見比べると、新卒者は資本規模、知名度、大きいから安心……といったぼんやりとした安定志向で選んでないかと不安になる。新卒で就職を志す人にとってもこのLinkedInのランキングから学ぶことは大きいのではないだろうか。
そのあたりを考えると、大学生や、新卒者、そしてもちろん現在働いていてキャリアアップを考えている人も、とりあえずLinkedInのアカウントを作り、プロフィール欄ぐらいはしっかり作っておかなければならいということが分かるだろう。
たとえ、同じ会社に勤め続けるにしても、自分のキャリアをしっかりと見つめ、仕事で関わる社外の人たちに自分のことを伝えるためにも、プロフィール欄をしっかり作ることをお勧めする。
ちなみに、ヤフージャパンから『転職』したLinkedIn日本代表の村上臣さんは、今日LinkedInにこんなポストをしている。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年10月号 Vol.84』)
(村上タクタ)
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