首都の巨大インフラ、東京メトロを支えるiPad(2/2)
FUNQ
- 2016年09月07日
(前編はこちら
首都の巨大インフラ、東京メトロを支えるiPad(1/2))
改札や案内所で使われるiPadは870台
iPadが活躍するのは深夜の点検時だけではない。
駅構内の改札や案内所でもiPadが活躍している。こちらの導入台数は非常に多く、改札への設置数は全路線合計で870台となっている。
「最近ではお客様の多くがスマホを持って情報を検索されます。なのに、ご案内する駅員がインターネットでの検索もできないような状態では、正確でタイムリーなご案内は難しいというのが正直なところです。しかし、パソコンでは画面をお見せするのが難しい。iPadならネットで検索しつつスマホより大きな画面をお客様に見ていただくことができます」と、案内ご担当の方。
「よくご質問を受ける飲食店やお店についての情報も事前に確認しておきます。勤務している駅の周りの道は極力歩いてまわりお客様からご質問があった時にきちんと対応できるように準備をしています。もちろん、東京メトロのウェブサイトも使います」
翻訳アプリがとっても活用されている
東京メトロのウェブサイトを使って案内をすることも多い。路線案内、運行状況の確認、乗り換えの検索などができる。また、多言語対応が進められており、日本語、英語、韓国語、中国語の簡体字と繁体字、タイ語に対応している。
「すべての駅員が、英語が得意なわけではありません。また、駅には本当に色々な国の方がいらっしゃるので、英語が通じるとは限りません。スペイン語などを使われる方も多いですし、今は中国語圏の方は非常に増えています。そんな時にiPad の翻訳系のアプリは、意思疎通に本当に役に立ちます。東京では、2020年の東京オリンピック開催に向けて、海外からのお客様がさらに増えていくことが予想されています。そんな中、従来の仕組みに加え、必要に応じて様々なツールを活用することが重要だと考えています。」
もちろん、案内ブースでも使われる「従来は窓口で質問を受けて、事務所にあるパソコンで調べたりしていました。iPadならお客様に直接画面をご覧いただくこともできます。言葉が通じない場合などにも便利です」とのこと。
使われている地図は案内用に独自に作り込まれているもの。地下鉄の出入り口や、よく聞かれる店などが書き込まれている。また、実際に担当している駅の周りを歩いて、新たにオープンした店についての情報を集めたりもするという。
独自アプリが安定動作するiPadだからこそ
今回の取材では、東京メトロさんのご協力をいただいて、普通は入れない夜間の線路内に入ったり、駅係員の方にお話を聞くことができた。
本当に巨大で、営業中は少しの間も止まることができず、絶対に正確に動き続けているインフラである地下鉄。終電から始発までのわずか3時間の静謐な空間が、都市の真下にあることを初めて知った。
その総延長195.1kmの保守点検にiPadが大きな役割を果たしていた。
柔軟に独自アプリを作り、安定動作させることができるというiPadのビジネス面でのメリットを見ることもできた。多くの人がiPhoneを使っているので、特別な訓練なしに直感的にiPadを使えるというメリットも大きいそうだ。
保守点検側では、以前存在した保守点検に関する膨大な書類をiPadに集約できたことが多いという。以前は点検を終えてから事務所に戻って長時間かけて書類を書いていたが、今は点検した場所でそのまま記入できるという点においてiPadが大きく効率化を果たしているという。
iBeaconで自動的に位置が記録されるなど、間違いが起こりにくいというのもメリットだし、万一何かあった時にも、その場所はどういう保守点検を受けた場所なのか、瞬時に把握できるというのも利便性を大きく向上させているという。
鉄道系では、東京メトロが率先してiPadを採用したため、他社もiPadを使うケースが増えているという。
駅構内での案内にもiPadが多用されている。次に東京メトロに乗る時には、ぜひそういった部分にも注目してみていただきたい。
(取材協力:東京メトロ)
(村上タクタ)
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