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新経済サミットで語られた、中田英寿の日本酒、伝統産業イノベーション

IT版経団連『新経済連盟』の『新経済サミット』に中田英寿が登壇!

新経済サミットは、楽天の三木谷社長などが中心となって起した経済団体『新経済連盟』のイベント。

新経済連盟は、製造業を中心として構成される経団連に対して、IT系企業が中心となって政府に政策提案などを行っていこうという経済団体。まだまだ経団連ほどの影響力はないが、世界経済がITを中心として動いているのに、日本が製造業中心の経団連だけの提言する政策を軸として動いていては、いろいろと後手に回ってしまうだろう……ということで、作られたもの。

新経済サミットは、日本、世界の名だたる経営者やアントレプレナーなどが集まって講演やセッションを行うので、非常に面白い。

その中でサッカー選手として知られる中田英寿さんが、最近取り組んでいる日本酒について語ってらっしゃったので、ご紹介しておこう。

※ただし、中田さんのセッションは撮影禁止だったので、写真はその前に会場を撮ったもの。

中田英寿さんが提示した5本のお酒、知ってる?

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そもそも、経済団体のセッションに中田さんが登壇するというのが興味深いのだが、話の内容は非常に示唆に飛んだものだった。

まず、前のディスプレイに表示されたのは5本の酒瓶。

写真がなくて申し訳ないが、その5本とは『而今(じこん)』『寳劔(ほうけん)』『獺祭(だっさい)』『九頭龍(くずりゅう)』『き(七を3つ重ねた字)六(きろく)』。

「この5本、ご存じの方、いらっしゃいますか?」と中田さん。いずれも名だたる銘酒だが、それぞれラベルの字が凝ってることもあり、手が上がらない。(ちなみに、あとで中田さんが語るが、前者4本は日本酒。『き六』のみ焼酎)

中田さんによると、今、日本酒は世界のレストランでも話題になるようになっているという。日本食レストランが海外でも増え、訪日外客数もうなぎのぼりの昨今だ。

しかし、日本酒については意外と理解されていないのが実態なのだそうだ。

まず、透明だから蒸留酒だと思われていることが多い。一般に醸造酒は食事に合わせるが、蒸留酒は食事に合わせないので、食事に合わせて呑むというのが理解されにくい。また、熱燗で出すところが多い。これは、昔輸送設備が十分でない時に、味が落ちたのをごまかすために、熱燗で出したことが多いかららしい。また、日本食にしか合わないと思われていたり、そもそもラベルが読めないから、理解が進まない……という問題もある。

ラベルがアルファベットで書かれ、世界中にその楽しみ方を理解した人が広まっていることにより正しく価値が理解されている、ワインとの大きな違いだ。

世界を旅し、日本を旅して、たどり着いたところ

中田さんは2006年にサッカー選手を引退して以来、世界中を旅したという。そして、世界中でいろんな人に会ったことで、「日本人として日本を知らない」という事に気がつき、日本中を7年かけて旅したという。日本各地を回ったクルマの走行距離は合計するとなんと20万km以上にもなったという。

サッカーが好きでサッカーで一番になりたくて、サッカーを続けて来た中田さん。これまでの人生で好きなことしかやってこなかったし、次も好きなことをやるべきだと思っていたという。日本中を旅しながら、素晴らしい工芸、農業、日本酒や焼酎などのお酒に出会ったという。

日本をめぐる旅の過程では、340〜350カ所の醸造元を回った。

そして、日本酒や伝統産業などが世界に評価されるにはプラットフォームが足りないということに気がついた。それぞれの製品を一生懸命作っている人はいる。素晴らしいクオリティもある。しかし、それがちゃんと世界の人たちに伝わらない。

たとえは、焼き物ひとつとっても、目の前にある焼き物が何焼きで、どこで買えるのか、どのぐらいの価値のあるものなのか、分からない。

日本酒の世界に、テクノロジーを

「伝統産業にこそテクノロジーの恩恵がある」と中田さん。

伝統産業が国際化された時に、そこで働いている人に国際経験がないから、販売、PRの方法が分からない。それが伝統産業の問題。

たとえば、先に紹介したお酒のラベル。日本人にさえ読めないぐらいなのだから、日本語を解さない人に分かるわけがない。

同じことは、焼酎にも言える。醤油にも言える。味噌にも言える。

そこで、まず中田さんは、日本酒のアプリを作った。ワインには、Vivino(https://itunes.apple.com/jp/app/vivino-wine-scanner/id414461255?mt=8)などの優れたワインアプリがある。だから、ラベルを見ればなんというワインで、どんな味なのか、どういうワイナリーが作ってるのかなどの情報が手に入る。

中田さんが監修して作ったアプリはSakenomy(https://itunes.apple.com/jp/app/sakenomy/id917958935?l=en&mt=8)と言い、日本酒をラベルから検索し、どんなお酒か、どこの蔵元で作られているかを知ることができるアプリ。

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蔵元の情報も記述されているし、蔵元のコメントなども掲載されている。

さらに、多言語化もされており、英語や中国語などでもそのお酒の名前を知り、味の方向性などの情報を得ることができる。

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日本酒の適性な保存温度は『-2〜-10℃』

また、「日本酒の保存に最適な温度は何度かご存じですか?」と中田さんは聞いた。

「ワインは13〜15℃ぐらいで保存すると良いものが多い……というのは多くの方がご存じです。これは1976年に、フランスのユーロコープ社が家庭用のワインセラーを商品化したことによって知られたものです。日本酒は一般に販売店などでも室温で置かれていることが多いので、室温でいいと思っている人が多いと思いますが、しっかりとした蔵元に行くと必ず氷点下で保存されている。マイナス2〜10℃ぐらいで保存されていることがほとんどなのです。」と中田さん。

そこで、日本酒の温度管理の問題を解決するために、日本酒専用のセラーを作った。それがMIYABINOという商品で、冷蔵機器にノウハウのあるアルテクナという会社と作った(https://www.miyabino-sake.com/)。これは一升瓶36本を-5〜20℃の範囲に設定して保存しておくことができるという。

中田さんが日本酒でやっていることは、他の伝統産業にも応用できることのように思う。

「面白い、好きだからやってる。そんな人生をずっと歩んできたし、これからもそうしたい。」と中田さん。これからも、日本酒や、日本の伝統産業の情報を世界に発信し続けてくれそうだし、我々日本人にとって、学ぶべき考えるべきことのヒントをもらえるのではないだろうか?

(村上タクタ)

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