女性iPhoneアプリ開発者に聞く、Apple発表会WWDCの重要ポイント
FUNQ
- 2018年06月20日
約17万円を払って参加する、Apple開発者の大イベント
6月初旬にカリフォルニア州のサンノゼで行われたWWDC(世界開発者会議)。ガジェット好きにとっては大きな新製品がなくて残念だったが、開発者の方にとってはどうだったのだろうか? 高額(約17万円)の参加費に加え航空券代、宿泊代を支払って、開発者会議に参加している女性エンジニアに現地で話を聞いてみた。
ちなみに、WWDCは約2時間の基調講演しか公開されていないが、その後1週間に渡って秋以降のiPhoneやMacに搭載される次世代OSに関するセッションが開催されるイベントだ。その内容は基本的に守秘義務契約下にあるが、スケジュールなどの概要は公開されているので、その範囲内でコメントいただいた。
お話いただいた方はFlask LLPのお二人と、エムズの柴木さん。
Flask LPPの堀内敬子さんはUIデザインを担当。WWDCに初めて来たのは2013年。2015年からは毎年来ていて今年で5回目。
一緒にアプリを開発している小川秀子さんは、2014年から毎年WWDCに参加。2016年にはZonesやStandlandが日本のApp Storeの今年のベストに選ばれ、2017年にはStandlandが世界10カ国のApp Storeで選ばれている。
エムズの柴木みずほさんは、秘密の写真を隠せるアプリ『さくっとシークレット』が大ヒット。最近は写真プリントアプリ『さくっとプリント』を売り出し中。WWDCは初参加。
(左)Flaskの人気アプリアクティビティを美しく閲覧できるFitPort。
(中)同じくFlaskの、1時間に1回は立つようにするとジェムが貰えて世界が充実していき、座り過ぎを解消できるアプリStandland。
(右)エムズの写真プリントアプリ『さくっとプリント』。家庭のプリンターで写真を出したり、写真を発注したりできる。
ポイントはAR(仮想現実)とML(機械学習)
「すごく興味深かったですよ! ARKit 2の変化がすごいし、Siriショートカットも私たちのアプリとしては影響が大きいと思います。『あれができる、これができる』と今からワクワクしています」と言うのはFlask LLPのおふたり。
ARKitはバージョン1.5で壁を認識してそこに画像を貼れるようになったが、ARKit 2でははるかにいろんなことができる。
「AR空間を他のデバイスと共有したり、持ち出したりできるようになったのも大きいですよね。たとえば従来はStandlandの世界を机の上に作っても一度閉じると消えてしまっていたのが、保存できるようになるはず」とのこと。
「機械学習のセッションはまだ受けていないのですが、去年のCore MLは便利なところがたくさんある反面、学習データの保護なのどで不満なところもありました。主に画像処理と言語処理において使うようですが、ARKit 2と並んで重要な位置づけだったように思います」とFlask LLPのお二ふたり。
「私は初めてWWDCに来たので、まだ興奮してるばっかりで、自分のアプリにどう活かせるかまで考えられません」と柴木さん。「でも、来て良かった! すごくためになっているし、帰国して落ち着いてからいろいろ考えたいです」とのこと。
セッションは、iCloud、Apple Watch、WebKit、Swift、アプリ内課金、HelthKit、AirPlay、Cocoa、Siri ショートカット、MapKit、OpenGL、ダークモード、EventKit、Metal、HomeKit、外部GPU、ファイルシステム、Bluetooth、CarPlay、通知……と本当にいろいろな技術について行われる。
これらの講義の成果が、アプリとなって我々が楽しめるのは秋以降だが、その時がとても楽しみだ。
(村上タクタ)
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