今、プロのマンガ家でもiPadで作画している人が増えてるそうだ
flick! 編集部
- 2018年06月28日
紙の原稿にペンで描いていたのは(ほぼ)昔の話
昔、マンガ家さんといえば、紙にインクとペンで描く職業だった。
古いマンガ家モノの楽屋オチの物語を読むと、インクをこぼして絵が台無しになったり、アシスタントがベタを塗ったりスクリーントーンを貼ったり、仕上がると待ちかまえていた編集さんが、受け取って印刷所に急いだり……なんていう様子が描かれていたものだ。
しかし、マンガの世界にもデジタル化の波は押し寄せており、一部の年齢層の高い巨匠を除いて、多くのマンガ家さんの製作工程はデジタル化されているのだそうだ。
データをサーバ上に置いて、マンガ家の先生が主線を描いた後、アシスタントさんがサーバ経由でデータを受け取って、背景を描いたり、トーンを貼ったり、ベタを塗ったり……という作業をするという話も聞いた。トキワ荘のようにマンガ家さんが作業場所として集まる必要はなく、アシスタントの方々も自宅のパソコンでファイルを受け取って作業をしたりするらしい。
マンガを描くのに使われるアプリは、ひと昔前なら『コミック スタジオ』、現在はその後継である『クリップ スタジオ ペイント』が圧倒的多数派らしい。というわけで、現在ほとんどのマンガ家さんは、パソコンにペンタブレットや液晶タブレットを接続し、作品を製作しているのだそうだ。
昨年12月に、iPad版が登場
ところが、昨年(2017年)の12月20日に、このアプリのiPad版『クリップスタジオペイント EX for iPad』がリリースされ、様子が変わってきたという。当初は少し値段が高かった(月額980円のサブスクリプション)ということもあって、不満の声もあったが、その後価格改定(EXは月額980円/年額7800円。PROは月額480円/年額2800円。EXは申し込みから6カ月は無料)などもあり、徐々に普及が進んでいる。
『iPadで描けるの?』と懐疑的だったマンガ家さんも、Apple Pencilの感圧、傾き検知も可能な書き心地に驚きの声が上がっているらしい。
もちろん、大きな液晶タブレットなら、原寸大で見開きの絵を表示できるというメリットがあるので、最終仕上げはアトリエで……という人も多いようだが、少なくともネームを描いたりする段階においては、iPadが圧倒的に便利だ。
なにしろ、これまでアトリエでなければ作業できなかったのが、iPadさえあればどこでもマンガを描けるようになったのだ。カフェで描いたり、旅先で描いたりもできるのだそうだ。
経費節減効果も大きい。パソコンと液晶タブレット(トータルで30万円前後)が必要だったのが、iPadだけで済む(トータルで10万円強)のだから、かなりのコストダウンにもなる。
ちなみに、パソコン版とほぼ同機能を搭載しているので、メニュー項目かなり多い。だから、画面が広い方が描きやすい。また、ページ数が多くなるとマシンパフォーマンスも高い方がいいので、本格的に描くならiPad Pro 12.9インチ(8万6800円〜(税別))とApple Pencil(1万800円(税別))が必要となるようだ。
小さなイラストを描いたりするだけなら、一番安いiPad 9.7(3万7800円〜(税別))とApple Pencil(1万800円(税別))でも、狭くて不便だが動作はするとのこと。
「Apple Pencil」をAmazon.co.jpで見る
ネームもペン入れもiPadで
さて、このiPad Pro、Apple Pencilとクリップ スタジオ ペイントの組み合わせは、我々アマチュアが驚くほど高機能。機能の一部をご紹介しよう。
まず、複数ページもののマンガをご覧のように扱うことができる。もちろん指でのピンチイン/アウトで拡大/縮小も自由自在だ。
一番利用シーンとしてありそうなのがネームという下書きをiPadで描く事。最初に黒で描いておいて、それを色を変えて下書きとするような利用方法も可能だ。
この段階は編集者とやりとりして、物語の構成を書き直したり、コマ割りを修正したりすることも多いだろうから、持ち歩けるiPadの利便性は高い。
そして、ペン入れ。
もっともキモの部分ということで、書き心地にこだわった仕様となっている。
ペン先のカタチ、性質などを自由に変更することができるし、オリジナルのカスタムペン先を作ることもできる。さらに、手が震えても大丈夫なように、手ブレをスムーズににする機能もあるし、描いたあとから太さを変えたりすることさえできてしまう。
SHARE
PROFILE
flick! 編集部
各電子雑誌配信ストアから配信される電子専用マガジン。デジタルは好きだけど使いこなせてない、これから活用したい人たちへ、最新ガジェットやウェブサービス、アプリ情報を配信。
各電子雑誌配信ストアから配信される電子専用マガジン。デジタルは好きだけど使いこなせてない、これから活用したい人たちへ、最新ガジェットやウェブサービス、アプリ情報を配信。