新型MacBook Pro(2018)に関する7つの疑問とその答え
FUNQ
- 2018年07月18日
INDEX
最上位モデルの性能が、大きく拡張されたMacBook Pro(2018)
新しいTouch Barを備えたボディになってから、3世代目のMacBook Proが登場したことを先日お伝えした。
Apple、新型MacBook Pro(2018)を発表。第8世代Intel Coreプロセッサーを搭載
https://www.ei-publishing.co.jp/articles/detail/flick-468601/
大雑把に言うと標準的なモデルの性能は順当に向上している。搭載仕様の最大キャパシティが大きく向上したので、金に糸目をつけないオーダーを実行すると、とてつもなく高性能なモデルを入手することができる。
これまでなかったCore i9の6コアを搭載することができるし、最大メモリー搭載量は32GBとなり、最大ストレージ搭載量は4TBとなった。ただし、それらをすべて搭載したMacBook Pro 15の価格は70万円を越えてしまうが。
さて、本機に関してさらに詳しい情報が分かったのでお伝えしよう。
15インチは6コア、13インチは4コアで、コア数通り大幅な性能向上
まずは、性能の実態について簡単に。
15インチは6コアを搭載できるようになり、CPUに係る性能は約70%向上したとのこと。13インチの性能向上の大きく、CPUがデュアルコアからクアッドコアになったためCPUに関わる性能は2倍以上になっている。
XcodeのiOSシミュレータでは、従来3台しか動かせなかったものが5台動かせるようになったという。
Final Cut Proでは、9本の4K画像を並行して動作させながら編集できるし、Logic Pro Xでは、(トラックの重さにもよるが)30本以上ものトラックを編集できるようになったという。
かなり性能向上を果たし、熟成されたモデルになってきたといえるだろう。
1. 旧型、いわゆるRetinaモデルの販売は停止されたのか?
これまで、並行して販売されてきたEarly 2015の13インチ、Mid 2015の15インチ、いわゆるRetinaのMacBook Proの販売は停止された。
これにより、USB-Aや、Thunderbolt 2、HDMI、MagSafe 2、SDカードスロット……などの豊富なポートを持ったMacBook Proはなくなった。どうしても欲しければ、店頭在庫や修理済み品などを探すことになるだろう。
意を決して、周辺機器をThunderbolt 3やUSB-Cのもにの切り替える時がついに来たということだ。
ちなみに、今回13インチのTouch Barなしモデルのモデルチェンジは行われていない。
Touch Barなしモデルはファンも1基しか搭載されていないし、下部に放熱スリットを持たないなど、熱容量的な性能が低いので、今回の4コア搭載などのモデルチェンジは見送られたのだろう。MacBook Air、MacBookを含め、小型(もしくは安価)なMacBookシリーズの再編がどうなるのかは気になるところだが。
2. True Toneが採用されたが、ディスプレイそれ自体が変更されたのか?
True Toneディスプレイが採用されたが、これはカメラ近辺にあるアンビエントセンサーが色温度も検出するものにアップデートされただけで、ディスプレイそれ自体のハードは変更されていない。500ニトの明るさ、P3の色域にも変化はない。
ちなみにTrue Toneディスプレイの機能では、Touch Barも周囲の色温度に合わせて変化するそうだが、正直Touch Barの色が多少変わっても、気付きにくいというのが実際だ。
3. 第3世代というバタフライキーボードはどう改善されたのか?
多くの人が気になるポイントだろう第3世代のバタフライキーボード。
iFixitはシリコンの防塵膜が設けられたとレポートしているが、アップルからはメカニズムの改良に関するコメントはなかった。
公式発表としては、打鍵感が向上し、音が静かになったという情報だけだ。
実際に文字を打ってみると、ストロークが大きくなったように感じる(実際にはストロークは変わらないらしい)。クッション性が増したからだろうか? 音もたしかにペタペタと静かになっている。この感触を好むかどうかは趣味の問題という気もするが、私自身は第3世代のものがもっとも好みである。
ちなみに、第1、第2世代のキーボードに関して、修理プログラム(https://www.apple.com/jp/support/keyboard-service-program-for-macbook-and-macbook-pro/)が発表されているが、今後第1、第2世代の修理の際に、第3世代のキーボードが使われるというわけではない。
4. T2チップは何をやっているのか?
新型MacBook Proはセキュリティブート機能と、暗号化ストレージ機能を支えるT2チップを搭載している。このT2チップはTouch Barの電源ボタンと連動しており、指紋認証がされるかパスコードロックが解除されない限り、内部ストレージにアクセスすることはできない。暗号化されているので、たとえ分解してもデータを読み出すことはできないということだ。
5. Hey Siri ! はどのように動作するのか?
また、このT2チップ搭載により Hey Siri !も使えるようになった。
ちなみに、Siriはあるていどはユーザーの声を聞き分けており、なるだけオーナーの声に反応しようとしているらしい。
声の聞こえる範囲に、MacBook Pro、iPhone、iPad、HomePodなどがあった場合、お互いに連携しつつ、一番明快に声が聞けた端末が反応するようになっているという。
たとえば、MacBook Proで作業しながらHey Siri !と言えばMacBook Proが反応し、顔をHomePodの方に向けて『Hey Siri ! Play some music ! 』と言えばHomePodが反応する……という仕組みになっているようだ。私が知る限り、まだその仕組みは完全に上手く動いているとは限らないが(筆者の家では、iPhoneに話しかけたつもりなのに、娘のiPadが反応したりすることもある)。
6. あらゆるキーで電源が入るなら、どうやって掃除すればいいのか?
MacBook Proは開くと電源が入る。電源を切ることはできるが、最新モデルは何かキーをたたくと、電源が入る。
この機能は良し悪しで、電源を切ってキーボードを掃除しようとしても、キーボードを押し込んだ時点で電源が入ってしまう。
この問題の解決策はいまのところないようだ。
7. Blackmagic eGPUはどのように動作するのか?
最後に外付けGPU(eGPU)について触れておこう。
Blackmagic Designが発売した『Blackmagic eGPU』(8万9800円)は、Thunderbolt 3で接続し、MacBook Proシリーズのグラフィック性能を大幅に向上させることができる。
高度な3Dゲーム、VRグラフィックス制作など、GPU性能を必要とする業務をする人には最適なハードだ。
搭載されているGPUはGDDR5メモリー8GB搭載のRadeon Pro 580。
たとえば、Unity Editorを使ったテストではIris Plus Graphics 655を搭載した4コアMacBook Pro 13 Touch Barの描画性能をなんと8倍、Radeon Pro 560Xを搭載した6コアMacBook Pro 15 Touch Barの描画性能を2.2倍にまで引き上げるという。
背面には2ポートのThunderbolt 3、1ポートのHDMI 2.0、4ポートのUSB-Aを装備している。MacBook Proに対しては85Wまでの電源供給が可能なので、ケーブルは1本で済む。ご覧のようにLG 5Kディスプレイと接続しても、極めてシンプルなケーブル構成で接続可能だ。
総じて、超高性能が注目を集めることが多いMacBook Pro(2018)だが、もちろんスタンダードなモデルもしっかり性能向上してきている。
レガシーポートを持つ2015 Early/MidのMacBook Proの販売も終了したことだし、キーボード含め各部の熟成も進んできたので、そろそろ乗り換え時かもしれない。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年7月号 Vol.81』)
(村上タクタ)
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