ついにキヤノンもフルサイズミラーレス!『EOS R』は最後に登場した本命なのか?
FUNQ
- 2018年09月05日
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ニコンに続いて、キヤノンもフルサイズミラーレスを発表!
今、なぜ各社から『フルサイズミラーレス』が発表されるのか……ということについては、こちらの記事『ニコン新型カメラ、Z 6、Z 7のインパクトの凄さを10分で解説!(https://www.ei-publishing.co.jp/articles/detail/flick-471091/)』に書いた。
要約すると、今、技術的に一眼レフからミラーレスに移行する時期で、一眼レフにマーケットを持っていなかったソニーが、いち早くチャレンジし、マーケットを持っていたニコンとキヤノンは、可能な限り旧来の一眼レフに主軸をおき続け、手遅れにならないタイミングで、フルサイズミラーレスを投入したといえる。それがニコンにとってのZマウントであり、キヤノンにとってのEOS Rシステムである。
マウント内径は54mm、フランジバックは20mm
ニコンにせよ、キヤノンにせよ、重要なのは発表されたのは『新マウント』だということだ。
もちろん、それぞれZ 6、Z 7、EOS Rと初号機はあるのだが、この初号機の性能それ自体はあまり問題ではないと思う。マウントは、ともすれば(というか上手くいけば)何十年も使う基本設計。
何を狙って、どんな将来を目指して基本設計を行うのか……というところが一番みるべきところだろう。
(だから、現時点でソニーの方が性能、機能的に優位なのは当然)
ポイントは、マウント径とフランジバック、そして電子接点。
EOS Rのマウント径は内径54mm。フランジバックは20mm。
ニコンのZマウントは、それぞれ55mm、16mm。
キヤノン曰くはフランジバックと言わず、バックフォーカスと言っており、フランジまでの距離より後ろ玉までの距離が問題だということなので、ここは一概にフランジバックだけで語っても意味がないのかもしれない。
いずれにせよ、先行したソニーは46mm、18mmで、マウント径については、ニコン、キヤノンともソニーよりかなり大きくしてきたといえる。
キヤノンがアピールするEOS RのRFマウントのアドバンテージは、以下の4点。
・内径54mmの大口径マウント
・ショートバックフォーカス
・新マウント通信システム
・豊富なEFレンズ資産の活用
フルサイズの大きなCMOSセンサーを使えば、高画素の写真を撮りやすいし、高感度に強いセンサーも作りやすい。また、ボケればいいというものではないが、絞りを開けた時に、前後がきれいに大きくボケる。主題を際立たせるのにはこの被写界深度を浅くすることができるのはありがたい。
ワイドなレンズ、明るいレンズが作りやすい
加えて、ミラーレスとしてフランジバックを短くすると、広角レンズ、明るいレンズを作りやすいのだそうだ。同じ性能のレンズを作るならより小型、リーズナブルにできるし、逆に同じコスト、サイズで考えるならよりワイド、かつ明るいレンズができる。
今回、ローンチと一緒に発表された、RF28-70 mm F2L USM(37万8000円)や、RF50mm F1.2L USM(29万2500円)は、まさにそんなEFマウントでは作りにくかったレンズだ。
28-70mmのF2通し……って、どんな飛び道具なんだ(笑)って思ってしまう。
RF24-105mm F4L IS USMもRF35mm F1.8 MACRO IS STMも、(だいたい)同クラスのEFマウントのレンズよりは安い設定に思える。長い方のレンズは、アダプター経由でEFマウントのレンズを使ってもそれほど写りは変わらないはずので(AFや手振れ補正はどうなんだろう?)、長いほうはしばらくそれで乗り切ってくれということなのだろう。
ちなみに、ニコンと違って、そのあとのロードマップは(それっぽい図は表示されたが)あまり明らかになっていない。
小さい、軽快、(そこそこ)リーズナブル
さて、マウントの話は、ここらあたりにして、今回発表されたEOS Rについて。
会場内にいらっしゃったモデルの方に持っていただいたが、ボディはやはりかなり小さい……はずなのだが、今回発表されたレンズがいずれも明るく、大きいので、ちょっと小ささが際立たない。
市場想定価格は23万7500円(税別)。発売は10月下旬。
(ただし、いきなりキャッシュバックがあったりする。キヤノン、恐ろしい子 https://cweb.canon.jp/eos/campaign/eos-r/)
3030万画素で、連続撮影速度は約8コマ/秒、常用ISO感度は100〜40000。4Kは30PでHDMI4K出力、Canon Log 10bit出力が可能。
低輝度限界-EV6、広大なAFエリアなど、高性能ミラーレスとしての、基本性能は十分に高い。
そして、ミラーレスの使い勝手と、クオリティを最終的に大きく左右するEVFは約396万ドットの公視野、高精細EVF。
ミラーレスならではの新操作系も好印象!
上面にドットマトリクス表示パネルを設け、さらに新しい操作系として、その後ろ側にマルチファンクションバー、RFレンズには機能を割り当てられるコントロールリングが設けられており、一眼レフとは違う操作系の構築が工夫されているのも興味深い。
会場の展示機を触れてみた感触だが、私的にはすこぶるいいと感じた。
背面液晶で見ただけだが、付いてるレンズがレンズなので、コンパクトなミラーレスとは思えないほど恐ろしくボケが大きく、それだけでワクワクする。
EOSユーザーとしては使い慣れた操作系にプラスされた新機軸も心地いい。コントロールリングもすぐに慣れそうだ。
演出にすぎないかもしれないが、軽快でキレのいいシャッター音も心地よい。私が持ってるEOS 6D Mark II以上の絵が撮れて、このコンパクトさは心底羨ましい。私の場合は、動きモノがどもぐらいキレイに撮れるかが知りたい……が、そこは今後の試用機を借りて、試してみようと思う。
ソニーと比べてどうなのか、ニコンと比べてどうなのか? EOS 6D Mark IIや5D Mark IV、EOS Kiss Mなどとどのぐらい違うのか……カメラファンにはしばらく眠れない日々が続きそうだ。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年9月号 Vol.83』)
(村上タクタ)
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