Apple Watch Series 4を使うかどうかで、余命が変わるかも知れない
FUNQ
- 2018年09月14日
気になる転倒通知機能と、電気心拍センサー
カリフォルニアApple本社での、iPhone/Apple Watchの発表会に取材に来て、新型のApple Watch Series 4を取材する機会を得た。2015年の初代登場以来初めての外形変更は、ワイド&フラットでより腕にフィットする方向で交換が持てた。表示情報量も増えてありがたい。
さて、気になるのがSeries 4で新たに追加される転倒通知機能と、電気心拍センサーによる心電図を作成する機能だ。健康だと気付きにくいが、これらの機能は、Apple Watchユーザーか、そうでないかで余命が変わるほどの影響力があるのではないかと思っている。
心房細動を検知できる心拍センサー
Apple Watchには初代モデルから光学式の心拍系は搭載されていたが、今回新たに搭載された電気心拍センサーは、アプリケーションを使って心電図を作成するように指示できる他、バックグランドで心臓の鼓動を定期的に分析している。
そして、心房細動を示唆する不規則な心臓の鼓動を検知するとユーザーに通知を送る。また、心拍が特定の閾値を超えて上下しても通知する。このデータは医療機関と共有し、分析することもできる。
心房細動とは不整脈のひとつ。結果として心房内で血液が澱み、結果として血栓が形成され、それが剥がれて流れて脳の血管に詰ってしまい、脳梗塞を引き起こすことがある。この徴候を事前に検知できるのだ。
筆者のプライベートな話になるが、昔、親しい知人が心筋梗塞で倒れ、救急車で運ばれたことがある。心筋梗塞も、脳梗塞のように血栓が血管を塞ぐことで起こるが、心臓を動かす筋肉に血を供給する血管でそれが起こる。
知人は、心臓の痛みを訴え何度も病院に行っていたのだが、診断は『ストレス性の食道炎』というものだった。血栓は詰っている時点、心房細動などが起こってる時点以外では正常に血液が流れてしまっているから、診断が難しいのだ。他の病院にセカンドオピニオンを求めることさえしたが、やはり食道炎という診断だった。
ある日、心臓の激痛で病院に行き、その発作が出ている(血管が詰ってる)時点で心電図を取ったら、症状がもう明らかだった。そこで、急いで大病院に救急車で搬送され、手術をして一命を取り留めた。しかし、その時点で心電図を取らねば判断が難しいと聞いた。
新しいApple Watch Series 4があれば、心房細動が起こった時点の記録が残る。必要でれば緊急SOSを発信することもできる。
転んで誰にも知られないなんて悲し過ぎる
また、新しい高精度なモーションセンサーを使った転倒検知で、ユーザーの転倒を検知し、60秒以上動きがない場合には緊急SOSを発信するということもできる。
若ければ転倒しても頭を打つことは少ないが、高齢になるととっさに受け身を取ったり、手を出したりできなくなる。そうなると、身体で一番重さのある頭部を強打するようになる。
近くに誰かいればいいが、誰もいなかった場合、この転倒が致命的なアクシデントになる場合も多い。独り暮らしの人が転倒して、気を失ってしまうとなかなか誰にも気付かれない。Apple Watchが通知を送ってくれれば、なんとかなるかもしれない。
現在、Appleは医療機関とも密接に連携し、Apple Watchにヘルスケア機能を高めようとしている(参考:医療を、iPadやApple Watchが変えようとしている https://www.ei-publishing.co.jp/articles/detail/flick-469143/)。
残念ながら、この電気心拍センサーの機能は、まだアメリカでしか関係諸機関の承諾が取れておらず、日本で発売されるApple Watchでは動作しない模様。
しかし、人の命を救うかもしれない機能なので、なるべく早くに諸機関の承認を取って利用できるようにしていただきたい。少しでも早く利用できれば、それだけ救える命が増えるかもしれないから。
(出典: 『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年10月号 Vol.84』)
(村上タクタ)
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