ポケモンGOやIngressはこれからどうなる? Niantecジョン・ハンケ氏の話とNEONから読み解く

Nianticのトップ5が勢揃い

ポケモンといえば日本のコンテンツだから、ポケモンGOも日本のゲームだと思っている人は多いかもしれない。

しかし、ポケモンGOはシリコンバレーのベンチャー企業『Niantec(ナイアンテック)』が作ったゲームだ。このNiantecを産み出したのが同社CEOのジョン・ハンケ氏。

ハンケ氏は世界のあらゆる場所の衛星画像を見ることができるアプリを提供する『Keyhole』(鍵穴の意)を作った人物。このKeyholeはGoogleに買収され、後のGoogleマップやGoogleアースになる。

会社ごとGoogleに参入し、地図や位置情報を扱うアプリの責任者となったハンケ氏は、社内ベンチャーとして『Niantec Labs』(ナイアンテックラボ)を立ち上げる。

このNiantecで、位置情報ゲームIngress(イングレス)を立ち上げ、成功させ、Niantecはハンケ氏をCEOにGoogleから独立する。そしてそこで作られたのがポケモンGOというわけだ。

この日インタビューに応じてくれたのは、全員イングレス時代からハンケ氏と一緒に苦労してきた人たちだ。

席の左側から、ナイアンテックの日本法人の代表取締役社長・村井説人氏。ポケモンGOのグローバルマーケティングリード須賀健人氏。ジョン・ハンケ氏。副社長でプロダクトマネージメントの河合敬一氏。そしてアジア統括本部長エグゼクティブプロデューサーの川島優志氏。いまや世界を席捲しているポケモンGOのNianticのトップ5がここに集っているのだ。

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(ずっとジョン・ハンケ氏とともにサンフランシスコのNianticで仕事し、日本に対するスポークスマンとしての役目も果たしていた川島氏。)

世界中、どんな場所にも隠されたストーリーがある

Googleアースを作ったら、自分の子供たちが家から出ずにネットで世界を見て満足することに気が付いて残念に思った。人々を外に連れ出したいと思って、IngressやポケモンGOを作ったと、いつもハンケ氏は語る

「世界中どんな場所にも、隠されたストーリーがあります。でも、パソコンでは瞬時にそれを探すことができなかった。その場所に秘められた情報を、その場所にいる時に知りたい……それを実現したのが、Nianticの最初プロダクトであるField Tripだった」

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(Googleで、Googleマップ、Googleアース、などを作ってきたジョン・ハンケ氏)

ちなみに、Nianticの名前は、ゴールドラッシュに沸き立つ人々をサンフランシスコに連れてきた歴史的な船の名前に由来するのだそうだ。

リアルワールドゲームがもたらす健康と、人との交流

Ingressの時代からプロダクトの制作を管理してきた河合氏は言う。

「いろんなところに出かけて、新しいものを発見してその喜びを感じる。我々は『アクシデンタル・エクササイズ』と言ってるのですが、ゲームをプレイすることで偶発的に運動する。『リアルワールド・ソーシャル』って言ってるんですが、人と人を繋いでいるか? そういうことを大事にしてアプリを作っています。たとえば昨年のポケモンGOのレイド機能は、ひとりじゃ倒せない敵を作ることで、大勢で協力して戦うことができる。そういうアプリを作りたかった」

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(日本法人代表の村井氏。幾多の大手スポンサーとの交渉の窓口でもある)

ハンケ氏も言う。

「ミートアップ(ユーザーイベント)もそうです。一番最初に開催されたIngressのイベントは寒くて、雨が降っている日でした。『誰も来ないんじゃないか』と思いながら、社員をひとり派遣したら、Ingressのエージェントが6〜70人も集まって、とても楽しそうにしてくれた。Ingressのイベントはアノマリーとなり、世界中で何千人もが集まってくれるイベントになった。さらに、ポケモンGOでは何十万人が集まってくれるようになった」

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(Ingressのイベントには回を重ねるごとに数多くの人が集まった)

5感を研ぎ澄ますAR体験

今回、アニメ化を記念して六本木ヒルズで、『AR PLAY GROUND WITH NIANTIC』というイベントが開催された。NianticはなぜARに強くこだわるのか?。

「ARはデジタル情報を現実世界に重ねて、さまざまな発見をうながすことができる。3年前にサンフランシスコのオフィスにJoi(伊藤穣一、MITメディアラボ所長)が、森ビルの人を連れてきて『街をどうやって楽しくすればいいか?』という話をした。六本木ヒルズのある場所ば、歴史的にもいろいろな事件を経てきて、大都会なのに毛利庭園のように自然もあったりする。そんな場所で起こっているいろんな場所に気が付いてもらえるキッカケを作ろうとした。今回も(外の音も聞こえるヘッドフォンの)ambieや、東京大学、ソフトバンク、ライゾマティクなどさまざまな企業やチームとコラボレーションして、イベントを実現できた。ARって、目で見るものだけでなく、耳で聞く体験もあるし、5感いろいろで体験できるもの。ポケモンの声に耳を澄まして欲しいし、水辺に行くと水のポケモンが出る。天気が変わると出るポケモンも変わる。そんな体験をして欲しい」

最新テクノロジー『NEON』と、それの目指すもの

「今はARにすごく注力している。たとえば、画像認識で、ここは机、ここはイスというのを認識すれば、イスの上にポケモンを座らせることができる。右側に光源があることが分かるから、ピカチュウの影は左に出すなんていうことができる。こんな光景をみんなで楽しめるようにしたい」

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(画像認識で、どの物体が何であるかを判断している。だからイスであるものの上にピカチュウは座っているのだ)

Ingressは、この秋に史上最大のアップデートがありIngress Primeになり、ポケモンGOはもちろん、来年にはハリーポッターも登場するという。それらにARのテクノロジーは活かされて行く。

六本木のAR PLAY GROUND WITH NIANTICで最後の3日だけデモプレイされたコードネーム『NEON』も体験できたので、その様子をお届けしておこう。

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(コードネームNEON。AR空間内で、それぞれの人が認識され、シューティングゲームをプレイできる。)

簡単に言うと、AR空間を共有して雪合戦するシューティングゲーム。床面が認識され、他の人が認識され、他の人に対して地面に落ちている光の玉を拾ったものを投げつけることができる。当てたポイントと当てられたポイントがそれぞれの頭上に表示される。

ただこれだけのゲームなのだが、5台のiPhoneと1台のiPadでそのAR空間が共有されるとなると話が違う。

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(走りながら弾を撃ち続ける『みたいもん』のいしたにまさきさん。)

激しく走って、攻撃しあうゲームの中で違和感のない状態にするには、10ミリ秒以下で位置共有し合う技術の構築が必要で、これはiOSやAndroidデフォルトの機能で賄うことはできず、独自開発が必要だったのだという。

この技術を構築していたスタートアップ、エッシャーリアリティ社をNianticがスタッフごと受け入れることで実現している。

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(左から、川島氏、エッシャーリアリティ社から来たDiana Hu、Peter Turner、Benny Peakeの3人。)

この技術は来年のハリーポッターでも使われるというし、ポケモンGOでも使われるに違いない。たとえば、隣の人が『エクスペリアームス』と叫んで魔法の杖を振るとそこから稲光が発しているような、そういう光景を他の人が見ることができる。また、自分が捕まえようとしているポケモンや、連れているポケモンを他の人が見ることができるになるというワケだ。

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(スマホを掲げると。他の人がプレイしているポケモンGOに現れているポケモンを見ることができる日がやってくるかもしれない。)

「目指しているのはポケモンGOをリリースする時に最初に公開した動画。タイムズスクエアでミュウツーと戦う様子を大勢の人たちが共有していたと思います」とハンケ氏。

たしかに、駅前で多くの人がスマホを持ってゲームしている光景に違和感を感じる人がいるという話はよく聞くが、第3者が見てもプレイしている人の周りにポケモンが見えれば、とっても楽しい光景になりそうだ。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年11月号 Vol.85』

(村上タクタ)

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