ついに待望のMacBook Airの新製品。その正体は?

なんと8年ぶりのフルモデルチェンジ!

スタバでMacBook Airを開くことがカッコよい……とされるほどの人気を博したMacBook Airの13インチモデル。薄く、軽く、十分な性能を持ち、汎用性が高く、10万円を切る価格……と、まさに人気が出るのが当然……というモデルだった。

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(写真)なんと8年の長きにわたってラインナップされ続けているMacBook Air。大傑作だ。

しかし、前のフルモデルチェンジから8年、最後のアップデートから3年が経ち、もはやMacBook Airのアップデートはないかに思われた。

そんな人気モデルなのに何故アップデートされなかったかというと理由は簡単で、時期的にアップデートするならRetina化や、Thunderbolt 3化が必要で、そのアップデートを施すと、価格的に『Air』とは言えないものになってからだろう。

しかし、そうなると低価格なスタンダードといえるノート型Macが存在しないことになる。MacBook Proは高価だし、MacBookはコンパクトだが、これも高価。かくして、性能的にはかなり厳しい状態になりながら、旧MacBook Airの13インチモデルは、8年に渡って大きなモデルチェンジを施されることなくスタンダードモデルの座にあった。

『学生に安価なモデルを』『社会人になった初めて買うのだけれど何を買えばいい?』という疑問に、長い間我々は明快な回答を出せずにいた。

僕らのMacBook Airが帰ってきた!

しかし、それも昨日までのことだ。

今日からは、『新しいMacBook Airを!』と声をにして言える。

ディスプレイは13.3インチと従来モデルと同じサイズながらついにRetina化。2560×1600ピクセルの高精細な作業領域を得た。

そのディスプレイに合わせて狭額縁化されたので、本体サイズはかなり小型化。体積は17%減少し、厚さも10%薄くなり、重量は1.25kgと一世代前に比べて100g軽くなっている。

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(写真)指紋認証だけでなく、全体の動作をコントロールする立ち位置にあるT2チップの採用で、MacBook Airは完全に新世代のアーキテクチャを持つモデルとなった。

さらに、iPhoneのホームボタンの流れを汲み、MacBook Proから採用されている指紋認証技術Touch IDを搭載。この技術は単なるパスワードの代用ではなく、内蔵されるT2チップがセキュア・エングレーブとしてSSDをはじめとしたシステム全体をコントロール。すべての動作をコントロール化に置く。たとえば、たとえ分解してSSDを取り出したとしても(そもそも直付けなので外せないが)中のデータを取り出すことはできない。

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(写真)Touch IDはログインはもちろん、Apple Payなどを使った買い物にも使える。また、1Passwordと組み合わせれば、大半のログインを指紋認証で行うことができる。

キーボードは最新の薄くても打鍵感の良い第3世代のバタフライキーボードを採用。トラックパッドも大幅に大型化し、MacBookやMacBook Proと同様の物理動作なしの触覚フィードバックメカニズムを持つタイプを搭載し操作性を向上している。

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(写真)最新の触覚フィードバック機構を持つトラックパッド。

スピーカーはより高度な音響技術を導入し、ワイドに広がるステレオ再生が可能。音量が25%増し。低音は2倍の出力を持つようになっている。

ポートは最新のThunderbolt 3を2ポート持ち、さまざまな機器を最新スペックの速度で接続することができる。これにより、5Kディスプレイを接続し広大な作業領域を活用することも、eGPUを接続し、高速なグラフィック処理を堪能することもできる。

細かい差異に感じるかもしれないが、USB-Cのスペックしか持たないMacBook(12インチ)と、Thunderbolt 3を2ポート持つMacBook Airの拡張性の差は非常に大きい。Thunderbolt 3はデータ転送速度が非常に速いので、さまざまな機材をハブで分岐させて接続したり、デイジーチェーン状に繋いだりできるのだ。

ほとんどどこを取っても『すべてが完璧な、僕らのMacBook Airが帰ってきた!』と言ってもいいだろう。

あえて気になるポイントを挙げれば

本当に、新しいMacBook Airは多くの人にお勧めできる素晴らしいモデルだ。しかし、前モデルのMacBook Airがそうであったように、フラッグシップではないのだから、見劣りする点、用途によってはパフォーマンスが不足する点はないではない。

重箱の隅をつつくようで申しわけないが、あまりに素晴らしい新製品だからこそ、この原稿を読んだ人があとで失望することのないように、小さいが欠点と取られかねない部分を挙げておこう。

ひとつはチップセット周り。CPUは第8世代のIntel Core i5を搭載しているということだが、Core i5と言いつつ、実はこれMacBook Proに載ってるものとは大きく違う。

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(写真)MacBook Airのコンセプトを現代に蘇らせるための一番の難関がチップセットの選定だったことだろう。

現代のCPUは高性能=消費電力が高く熱を発するということで、性能を発揮するには本体の放熱システムなどの熱容量が性能のひとつの基準になっている。この熱設計電力をTDPといいひとつのモノサシにできるのだが、これがMacBook Proシリーズとは大きく違う。

ちなみに、現行MacBook Pro 15インチのTDPは45W、13インチTouch Barが28Wとなっているのだが、新しいMacBook Airに搭載されているのは7WのTDPのCPUで、12インチのMacBookに搭載されるタイプに近いもの。低消費電力でも性能は高い……とい可能性もなくはないものの、MacBook Proとの間の性能格差はあるていどあるとみていいだろう。

また、このCPU採用のおかげで12時間という動作時間が実現しているという側面もあるから、一概にデメリットとはいえない。

また、新世代のMacBook Pro、MacBook Airを使ってきた人にとってはもう慣れたことではあるが、ポートがThunderbolt 3のみなので、旧来のUSB-A、HDMI、Ethernet、SDカードなどを接続しょうとしたらアダプターが必要になる。必要なポートが限られているなら純正アダプターを接続すればいいが、そうでないならTUNEWAREのALMIGHTY DOCKなどを用意しておくと簡単だ。

また、RetinaディスプレイもMacBook Pro 13で使用されているものよりは若干低コストなものらしく、輝度は300ニト、色域はsRGBとなっている(MacBook Proは500ニト、P3広色域)。

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(写真)実はディスプレイはMacBook Proのものよりも少し低コストなモデル。もっともRetinaなのだから十分なのだが。

と、細かいポイントを突いてみたが、つまりはどんな性能を持っているのかよく理解することが肝要で、新しいMacBook Airが素晴らしいバランスを持った製品であることに変わりはない。

では、新しいMacBook Airの正体は?

単純ではなく、何と比較するかによって、見え方は変わる。

むしろ、今後、このMacBook Airがスタンダードとなり、より高性能・多機能なMacBook Pro、コンパクトなMacBookという棲み分けになっていくと見るべきだろう。

実は『RetinaのMacBook Air』は、とうの昔にその姿を我々の前に姿を現していて、それはMacBook Pro 13インチのTouch Barなしモデルだと筆者は思っていた。

実は、同モデルはTouch Barありと異なり、冷却ファンをひとつしか持たず吸気スリットもなく熱設計電力が15Wとなっている。Thunderbolt 3も2ポートしか持たない。このモデルをMacBook Airのアイコンであるクサビ型のボディに改変した……というのが、MacBook Airの正体に近い。

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(写真)前縁が非常に薄くなっている、MacBook Airならではの非常にアイコニックなデザインが帰ってきた。

消費電力をさらに減らしたCPUを搭載し、最新のTouch IDとT2を搭載すれば、おおよそMacBook Airになる。

しかし、不思議なもので『MacBook Proの廉価版』だったものが『復活したRetinaのMacBook Air』となった途端に非常に魅力的な存在になる。

このたくみなマーケティングを実行できるようになったところが、この秋のアップルの変化だといえるだろう。

いろいろと細かいことを言ったが、コストとのバランスも素晴らしいし、大ヒットモデルになることは間違いないだろう。

購入するならどのコンフィグレーション?

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(写真)カラーが選べるのも嬉しい。従来もMacBook Airは、実はシルバーしかなかった。今回はシルバー、スペースグレー、ゴールドの3色から選ぶことができる。

もうひとつ気をつけなければならないのは、『MacBook ProやMacBookより安い!』という位置づけのために、一番安いコンフィゥグレーションのモデルが128GB SSD、8GBメモリーとなっていることだろう。

これで運用することも無理ではないが、末長く使うためにはせめて256GB SSD、16GBメモリーとしたい。これで17万8800円。末長く使える軽量マシンとしては、かなりお買い得。これでこそ新世代のMacBook Airだといえるだろう。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年11月号 Vol.85』
(村上タクタ)

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