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初代iPhone(2007)|iPhone超分解図鑑

試作品のような見かけだが要素的にはすでに完成していた

いわば、原初の『iPhone』 前後の状況から整理すると、世間は、いわゆる『ガラケー』(当時はそう呼ばなかったが)全盛の時代。ふたつ折りの、テンキーで操作するタイプの携帯が一般的な時代だった。いわゆるスマートフォンのような高機能なものでは、小さなQWERTYキーボードを装備する複雑なルックスのものが多かった。

アップルは経営的に危機に瀕した状態から、ジョブズが戻ってきて’98年に初代iMacを発表、2001年にOS Xをローンチすると同時に、iPodを発売。これらの製品を大成功させ、復活の礎を築いていた。 iPhoneは、そこから6年の時を経て水面下で開発されたことになる。

この小さなコンピュータは、当時からOS Xをベースとしたソフトウエアで動作していると発表されていた。元々UNIXをベースとした、頑強でマルチタスク機能に優れたOS Xをベースとした……ということからも、単なる『ちょっとしたモバイルギア』を作ろうとしたわけではなく、『世界に凹みをつくる革命的製品』を作ろうとしていたことが感じられる。 資金的には、iPodの成功で潤沢であったとはいえ、当時はアップルが携帯電話メーカーになれるとは、多くの人は思っていなかった。

そういえば、この初代iPhoneを発表した時、ジョブズは「2008 年には世界の携帯電話の1%のシェアを得る。つまり1000万台のiPhoneを売る」と言って、その壮大な目標で失笑を買っていた。今となっては、それがいかに控えめな目標であったかに驚く(現在までにiPhoneは12億台以上売れている)が、当時はそういう時代だったのだ。

コンポーネントを見ると、携帯電話はボタンで操作するものだった時代に、触って直接操作する『マルチタッチディスプレイ』を搭載したことがこの製品の最も特徴的な部分であったことを思い知らされる。

発表会を見ただけの時は、画面上のボタンは操作しにくいのではないかと思ったものだが、それをアップルはマルチタッチという概念と、ソフトウェアで解決してしまっていた。

指の操作に対して、驚くほどレスポンスが良かったし、音などのフィードバックで、操作に対して反応を与えていたことも使い心地に影響を与えていた。当時のタッチパネル式デバイスにおいて、「使うことが快感である」と感じさせたのはiPhoneだけだった。

画面に表示される仮想キーボードにしても、母音等のよく使うキーは反応するエリアを広くとったり、視差を考えてボタンに対して、少し手前のエリアが反応するように設計されていたりと、その工夫は細やかだった。

ポケットに入るサイズの電子機器であり、バッテリーと基板、ディスプレイ、いくつかのボタンを持つ製品である……という点において、この製品は間違いなくiPodの延長線上にある。製造ノウハウにおいても、それまで大量のiPodを作ったノウハウが活きていたことだろう。これだけ、複雑なデバイスを新規で作ったにも関わらず、持ち歩く衝撃で内部回路が壊れるとか、熱で動作しなくなるなどの致命的な欠陥が存在しなかったのも、iPodというモバイルデバイスを作っていた経験が活きたというべきだろう。

初代iPhoneがGSMで作られたというのも幸いしている。3G通信を前提とすると、基板も大きくなるし、最初の製品としては、越えなければならないハードルが高くなり過ぎただろう。特徴的な本体背面下部の黒いプラスチックも、妥協の産物ではあるだろうが、手堅い設計だった。

4や5でさえ、金属ボディを採用しつつ、アンテナを配置することに苦労していることを考えると、「ここは樹脂でいいや」と考えたのは、だいぶ製品設計のハードルを下げたことだろう。

後に単一モデルで1億台を超える台数を売ったiPhoneの生産数も初代は数百万台のオーダー。カプトンテープが多用されているなど、今より牧歌的な構造なのが心温まる。

初代iPhoneの中身を大公開!その細部に迫る

機能を象徴した究極の表裏のデザイン

なんといっても表面すべてを覆うマルチタッチディスプレイが最大の特徴。背面はアルミ製で、電波を通すために下部は樹脂製。

最初から完成していたフロントデザイン

マルチタッチディスプレイと丸いホームボタンという構成はX が登場するまで10年間踏襲された。完成度の高いデザイン。

この当時は、今と天地が逆だった

当時は、ディスプレイ側に部品が組み付けられる方式だった。そのため基板とバッテリー以外の部品は画面裏にある。

プレスアルミの本体下部はプラスチック

ボディはiPod などで成熟した技術であったアルミ板のプレス整形。アップルマークは当時から、別素材だった。

分解は、まずプラスチック部分から

プラスチック部分をスライドして外すと、アルミボディ部分とディスプレイを分解するためのネジが現れる。

ボディ側にあるのはボタン類

当時はアルミボディ側にはあまり部品が装着されていなかったので、こちらはシンプル。ユニボディになって内部構造がキーボード側に付いたMacBook シリーズと真逆で面白い。

今では考えられないカプトンテープだらけ

現在のシンプルなiPhone X の内部に比べるとだいぶ混沌としている。絶縁、耐熱用のカプトンテープだらけになっている。

この頃は、まだケーブルによる配線も

ケーブルによる配線も、この頃はいくつも残っている。現在は、ほとんどすべてがフラットケーブルによる配線になっている。

すでにカメラが搭載されていた

200万画素のパンフォーカスだが、すでにカメラを搭載。後の自撮りやInstagramなどの文化が生まれたのも、後のiPhoneがあったから。

3GSまではSIMカードトレーは上部に

3GSまではSIM カードトレーは上部に備えられていた。バッテリーを繋ぐ配線がケーブルというのもなんとも懐かしい感じがする。

GSMの基板はとても小さかった

3G(左)の基板に対して、GSMの基板は小さかった(右の上半分)。高度な3Gの基板は初代のバッテリー込みのサイズと変わらない。

初代iPhone スペック

ポイント

1.初代のみGSM携帯
2.唯一のアルミプレスボディ
3.カプトンテープだらけ

スペック

・アルミプレスボディ
・GSM
・320×480ピクセルディスプレイ
・4、8、16GBストレージ
・200万画素カメラ
・135g

出典

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flick! 編集部

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