iPhone 3G(2008)|iPhone超分解図鑑
flick! 編集部
- 2020年12月18日
緩やかなカーブの内側に電池。プラの内側は切削加工
マニアの人に「好きなiPhoneは?」と問うと、3Gや3Gsという返答が多い。コンパクトなポリカーボネートボディの丸みが手に馴染む。今見るととても小さいが、当時は大きいとか、重いとか言われたものだ。
内部構造は、初代とはうって変わって、ディスプレイをフタにし、ボディ側に組み付ける、以降、ずっと踏襲される方式になっている。ポリカーボネート製ボディを切削加工したり、雌ネジを埋め込んだりする手法は後のiPhone 5以降のユニボディにも継続されている。
この世代から3Gとなったのだが、GSMなどもカバーするクワッドバンドということもあって、メインの基板はすごく大きい。その下にリチウムポリマーバッテリーが貼り込まれている。こうした4重構造は、歴代モデルの中でも3Gと3Gsだけという珍しいもの。
バッテリーはご覧のように本体サイズより若干小さいもので、iPhone 3G/3Gsの本体裏側の膨らみはバッテリーであると考えることもできる。3Gのバッテリー容量は1,150mAh、3Gsの容量は1,219mAhだったが、当時は現在のモデルと比べると節電性能が高くはなかったため、処理能力の割にはバッテリー消費が激しく、ガラケーに対して電池の持ちはよくなかったので(使いやすい分、ウェブブラウジング、SNSに際限なく使うという事情もあったが)、1日持たないというケースも多かった。当時は充電のために再利用可能なバッテリー『エネループ』などを持ち歩かざるを得なくなったが、この流れが後にモバイルバッテリーの隆盛を産むのだから、わからない。
処理能力が低く、通信速度も遅く、カメラは200万画素でしかもパンフォーカスというデバイスだったが、それでも後に必要となる要素はすべて揃っていたということに驚かざるを得ない。ここでのフィードバックが、4、4s、5、5sで花開いていくわけだ。そういった意味でも、非常に興味深いモデルである。
iPhone 3Gの中身を大公開!その細部に迫る
ディスプレイがフタになる形式が完成
初代と逆に本体側にすべてを組み付け、ディスプレイはフタのように開かれ、フラットケーブルで本体側に接続する方式になった。
なぜか、配線を外す順番を書いたシールが
この端末は、発売初日に表参道で買った筆者の私物だが、なぜか分解の際にコネクターを外す順番を示すステッカーが貼られていた。
まだ、320×480という低解像度ディスプレイ
ピクセル数的には、現行のApple Watchと変わらないほどの解像度のディスプレイだが、驚くほど表現力は豊かだった。
3G通信のために巨大化したメイン基板
3G通信を実現するために、基板は大きくなり、同一面上にバッテリーを置くことができなくなりバッテリーは下層に。
中央部の膨らみにバッテリーを
こうやってみると、中央部の膨らみにバッテリーが入っていたことがよくわかる。周囲のネジ配置などは現行に近い。
バッテリーを引きはがすためのタブ
ユーザーによる分解が前提になっていないにも関わらず、分解者に対して親切。バッテリーはボディに工業用両面テープで組み付けられているが、それをはがすためのタブも用意される。
ポリカーボネートボディの切削跡
ポリカボディ内側には切削のミル跡が残っており、本体内部を切削加工していることがわかる。分解の最初は、今と変わらずコネクター左右のネジを外すのだが、内側はこんな形状。
SIMカードスロットが大きかった
当時はSIMカードも大きかったので、そのための大きなスペースが必要だった。SIMカードトレーはSIMピンで引き出す構造だったが、トレー自体はプラスチック製だった。
バイブレーターは通常のモーター
バイブレーターは本体右下、普通に持つと、薬指が触れるあたりの内側に内蔵されている。一般的な偏心カムを備えたモーターで、スプリング状の端子でメイン基板に繋がっていた。
200万画素のパンフォーカスカメラ
性能は低いが、iPhone写真というジャンルを生んだ200万画素のカメラ。3Gsでは300万画素になると同時に、オートフォーカスも採用された。
約10年の隔たりはこれほどに大きい
左がiPhone Xのチップセット、右が3Gの基板。能力的には何百万倍もの差があるにも関わらず、Xの方がコンパクト。これが約10年の歴史の重みだ。
スピーカーと30ピンコネクターのユニット
本体最下部に装備されている、30ピンのコネクターは一般的な形状のものだった。iPodから使われており、5でLightningに切り替わる。
iPhone 3G スペック
ポイント
1.3G接続、App Store対応
2.バッテリーとの3重構造
3.プラの内側を切削加工
スペック
・プラスチックボディ
・3G
・320×480ピクセルディスプレイ
・8、16GBストレージ
・200万画素カメラ
・133g
・115.5×62.1×12.3mm
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- CREDIT :
-
TEXT:霜田憲一、村上タクタ、安井克至/PHOTO:アラタジュン、樋口勇一郎、渕本智信、木村真一
SPECIAL THANKS:霜田憲一
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