理想を追求したがゆえに不具合も多かったiPhone史上もっとも美しい4s|iPhone超分解図鑑
flick! 編集部
- 2020年12月22日
ステンレスフレームと表裏ガラスの歴史的傑作
どのモデルも『歴史的モデルである』としてしまいそうだが、4、4sこそ、間違いなく歴史的傑作だ。
この角丸の四角を突き詰めたデザイン、ステンレスのフレームに、表裏ともガラスのシンメトリカルなデザイン。いずれも、アップルが(そしておそらくジョブズが)突き詰めてきたデザインの究極ともいえる。
しかし、4は理想を追求したのはいいが、それゆえの不具合も多いモデルだった。周囲のステンレスフレームはプラスチックの部品で適切な長さに区切られ、アンテナの役割も果たすようになっているが、それゆえに持ち方によっては電波の受信状態が悪くなるという障害があった。また、ホワイトモデルはガラスへの塗装が上手くいかず発売は10カ月以上も遅れた。両面をガラスとするため、バスタブ状のボディを持たない複雑な構造のモデルになっている。
アーキテクチャとしては4でRetinaディスプレイを搭載。自社開発と言われるApple A4プロセッサの搭載。4sではRetina搭載で重くなった動作速度(Retina化は、単純に言って4倍の画面データを扱うことになる)の最適化、ハードではないが、SiriやiCloudの搭載などが行われた。また、日本だけのトピックだが、au版が出たのも4sからだ。
構造上、ステンレスフレームが周囲を取り囲む。それらを繋ぐのは薄いステンレスのプレートだ。その上にメカニズムが配されている。初代や3G/3Gsに比べると、工業製品として格段に進歩した感があるが、本体をバスタブ状にして、背面にガラスを貼らなければ、もう少しシンプルで軽い構造になっただろうに……とは思う。それでは美しくもなんともないが。
病に倒れたジョブズが、完成品を見た最後のiPhoneは、おそらくこの4sのはずだ。4sが発表された翌日の2011年10月5日に、スティーブ・ジョブズは世を去っている。『s』は『スティーブ』を意味するという人もいるが、真相は不明だ。
iPhone 4sの中身を大公開!その細部に迫る
A5チップの採用とSoCの集積度合の増加
SoCとは『System On a Chip』の略。ひとつの集積回路のチップ上に関連する機能を持った部品をまとめたもの。高度な技術が必要だが、アップルは重要な技術と位置づけており、多額の資金と技術リソースを割いた。一部で「電子部品メーカーになるのか」と言われていたほどだった。
640×960ピクセルRetinaディスプレイの登場
目の網膜の精度を超える精度を持つ……という触れ込みで始まったRetina化。今見ると、Retina化以前は古めかしい。
現行の8まで続く基板と電池の配置完成
縦長の大容量バッテリーを配し、その横に基板を配置する……という今の8/8 Plusまで続く構成が確立した。
アンテナを兼ねたステンレスフレーム
アンテナに相当する長さを獲得するため、樹脂パーツで区切られたフレーム。4と4sでは、区切る場所が違う。
背面もガラス、つまり割れる危険あり
両面がガラスなのは4/4sと、現行の8/8 Plus/X。ユーザーとして両面がガラスだと割れるリスクも2倍になるのが心配だ。
4/4s時代は、スイッチはミドルケース側
力のかかる可動部であり、長年トラブルのタネであったホームボタン。当時、スイッチはミドルケース側にあった。
バイブレーターモーターは大型化
4/4sでは、バイブレーターモーターは大型で平らな形状のものになっている。このあと5になるとまた小型になっている。
カメラは500→800万画素に
カメラユニットは4で500万画素、4sで800万画素と飛躍的に性能を向上させた。800万画素とはいえユニットは極小で、重さはわずか2g。カメラとしてのiPhoneが成長した時期だ。
iPhone 4s スペック
ポイント
1.アンテナを兼ねたステンレス枠
2.表裏ともガラスの美しさ
3.Retina対応、パソコン不要
スペック
・ステンレス・ガラス
・3G
・640×960ピクセルディスプレイ
・8、16、32、64GBストレージ
・800万画素カメラ、30万画素前面カメラ
・140g
・115.2×58.66×9.3mm
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- CREDIT :
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TEXT:霜田憲一、村上タクタ、安井克至/PHOTO:アラタジュン、樋口勇一郎、渕本智信、木村真一
SPECIAL THANKS:霜田憲一
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