Swift Playgrounds 4公開! ついにiPadでアプリ開発が可能に!
- 2021年12月16日
これまでiPadでプログラミング学習しても、開発にはMacが必要だった
プログラミングを学習することで、大きく世界が広がる。
まったく何も知らない状態からプログラミングスキルを身に着ける、一番いい方法のひとつが、iPadやMacで使えるSwift Playgroundsを使うことだと筆者は思っている。
Swiftはアップルが自社製品のアプリ開発のために作ったモダンな構造の言語。Swift Playgroundsでは、Byteというキャラクターにジェムをピックアップさせる動きをさせようというゲームをしているうちに、自然にコマンドや、変数、ループ、分岐などの基礎を学ぶ事ができる『コードを学ぼう』をはじめ、いくつもの非常によくできたカリキュラムが用意されている。
しかし、従来、iPadのSwift Playgroundsでプログラミングの基礎を習得したあと、いざ本当にiPhoneやiPadで動くプログラムを開発しようとしたら、Mac上でXcodeとSwiftを使って開発する必要があった。つまり、たとえば子供たちにiPadでSwift Playgroundを使ってプログラミングを勉強させても、いざ実際に開発しようとしたらMacが必要になるというわけだ。
そりゃどちらもあれば便利だが、子供たちにプログラムを学ばせている場合、コスト負担が大きいと言わざるを得ない。Swift Playgrounds 3からはMacで動くようになっていたから、最初からMacで始めればいいという考え方もあるが、子供たちにプログラミング教育を……と考えた時に、iPadの親しみやすさ、価格の安さは大きなメリットだ。
ついに、iPadでアプリを開発、公開までが可能に
本日発表された、Swift Playgrounds 4で、ついにiPadでも直接アプリを開発し、公開申請ができるようになった。これで、プログラミング教育の途中でMac導入について頭を悩ませる必要がなくなったのだ。
冒頭の画面のように、開発画面では左側にコードのためのスペースがあって、右側にプレビューが表示される。コードの一部を修正したら、その部分だけがビルドされて、右側のプレビューに反映されるので、非常に分かりやすい。
『+』ボタンを押すとスニペットのライブラリが開く。コードのウォークスルーをみると、どういう仕組みになっているか、エキスパートの組んだプログラミングを見て学ぶことができる。
コマンドについて、まだ完全に習得できていなくても、優秀なサブジェクトコンプリケーションが補完してくれるし、そこには使い方の解説も表示されるから、学習しながらアプリを開発することができる。
iPadだけで、初めて書く1行目のコードから、App Storeに公開するところまで完結できるようになったのだ。
もちろん、通常のアプリと同じように審査があり、いまや審査の敷居はなかなかに高いから(類似アプリがないことなどが求められる)、そう簡単に公開はできないだろうが、それでもTest Flightなどの機能を使って、自分で使ってみたりすることはできる。
MacとiPadの違いはどこに?
また、Macでも同じアカウントであれば同じコードにアクセスできるから、自分のMacとiPadでシームレスにコードを共有して開発を続けることもできる。
ご存知のように、iPadの機能は猛烈な勢いでMacに迫っている。
Word、Excelなどのオフィスツールが使えるのはもちろん、PhotoshopもIllustratorもiPad版がある。唯一にして最大の違いは、Macでしかアプリを開発できないこと……と思っていたのだが、ついにその違いもなくなってしまった。
以前なら、「では、MacはiPadに飲み込まれてしまうのか?」と考えねばならないところだったが、M1 Pro/Maxという超強力なチップセットに用意された今、そんな疑問はなくなった。やっぱりMacはiPadと違って、超パワフルな存在あり続けるのだ。
むしろ、Apple Siliconを搭載することで、パフォーマンスに明確な差ができたからこそ、iPadのSwift Playgroundsにアプリの開発機能を搭載できたのかもしれない。iPadとMacは今後、よりシームレスに繋がりつつ、タッチパネルの有無と、性能差で選ぶことができるようになっていくのだと思う。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。