撮影時間
霧氷の撮影には、早朝や夕方の柔らかな太陽光が最適です。さらに朝日や夕日の時間帯には霧氷がピンクやオレンジのグラデーションに染まり、一層の美しさに。また、天気がよく、気温が上がると霧氷が溶けてしまうため、寒さが残る朝一番をねらうのもポイントのひとつです。
構図の工夫
霧氷の撮影では、逆光を利用することで透明感と輝きを引き出せます。太陽の位置を意識し、光が霧氷を透かす角度をねらってみましょう。背景選びも重要で、青空や山々を背景にすると霧氷の白さが際立ち、曇りの日には暗い木々を背景にすることで霧氷が浮き上がるように映ります。さらに、近景と遠景のバランスを意識し、少し離れた場所からズームを使って手前の霧氷に焦点を合わせると、奥行きのある鮮明な写真を撮ることができます。
ドラマチックな写真に仕上げるなら…
撮影後には写真加工アプリを使い、明るさやコントラストを調整することで、よりドラマチックな仕上がりを目指すことが可能です。
霧氷ロードを歩けるオススメの山 5選
霧氷が作り出すアートロードを歩くことは、この季節ならではの特別なアクティビティ。寒さはありますが、その先に待つ景色に「来てよかった!」と思うはずです。どんな霧氷ロードがあるのか?オススメの山々をご紹介します。
横川山 (長野県/標高: 約1,280m)
カラマツの枝にだけ咲く、芸術的な霧氷
南沢山と並ぶ横川山(別名:湯舟沢山)は、中央アルプス南部にある高原の山。紅葉時期も人気だが、なんといっても初冬の霧氷が見事です。一目見たい、見せたいと、さまざまな登山者が往来します。1月以降は積雪が増え、笹の緑は見えなくなります。カラマツだけが白く化粧する幻想的な世界を見るなら、12月の登山がおすすめ!
南沢山から先、横川山方面を見る。12月中旬に撮影。
Route
せいなの森キャンプ場 → 南沢山 → 横川山 → 往路戻り
歩行時間
約3時間30分
Access
マイカーのアクセスのみ。中央道園原ICから、ふるさと村自然園せいなの森キャンプ場へ(約13㎞)。道中の路面凍結に注意。駐車場は有料。登山口付近にキャンプ場のトイレがあり、積雪状況によるが12月中旬頃まで使用できる。
蓼科山 (長野県/標高: 2,531m)
晴天率が高い八ヶ岳で霧氷ワールドに浸る
積雪期登山では、東海や関東からアクセスしやすく、しっかり冷え込んで雪もあり、多彩なルートを選べる八ヶ岳エリアは定番。そのなかで蓼科山は急斜面の登下降もあるが初級者から挑戦できます。繊細な霧氷よりも、着雪や樹氷が多いですが、山全体が真っ白に凍結した世界を体験しやすいです。
吹きさらしとなる上部は、霧氷(樹氷)が発達。
Route
蓼科山登山口 → 蓼科山 → 蓼科山登山口
歩行時間
約5時間
Access
蓼科山登山口へのバスが冬季は運休するため、公共交通機関ではJR中央本線茅野駅からタクシー利用となる。マイカーの場合は、中央道諏訪ICからビーナスラインを経て登山口まで。無料駐車場あり。滑り止め対策必須。
高見山 (奈良県/標高: 1,248m)
関西で霧氷の山といえば。下山後は温泉も
関西のマッターホルンの別名をもつとんがり山は、関西圏で霧氷の山といえば必ず名前が挙がります。例年、奈良交通バスが「霧氷バス」という直通登山バスを運行するくらい有名です(運行期間は奈良交通の公式HPで要確認)。山頂は360度の展望で、同じく霧氷の山として知られる三峰山も見えます。下山後にすぐ温泉に入れるのもうれしい山です。
山頂付近の稜線に、びっしりと付着した霧氷の花。
Route
高見登山口 → 小峠 → 高見山 → たかすみ温泉
歩行時間
約4時間30分
Access
奈良交通の霧氷バスの運行は冬に発表される。HPを確認。2023年は2月の土日祝限定で、近鉄榛原駅から行きは高見登山口へ、帰りはたかすみ温泉から運行されていた。1日1往復。内容は見直しされることがある。
綿向山 (滋賀県/標高: 1,110m)
積雪が少なくても霧氷はあるかも!?
平日も登山者が絶えない、鈴鹿山脈の西方にあるポピュラーな雪山。雨乞岳や鎌ヶ岳など鈴鹿の山々を見渡す眺望も人気の理由ですが、寒気の影響で霧氷が出現しやすく、短時間で登れることもあってファンが多い山です。山頂まで来たら、竜王山方面に続く稜線を北へ10分ほど進むとまた違った展望が。帰路は往路を戻りましょう。
綿向山から北、竜王山方面に行く。
Route
御幸橋駐車場 → ヒミズ谷出合 → 五合目避難小屋 → 綿向山 → 御幸橋駐車場
歩行時間
約4時間
Access
公共交通機関の場合は、JR近江八幡駅から近江鉄道バスが利用できるが、登山口まで1時間歩く必要がある。マイカーの場合は、登山案内板とトイレのある地点を右に進むと、御幸橋駐車場がある(約50台)。
黒檜山 (群馬県/標高: 1,828m)
バスも使える。赤城山最高峰の黒檜山へ
一年を通して人気の赤城山は、冬もアクセスがよく、登山口までバスでも行けます。黒檜山に向かう急な尾根で、木々についた霧氷と凍った湖面を間近に見られるのは赤城ならではの景色。谷川連峰、浅間山などの眺望も美しい。小規模な雪庇ができるので、ほかの登山者にならって、気をつけて進みましょう。
霧氷の向こうに凍結した大沼の湖面を望む。
Route
あかぎ広場前 → 黒檜山登山口 → 黒檜山 → 駒ヶ岳 → 赤城公園ビジターセンター
歩行時間
約3時間30分
Access
JR両毛線前橋駅から関越交通バスであかぎ広場前バス停へ。帰りは赤城山ビジターセンターバス停から前橋駅へ。休日は、赤城山直通バスがある。平日は富士見温泉で乗り継ぐ。マイカーの場合、おのこ駐車場などを使う。
霧氷と樹氷は何が違う?
霧氷と樹氷は、どちらも過冷却水滴が凍ることで形成される現象ですが、その発生条件と見た目には大きな違いがあります。霧氷は静かで湿度の高い環境で繊細な結晶を作り出し、白く輝く羽毛のような美しさを楽しむことができます。
一方、樹氷は強風と霧が生み出す力強い氷の彫刻で、山の厳しい自然のなかでその存在感を放ちます。
霧氷の優美さ、樹氷の力強さはそれぞれの環境が作り出す自然のアート。その一瞬、そこにいる人しか見られない作品です。
項目 |
霧氷 |
樹氷 |
形成環境 |
弱い風、湿度の高い環境 |
強風と霧や風雪がある環境 |
見た目 |
繊細で羽毛のような結晶状 |
重厚で全体が覆われた彫刻状 |
発生場所 |
山地や寒冷地 |
標高の高い山地が中心 |
例えるなら |
自然が作る繊細なアクセサリー |
自然が作る巨大なオブジェ |
霧氷ロードはどのくらい寒い?
標高1000m以上でできる霧氷。いったいどのくらい寒いのでしょうか? 一般的に標高が1000m上がるごとに気温は約6.5℃下がるとされています。標高1000メートルの地点はふもとよりも約6.5℃寒いはず。この目安をもとにすると、標高2,500メートルではふもとよりもおおよそ16.25℃も寒くなります! これはかなりの温度差で、同じ地域でも標高によってまったく寒さ度合いが変わります。実際の気温差は地形や気象条件によって異なることもありますので、実際に訪れる際には最新の天気予報を確認しましょう。
霧氷ロードを歩くときに気をつけておきたいこと
適切な装備: 標高が高くなると気温が下がるため、適切な防寒具を準備しましょう。特に霧氷が見られるような寒い環境では、保温性の高いウェアが必要です。
滑り止めの装備
路面が凍結している場合があるため、軽アイゼンやチェーンスパイクなどの滑り止めを装備することが重要です。
天候の確認
天気予報を事前に確認し、悪天候が予想される場合は計画を見直す勇気も必要です。特に吹雪が予想される場合は、凍傷のリスクがあるため注意が必要です。
風速の影響
風が強いと体感温度が大きく下がるため、風速にも注意し、必要に応じて避難する場所を確認しておくことが大切です。
視界不良時の対応
濃霧や吹雪などで視界が悪くなることがあります。視界不良時は、その場から動かないことが基本です。また、コンパスを使用して現在地を確認し、誤ってルートを外れないように注意してください。
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