
雲仙天草国立公園ならではの、火山と島々が織り成す水陸の大展望|日本の国立公園を知る、歩く。【♯11】

ランドネ 編集部
- 2025年04月08日
昭和9年に、日本で初の国立公園(雲仙国立公園)に指定された、雲仙天草国立公園。長崎県にある島原半島の中央部に位置する雲仙地域と、熊本県の南西部にある大小1 2 0ほどの島々からなる天草地域の2エリアで構成されており、水陸どちらをとっても、美しい自然景観を望むことができる。

島原半島は、直線15㎞ほどのの距離で、海抜0mから1483mまで地形が変化する場所。中腹には「雲仙地獄」と呼ばれる地帯が広がっており、そこでは多くの噴気孔が見られたり、地元の人から観光客にまで愛されている地獄由来の温泉も楽しめる。また、平成2年には198年ぶりの普賢岳の噴火が始まり、大きな火山災害を伴いつつも「平成新山」を形成。日本で一番新しい山として知られており、普賢岳の道中からも、その姿を見ることができる。


天草諸島では、天草松島や八代海を中心とした多島海景観、東シナ海の荒波の侵食により形成された海食崖地形を見られるのが魅力。天草地域には透明度の高いビーチも数多く、サンゴや熱帯魚などを観察することも可能だ。ほかにも、海岸線の山稜を歩く、九州自然歩道の「観海アルプスルート」も見どころのひとつ。短時間で歩ける簡単なコースから、縦走することが可能なコースまであり、自分に適したプランを選んで楽しむことができる。
雲仙地獄の周辺では、地熱や火山ガスが噴出しているような厳しい環境に耐えられるツクシテンツキやシロドウダンなどの植物が生息。これからの季節では、普賢岳登山の玄関口となる仁田峠を含むさまざまな山域で、天然記念物にも指定されているミヤマキリシマの大群落を楽しむことも。春になると美しいピンク色で山肌が覆われるため、高山植物が好きな方にはぜひ、この時期の登山をおすすめしたい。

また、観光スポットとして有名な場所のひとつとして、前述した雲仙地獄が挙げられる。そこで湧く温泉は、途中で人の手を加えることなく、そのまま公衆浴場やホテルで使用されている。〝地獄〞そのものは現在も移動を続けており、令和2年まで駐車場だった場所では、地中から噴気が吹き上がり、アスファルトが溶けてしまった。いまでは「いぶき地獄」と呼ばれ、観光名所のひとつになっている。
雲仙天草国立公園は、2034年で100周年を迎える。先の未来に向けて地域と連携しつつ、豊かな自然と景観を後世に引き継ぐための取組みを日々模索し続けている雲仙天草国立公園の、今後の動きに注目していきたい。

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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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