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アウトドアユーザーに愛され続けるKEENが歩んだ15年

KEENの歴史は、2003年に始まる。創業者は、米国西海岸の街・カリフォルニア州サンフランシスコに生まれたローリー・ファーストだ。

彼は大学を卒業すると靴のソール張り替えサービスを始め、次第にスポーツシューズ・ブランドなどを立ち上げて事業を拡大していった。そんなローリーが自身の理想とするスポーツサンダルを生み出そうと創業したのがKEENであり、その処女作として発表したのが「ニューポート」だった。

当時、ニューポートのどこが新しかったのか。
それはまずは、爪先を守るトゥ・プロテクション機能が備えられたことが挙げられる。登山などのアウトドア活動はもちろん、ヨットのデッキで行動するなど、素足に近いシーンでの使用も考えられていたため、足をケガしないよう考慮されていたのだ。スタッドレスタイヤのように細かな切れ込みが入ったソールも備わり、水辺でのグリップ力にも非常に優れていた。そしてなによりも、その履き心地が素晴らしい。フィット感に優れたアッパーはワンピース構造で作られていて、素材はシリコンを含ませたウォータープルーフ加工の皮革だ。これは海水や泥地などで使って濡れてしまっても、ひび割れないよう配慮したものである。

ニューポートを発表した秋には、驚くほどのフィット感を備えたクロッグサンダル「ヨギ」、軽量なハイキングシューズ「ターギー」などを発表してラインアップを増やしていく。’04年になると、KEENは年間80万足もの出荷をするまでに急成長した。’05年には、より親水性の高いニューポートのアップデート・バージョン「ニューポートH2」を誕生させるなど、その勢いを増していく。ちなみに、この「ニューポートH2」は、アッパーにナイロンやウェットスーツ素材を採用していて、よりカジュアルに使える軽量モデルだ。

現在は、スポーツサンダル・ブランドというイメージから大きく成長して、山に行くときも、海に行くときも、街中でも、自宅を出たときから帰ってくるまでの時間、すべてを快適に過ごすためのハイブリッド・フットウエアという靴づくりを行うようになっている。これは、サンダルと靴の融合、陸地と水辺、機能とファッション、男性用と女性用の融合であり、あらゆる生活圏で老若男女を問わずに履くことができるフットウエアの提唱だ。

▲2008年に誕生したヨギ アーツ。新潟の伝統工芸とコラボしたモデルは、売り上げの一部を新潟中越地震で被害に遭った染物工場へ寄付。

例えば、一般的な登山靴を考えてほしい。登山には最適だが、行き帰りの電車の中では決して快適ではないし、車の運転に適しているともいいがたい。街中で履くにも、剛健すぎるだろう。しかし、KEENのハイキングシューズならば、いつでも快適で、履き変える必要性を感じることはない。トゥ・プロテクション機能も装備されている。

▲2本のコードと1枚のソールで編み上げられた「ユニーク」は、現在、幅広い層のユーザーから支持される、キーンを代表するフットウエアのひとつ。

そんな彼らは、「Giving Back:社会への還元」「Taking Action:市民活動支援」、「Redusing Impact:環境負担の軽減」という合言葉を掲げる、持続可能な世界を実現するための取り組み行う“環境配慮型”の企業としても知られている。

これまで数々の活動を世界中で繰り広げているが、まずなんといっても面白いのが、オレゴン州ポートランドにある米国本社のリノベーションだろう。2012年から使われている本社建物は、100年ほど前に建てられたレンガ造りの倉庫をリノベーションしたものである。通常、同等の規模の建物を改修する際には、24トンほどの廃棄物が出されるそうなのだが、彼らは発生する廃棄物を、わずか“コンテナ1台分に抑える”という目標を立てて成功させている。このポートランド本社内のオフィスを見まわすと、柱や壁、家具など、至るところに古い木材が利用されているのだが、合計すると約5トンの金属、約25トンの壁材、そして約25トンの木材を再利用して、建物に新しい命を吹き込んでいる。ただ資材を再利用するだけでなく、遊び心いっぱいに仕上げるあたりもKEEN流といえよう。

▲2010年にはポートランドに工場を設置

彼らはハイブリッド・フットウエアに加えて、“ハイブリッド・トランスポート”と銘打って、リサイクル素材を使ったバッグもラインナップしている。当初発表されたこのシリーズには、靴のソール成形をしたあとで切り取られるトリミング廃材をバッグ底の素材として再利用したり、アルミ缶などを使ったバックルを採用するなどの取り組みで注目された。さらには、靴工場のとなりにバッグ工場を置き、そこで働く工員用たちが食べたあとに残った米袋を再利用して、ノースラップバッグとして復活させるなど、アイディアもまさしくKEENならではといえる。また、製品を入れるための箱、靴の出荷時に型くずれを防ぐ詰め物などもリサイクル材を使うなど、環境配慮に対する取り組みに抜かりはない。

▲エネルギー消費が少なく、環境負荷が低いとされる「ダイレクトバルカナイズドシューズマシーン」を2011年に採用している。

▲2005年には、Hybrid Care基金を創立。2004年12月に起きたインドネシア共和国・スマトラ島沖の津波災害を機に、“KEEN基金”を立ち上げた。2005年秋冬の広告予算全額約100万ドルを費やしスマトラ沖地震をはじめ、災害復興支援を行った。(当時、KEENのCSRは”Hybrid.care”という呼称だったが、2018年現在は”KEEN EFFECT”(キーン・エフェクト)“に名を変えている)

 
創業以来、環境NPOなどに多大な額の寄付も行っており、日本でも多くの固有種が生息する西表島の環境保護活動をスタート。ほかにも、過疎化が進む新潟県十日町市の津南町で6年前からアートでの地域づくりを行う「大地の芸術祭の里」でも取り組みもバックアップしている。

これは、空き家になっていた民家をKEENアンバサダーの空間アーティストBubb氏と、ライブペインターユニットGravityfreeとともにアート作品「出逢い DEAI」としてアート作品に仕上げたものだ。本開催年度である今年も開館し、9月8日・9日には満天の星空を仰ぐ「中津川天体宇宙観」と夜のDEAI初公開も予定されている。松代地区では、過疎化や高齢化で担い手のいなくなった棚田を守るため、田んぼのオーナーも行っている。

また、フェスなどで出店時は「FEEL GOOD STORE by KEEN」という名称でチャリティ物販を行っており、売り上げの50%を環境保護・社会貢献活動を行っている団体に寄付し、運営サポートを行っている。

こうした活動は数えるときりがないのだが、KEENは靴づくりを通じて、物事がよりよい方向へと進むよう社会に変化をもたらそうとしているのだ。とくに僕たちが愛してやまないアウトドア活動は、豊かで健全な自然環境がなくては成り立たないのだから。

文◎村石太郎

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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