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イラストエッセイスト・松鳥むうの「山のふもとのゲストハウス案内」#1 ゲストハウス亀時間(神奈川県鎌倉市)

その土地の暮らしに寄り添いながら、訪れた旅人を優しく迎え入れてくれる宿、ゲストハウス。全国各地に点在するゲストハウスを100軒以上訪ねてきた、イラストエッセイストの松鳥むうさんが、山歩きの拠点にもおすすめのゲストハウスを紹介する、新連載。1軒目は、多くの観光客とハイカーで賑わう町・鎌倉にある「ゲストハウス亀時間」です。

亀時間になる前はステーキ屋さんだった建物。梁の上には大きな神棚もあり、鎌倉えびすの福笹が祀られている姿に地域との温かい繋がりを感じる。

自分自身の本当の時間を取り戻す場所

古都鎌倉。人々でにぎわう小町通りから、徒歩約20分。海の近くに広がる"材木座"というエリアをご存じだろうか?観光客はさほど多くなく、静かな鎌倉の日常を感じられる場所だ。そんな材木座の中にあるのが「ゲストハウス亀時間」。

築100年弱の古民家をリノベーションした宿で、赤レンガ塀に囲まれた和の家屋だが、扉を開けてすぐの共有スペースにはレンガ床が広がり、和洋の重なり合いがなんとも懐かしく、スッと気持ちが和らぐ空間だ。

上から、男女混合ドミトリー部屋、2人部屋、4人部屋。ドミトリーの下段は畳の上に布団を敷くスタイルなので、背中も心地いい。ありそうでなかった2段ベッドの形、家にも1台ほしくなる。

「宿名の亀時間の"亀"は、ミヒャエル・エンデの小説『モモ』に出て来る亀からとりました。『モモ』のように、大切な時間をゲストさんがこの場所で取り戻してくれたら」と、宿主のマサさん。マサさん自身も、脱サラ後、世界各地を旅する中で、自分の本当の時間を取り戻しって行ったひとりである。だからだろうか?マサさんのゆったりとした口調には、とてもとても安心感を覚えるのだ。そこに、マサさんの人生を変えたアフリカはジンバブエの伝統楽器ムビラの音色が加われば、気持ちはあっという間に体という器といまという時間を放り出し、世界中へと旅立って行ってしまいそうになる。

泊まらずとも楽しめる宿

亀時間の朝ごはんに欠かせないパンは、鎌倉在住のパン職人さんが亀時間用に作ってくれているのだそう。

亀時間は宿泊客以外でも、気軽に訪れるコトができる。毎週末の昼間は「cafe kamejikan」として、カフェ店長がデンマークから持ち帰った酵母を用いたデンマークパンと野菜料理を中心にしたごはんが楽しめ、月2回の夜は「ヨルカメfeat.meCURRY」と題して、鎌倉界隈のケータリング等で人気のインドカレーが食べられる。お酒が好きな人は、宿手作りの果実酒なども、ぜひ。両方とも、ホールスタッフとして現れるのは、マサさん。いきなり、宿泊する勇気がない方は、まず、カフェかヨルカメでマサさんとお話してみるのもいいかもしれない。

また、亀時間は、宿泊者限定の朝ごはん(有料)も見逃せない。手作りの天然酵母パンに、鎌倉や近隣の地元野菜のサラダ、そして、季節ごとに日々変わるスープ!暑い夏はビーツの冷静ポタージュ、寒い冬はカリフラワーとキノコの温かいスープなど。朝ごはんを食べに季節を変えて何度も泊まりに行きたくなる。

亀時間から材木座海岸までは歩いてたったの3分ほど。朝日もバッチリ拝めるスポットだ。早起きして朝日を眺め、鎌倉の海風を浴び、亀時間の朝ごはんをほおばり、そして、いざ、鎌倉アルプスへ!何度も鎌倉を訪れている人でも、亀時間に泊まるコトで、また、違った鎌倉時間を感じるコトができるはず。あなた自身の本当の時間を、ここ亀時間で取り戻してみては?

ゲストハウス亀時間

宿泊料金:ドミトリー 1人3,500円/小サイズ3,200円、個室(4.5畳2人部屋)1部屋 9,000円、個室(8畳2~4人部屋)1部屋12,000円(2人使用)~16,000円(4人使用)、朝食1人500円
TEL.0467-25-1166
https://kamejikan.com/

亀時間を拠点に歩きたい、鎌倉の山

3方向を山に囲まれる鎌倉には、日帰りで気軽に歩けて、歴史を感じたり、海を眺めたりできる山がいくつもあるのが魅力でもあります。写真は、鎌倉駅から15分ほどの八雲神社がハイキングコースの入り口となる祇園山からの景色です。ほかにも銭洗弁財天宇賀福神社を経由する大仏ハイキングコースや、静かな森歩きが楽しめる衣張山など。現在は通行止めになっているハイキングコースもあるため、出発前に必ず確認をしてから安全に楽しむようにしましょう。

 

松鳥むう

イラストエッセイスト。離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。訪れた日本の島は107島。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)、『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)、『初めてのひとり旅』(エイ出版社)等。Podcast&Radiotalk はじめました。http://muu-m.com/

Podcast→「松鳥むう」で検索
Radiotalk→https://radiotalk.jp/program/65843
YouTube→https://www.youtube.com/channel/UCxyShAwsgXNraXA2PVOrcLg

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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