釣りたて、揚げたてのワカサギは雪のような口どけ【登山ガイド・渡辺佐智の“やまのさち”】

登山ガイドの渡辺佐智さんが、自然の中で採れる旬のごちそうを追ってあちこちの山へ。さて今回のごちそうは?

赤城山の黒檜山、駒ケ岳、地蔵岳は登ったことのあるというランドネ読者も多いのでは? 標高1345mの氷上穴釣りへいざ!

【群馬県・赤城山大沼のわかさぎ】
キュウリウオ目キュウリウオ科
旬:冬から春の産卵期
寿命:1~2年
鮎やシシャモの仲間。キュウリに似た匂いがする

○教えてもらった名人
鯨井千明さん
手作りの道具で工夫し仲間と作戦をたてて考えるのがワカサギ釣りのおもしろさなのだとか。手製のそりがすごい!

ワカサギのおいしさはどこから来るのか?

サクッ、ふわふわ~、シュワ~、と口の中で溶けてなくなる軽さ。止まらないおいしさとはこのことだ。釣りたてで揚げたてのワカサギの天ぷらは、個体によっては揚げるとハーブのように香りが強いのもあり、それがアクセントになってまたうまい。

暗く静まりかえった朝5時過ぎ、待ち合わせ場所のバンディ塩原の戸を開けると、そこはこうこうと電気がつき集まった人で熱気があった。空が明るくなり始めると氷の岸には釣り人お手製のそりがいくつも並び、なんだかレースのスタートラインのようだ。ほのぼのとしたワカサギ釣りしか経験のない私が呆気にとられている間に、名人は着々と準備を進めていく。6時の開始時刻になると、皆一斉に自分のポイントを目指して歩き始める。凍った大沼には朝霧がかかっていて、そりを引いた人影が霞みにとけていく様子は映画のワンシーンのようだ。

目指していたエリアにつくと、魚探を使い氷の下のワカサギの動きを探り、穴を開け、そりを設置して釣り場を作る。たんたんと進んでいく作業だが、良い場所で釣るためには昨夜の打ち合わせから作戦が練られ、その上で釣り人同士の協力やけん制がある、とあとから聞いた。冷たい大沼の上で熱い戦いが繰り広げられているのだ。

朝の釣れる時間帯を過ぎ日が差し込むと、ぽかぽか陽気でのどかな雰囲気になった。寝っ転がると雲一つない青空の周りを縁どるように山が囲んでいる。大沼の水は、隣にある覚満淵と言う高層湿原と、周辺の伏流水が主な水源だそうだ。西高東低の冬型で雪を降らせる雲は、日本海側で重い雪を落とし赤城山に到達する頃には軽い雪になる。手で握っても固まらない雪だ。赤城大沼のワカサギがこんなに口どけがよいのは、そのさらさらパウダーの味なのだろうと、私は口をもぐもぐさせながら納得した。

長時間いるので使い勝手や姿勢をできるだけ楽なようにするのがポイント

20160406_01
1.どこに穴を開けるかは重要で、30㎝ずれただけでも釣果が変わってくる
2.細い糸と小さな針を絡ませないようにどうさばくか。真剣なので口がとがってます

火を使ってよい場所は限られているので、事前の確認を

20160406_02
1.名人曰く、揚げる前の下ごしらえが肝心で塩でもんで2回洗うとおいしくなる
2.塩、胡椒、しょうゆ、一味唐辛子、何をつけるとおいしいか考えるのも楽しい

【釣りのルール】
氷の状態は常に変化します。春の天候でも山は一気に変わる場合があり、吹雪くと平らな氷の上は方角がわかりづらく風の影響をもろに受けます。必ず釣り宿に状況を聞きましょう。

○渡辺佐智(わたなべさち)
自然のなかで体を動かし、
おいしいものを食べることを愛する。
安全登山のための情報を
ウェブサイトでも発信
www.yamanosachi.jp
やまのさちサイトで番外編を公開中!
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http://www.yamanosachi.jp/bangai.html

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