山椒の独特の清涼感は何ものにも代えがたい魔法のスパイス【登山ガイド・渡辺佐智の“やまのさち”】

登山ガイドの渡辺佐智さんが、自然の中で採れる旬のごちそうを追ってあちこちの山へ。さて今回のごちそうは?

夏が近づき日が延びると、遊ぶ時間が増えてなんだかソワソワ。青空の下、山椒を摘みに入った山では蝉の声!

【群馬県みなかみ町の山椒】
ミカン科
旬:若葉(木の芽)と花は4~5月。実は6月
英名:Japanese pepper

○教えてもらった名人
高月弘子さん
ガイドカンパニー冒険小屋代表、ゲストハウスの女将。年間通して山の楽しみをガイドするプログラムが充実。登山ツアーはもちろん、夏はキャニオニング、パックラフトなどの水遊びツアーも楽しいよ。草木染めのワークショップもおすすめ!
www.boukengoya.com

夏めく山、山椒の香に誘われて

山椒は、止められない。メインのおかずにはならないし、一生懸命集めても量はわずかだし、摘むときはトゲが痛い……はずなのに、あの独特の清涼感は他の何にも代えられず、一年中冷凍庫にパッキングしておきたい山菜の一つだ。実山椒をパラパラと、スープに、煮ものに、炒めものに振り入れるだけで、私の手抜き料理を複雑な味に変化させる魔法のスパイスである。

登山道の脇に生えていることも多く、いつでも採れる身近な山菜なのだが、ガイド中に自分の用事に没頭するわけにもいかず、普段は「あ、山椒の木がありますね」と努めて淡白に平静を装い、通り過ぎることにしている(つもりだ)。だから、山椒を摘む日は特別につくらないといけない。昨年6月に高月弘子さんといっしょに集めてストックしていた山椒が少なくなってきたところだったので、再びみなかみ町を訪れた。

今年は雪解けが早いため植物の成長が早い。実がつく前の柔らかい木の芽(若葉)を摘みたくて、少し早めの5月下旬に群馬県へ向かった。去年と同じ場所に着き、記憶を頼りに歩くと、同じ山椒の木々が芽吹いていて、久しぶりの友人に会うような気持ちになった。

山椒の実は塩ゆでしてストックしておけば長く楽しめるが、生葉である木の芽はそうはいかない。冷蔵庫に入れっぱなしでは、葉は茶色く変色してしまうし、香りも長くはもたない。旬はいま! なのだ。吸い口や木の芽和え、山椒焼きなど和食にとても合う薬味だけれど、私が木の芽に開眼したのは、これまた別のときに友人が木の芽おにぎりをつくってくれたことからである。少し硬めに炊いた白飯と、おいしい塩と、細かく刻んだ木の芽の相性は、どこかの山頂に立って向こうの山の隅々まで聞こえるように、大きな声で知らせたい旨さだった。

直射日光に当たりすぎない半日陰のような場所を好み、低木で他の木に紛れていることが多い

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1.ほとんどの山椒の木はトゲがある。できるだけトゲが柔らかくツヤッとした木の芽を探す
2.藪の中に入って採るときには、片手は手袋をして枝を押さえ、利き手は素手で爪の先を使い切り取る

春から夏にかけて、木の芽、花、実、と異なる部位を楽しめる。いろんな素材に合うので、試してみて!

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1.ごみを除いて軽く茹でる。色が変わったらOK。水を絞って細かく刻み、塩と混ぜておけば数日もつ
2.白飯に木の芽塩。ページ上部のタイトル部分の写真は、木の芽でつくったちりめん山椒おにぎり。甲乙つけ難い

山椒摘みのアドバイス

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山椒に似た葉との見分け方は、葉を揉んで香りを確かめると間違えない。また、山椒のトゲは茎に向かい合って2つ付く(対生と言う)のもポイント。ただし、まれにトゲのない山椒もある

○渡辺佐智(わたなべさち)
自然のなかで体を動かし、
おいしいものを食べることを愛する。
安全登山のための情報を
ウェブサイトでも発信
www.yamanosachi.jp
やまのさちサイトで番外編を公開中!
yamanosachiROGO
http://www.yamanosachi.jp/bangai.html

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趣味の専門誌を届けてきた私たちが世界中の人に向けて、趣味の世界への入り口をつくりました。彩りに満ちた人生の新たな1ページが、ここから始まります。

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