こんな祭りが山で!? 「山の奇祭」キセル祭り(茨城県)

山でこんな祭りが!? ということで全国の山にまつわるお祭りのなかでも、さまざまなオモシロ奇祭をお届けします! いや~こんな世界もあるんですねとうなっていただければこれ幸い!

というわけで………

少しさかのぼること2カ月前。2016年9月4日日曜日、茨城県石岡市と同県真壁町にまたがる加波山の山頂近くにある加波山神社(かばさんじんじゃ)で、長さ2.6メートル、直径25センチ、重さ60キログラムの巨大キセルを奉納する奇祭「キセル祭り」が行われました。

これが「キセル祭り」だ!

2_D3S3108[1] 加波山神社の拝殿の前に置かれた巨大きせる。たばこが詰められると神事が始まります。

3_D3S3189[1] 拝殿では、数人の神職によって神事が行われ、おごそかな空気があたりを包み込みます。

4_D3S3312[1] 火をつけるときは、マッチなどを使うことはありません。伝統的な方法によって火をおこします。

5_D3S3360[1] 火がつくと、間髪をおかずにたばこを着火しなればなりません。その所作は、機敏そのもの。

着火後、巨大キセルが山を駆け上がる!

この巨大キセルは、加波山神社の拝殿を出ると、そこから300メートルくらい急斜面を登ったところにある「たばこ神社」まで、男集によって担ぎ上げられます。世界最大のサイズを誇る巨大キセルが奥深い山の中にある「たばこ神社」に駆け上がる様子は、ナカナカに壮観。巨大な男根がグングンと山を駆け上がっているようにも見えますね。
6_D3S3615[1]

たばこの煙はみんなに振る舞われる。さてお味は…?

この「たばこ神社」での神事は、それに則ったものですが、すべてが終わると、この祭りに参加している地元の人たちはもちろんのこと、登山に来ていたハイカーや年配のアマチュアカメラマンにも”煙”がふるまわれました。

「1年に1度しか口にすることのできない味、脳裏に染みるぅ〜〜〜。ありがたや、ありがたや〜〜(笑)」(60代の地元の男性)

「うほぉ〜〜、こ、これはうまいですっ!!」(観光客)

「ぉお、ワンダフル〜〜〜」(外人)

たばこの味は、外人にも好評でした。「本当においしいですね~。ワンダフル!」とのこと。
7_D3S3867[1]

約60年前に生まれた奇祭。今も山奥でひっそりと祈りは続けられている

加波山神社は、筑波山などとともに連峰を形成している加波山にあり、ここには、「国常立尊(くにとこたちのみこと)」や「伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)」、「伊邪那美尊(いざなみのみこと)」が祀られています。本殿と鎮座地は、さらに上に位置している加波山の頂上(709メートル)にあることから、登山客でもない限りめったに行かない場所。ちなみに、「たばこ神社」には、たばこの耕作にゆかりのある「草野姫命」と「八雷神」、「大己貴命」が祀られています。関係者に話を聞いてみました。

「この祭りは、今から60年くらい前に始められたものです。昭和28年、東茨城郡内原町(現・水戸市内原町)で、春先に雹害がありました。耕作者一同が加波山神社で五穀豊穣を祈願すると、たばこの葉は、みるみるうちに回復して豊作となりました。翌年、等身大のキセルを奉納したのが、この祭りの始まりです。今ではもう残されていませんが、そのときに使われていたキセルは、ブリキや竹などで作られていました。今日、キセルに詰めたのは、水府という種類のたばこ草です。今では、茨城県でこれを作っている農家は3軒となってしまいました」

「霊験あらたかな加波山の山頂一帯には、『社』や『祠』が点在しています。山中には、737もの神々が祀られています。今日はみなさんに、このようなところまで来ていただいて、本当にありがたく思っています」

8_D801995(完成)[1] ▲山を上がるときは、担ぎ手全員の呼吸をひとつにしなければならない。それでも、もたつくことがある

9_D3S3972[1] ▲すべての神事が終わると、巨大キセルは山を降りる。これもまた大変な仕事だ。気を抜くことはできない

加波山神社に行くためには、石岡市内の中心部から3時間近く車を走らせなければいけません。県道94号線から山道に入ると、トンでもない悪路を走ることになるからです。今どき、このような山奥でひっそりと行なわれている祭りというのも少ないでしょう。奇祭の一種でありながら、観光客向けとしていないのが、「キセル祭り」の価値あるところなのです。

酒井透/サカイトオル(本名:さかい とおる、1960年 – )。カメラマン、秘境・B級スポット探検家、ビデオジャーナリストでもある。東京都新宿区出身。写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)専属カメラマンを経て 90年代は、アフリカ音楽やヒップ・ホップなどのミュージシャンを追いかける。以降、メディアが取り上げる事の少ない人物やカルチャー、B級モノを追い続けている。

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