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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#04 じめんのうえと じめんのした

中学の校長先生は植物を専門にしていた方で、時折披露される小話が私はいつも楽しみでした。ある日どんな流れだったか、先生がこう言いました。

「木の根は地上に出ている部分を支えなくてはなりませんから、大きな木はそれだけ大きな根が、地下に広がっているということですね」

それを聞いた途端、目の前の景色が地面を軸にぐるりと反転したようで、クラクラしてしまいました。ちょうどそのときの美術の課題は並木通りのスケッチ。ケヤキが立ち並ぶ景色が水に映るように逆さまに、地下にも広がって見えてきます。これまで気付いていなかった、でもたしかにあるはずの地下の世界に惑わされ、その課題は提出できなかったのを覚えています。

実際は地上を反転したようなものではありませんが、見えない地下を想像すると世界はもっと賑やかになりました。葉を落として寂しげな植物も、根は生き生きと栄養を蓄えているかも。私たちが地上に住むように、地下に住む生き物も当然います。

アスファルトの地面は息苦しく感じるようになりました。地表を覆われて出て来られない生き物はいないかしら。落ち葉が朽ちていかないのに土は痩せてしまわないかしら。街路樹の根が歩道を割っているのを見ると「それいけ!」なんて思ったり。

対して山を歩くときは、土や苔、岩の上でさえ、街よりも柔らかくていい気持ち。とくに森。目の前に広がる植物の世界は地下にも築かれていると思うと、足裏に豊かな厚みをも感じ、尊敬を覚えるようになりました。

落ち葉が重なりスポンジのようにずっしり水を抱え込む、白神山地のブナの原生林。ここに住む微生物の作る酵素は、医薬品に応用される可能性も秘めているそう(許可を得て掘り起こしています)

 

「じめんのうえと じめんのした」というシンプルなタイトルの今回の絵本は、科学の本です。見慣れた動植物を例に地上と地下を描き、生物と無生物の有機的な繋がりを簡潔に教えてくれます。

私たち動物は、光や水や土から栄養物を作り出すことはできません。そのことを改めて認識したあとに読むこの一文は重みがあります。

「じめんの うえに すむ どうぶつも じめんの したに すむ どうぶつも、しょくぶつの おかげで いきているのです」

山で植物に出会うたび、動き回れない彼らは与えられた環境でなんと健気に生きているのかと感心しますが、はたしてそこに思いあがりはなかったかしら。植物を食べることで生かされ、ちょこまか地表を歩き回る自分こそなんと小さな存在か、と、苦笑いしてしまいます。

 

 

じめんのうえと じめんのした
(アーマ E.ウェバー・著/福音館書店)
著者であるアーマ・E・ウェバーは植物学者。自ら手がけるイラストレーションも無駄なく美しい。世界を構成する繋がりとバランスに改めて気づかされる一冊

 

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの11 年目。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に「山でお泊まり手帳」(小社刊)

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PROFILE

ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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