「虫から平地林を守る」子どもと一緒に山のおそうじ|親子でアウトドア
山﨑理恵
- 2022年04月22日
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木漏れ日の中を歩くのはとても気持ちがいいものです。
身近にあるこの気持ちいい道は、里山や平地林にあり、それは長い間、人々が少しずつ整備をしながら、生活に活用しながら、維持されてきた場所です。
ランドネやまさきが「山のおそうじ」で関わっている平地林もそのひとつ。その平地林にある数本の木の幹に虫が卵を産みました。
その虫が原因で平地林が荒れてしまう前に、虫を死滅させて平地林を守ります。
キクイムシを死滅させる
今回はキクイムシがコナラの幹に卵を産みました。キクイムシは幹の中でふ化し、樹液を吸いながら成長して、暖かくなる季節に成虫となります。
キクイムシが媒介者となり、ナラ菌が樹木の中に持ち込まれて広がると、樹木内の水の通り道がジャマされ、樹木内に水が充分に運ばれず、コナラは枯れてしまいます。
成虫となったキクイムシがまた元気のいいコナラに卵を生み、成虫となり、コナラが枯れしていくという連鎖を止めるためにキクイムシが成虫になる前に死滅させます。
ここでは2つの方法をとりました。
①再生不可能なコナラは、伐採して薪を作り、薪を作る過程にある乾燥によってキクイムシの幼虫を死滅させる。
②再生可能なコナラは手当をして、元気なコナラに戻す。
ナラ枯れした木で薪を作る
再生できないほどキクイムシに食われてしまったコナラをチェーンソーで伐採します。チェーンソーを使用する作業は、チェーンソーに関する安全衛生特別教育を受けた人が行います。
枝を落として、玉切りと言われるチェーンソーで幹を適当な大きさに揃える作業が終了したら、ここから子どもたちも大人たちもみんなで作業します!
ハンマーで叩いて薪を作るタイプの器具は少しコツがいります。
子どもたちはエンジン付きの薪割り機がいちばんよかったよう。薪割り機械にセットして、レバーを下ろすとバキバキと大きな音をたてながら薪ができます。薪の産声ですね。「はい、次!」と「はい、次!」とどんどん薪ができていました。
大人たちはオノで薪を作ります。使いやすいオノと使いにくいオノは人それぞれ。作業をしているうちに自分に合ったオノがほしくなっていました。ふだん動かさない筋肉を使うせいか、次の日は筋肉痛になりました。
再生可能なコナラの手当をする
産みつけられた卵の数によっては死なないコナラもあります。手当てをすれば来シーズンも生きられるコナラには、幼虫がいる穴につまようじを刺して、幼虫を窒息させます。
こんなに幼虫がいても生きられるの!?木の生命力って本当にスゴいです!!
「ムシがきもちわるい~!」と逃げだし、木くずと木の実で木のカレー&葉っぱのサラダでランチプレートを制作する6歳
一本の木を切って薪を作るって大変!
ひたすら薪作りの作業をし、これから1年くらい干すと薪として使用できます。1本の木を薪の形にするまで大人5人と子ども2人で3~3.5時間×2日かかり、使用するまでに1年乾燥します。
オノで薪を作る作業もつまようじで穴を塞ぐ作業も、すごく集中して行っていました。日常では無心になれることがあまりないので、その無心になっている状態が心地よくて、時間が経つのもあっという間。終了後は頭も体もスッキリするという不思議な感じでした。でも振り返ると大変な作業です。
来年、わが家はキャンプやバーベキューでこの薪を使います。今年のキャンプやバーベキューよりも思い出深い日になりそうです。
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