家族を誘って、潮干狩り。翌朝はプリプリで濃厚なアサリを酒蒸しで【登山ガイド・渡辺佐智の“やまのさち”】
ランドネ 編集部
- 2022年06月27日
こんにちは!“やまのさち”という連載を書いている登山ガイドの渡辺佐智です。山菜やきのこ、魚釣りなど、山の恵みで育った幸をその季節にいただいて、「おいしいなあ」とつぶやいています。
野外で採るものは、時期が少しずれると熟れすぎてしまったり、生きものたちに先を越されたり(もともと彼らの食べる分)、そもそも出てこない年もあったりして、行ってみてガックリ、なんてことも。「あれにしよう!」と計画してから食べるまでに時間がかかるので、たまに面倒くさくなったりもします。それでも、自分でとった食べ物を口に入れると、なんというか、体の奥から力が湧いてくるのです。細胞の中のDNAに反応して、私のミトコンドリアたちがみんなで「わあ~!」と喜ぶのです。おそらく…。そんなわけで、次は何を採ってみようかな、とその時々に膨らんだファンタジー(をリアルに食べたもの)について皆さまに読んでいただき、そのおかげで第49回と相成りました。
今回のテーマは「千葉県富津市のアサリ」。入場料を払って、潮干狩り場に行ってきました。人の手で撒かれた貝を拾ってどうする、うんぬんは本誌にありますので、ここでは、行楽のレポートをお送りします。
家族を誘って、潮干狩り
3年ぶりの千葉県へ訪れた。家から向かうとアクアラインを通るので、別の島へ上陸する感がある。海上を走る橋の上から、正面に陸地が広がってくると、車内にいた家族全員の高揚感が伝わってきた。午後の開場(※潮に合わせて変動する、この日は4月23日)の時間にあわせて発ってきたので、空気はあたたまり日差しも申し分ない。
▲富津市海岸の潮干狩り場、入場ゲート
12時スタートだったこの日。混みあう駐車場に車を押し込み、いざ参戦。入場料を払い、入口で網袋を受け取る。大人は2キロ、子どもは1キロの持ち帰りができる。
▲テントを張ってデイキャンプをたのしむ
入場すると、バーベキューの匂いが潮の香りにのってきた。子供のころの海の思い出が蘇る。遊び疲れてレジャーシートに座り、心地よい疲労感とともにぼーっと波を眺めながら、おにぎりを食べたこと。そういえば、私の頃は写真のようなサンシェードテントではなくて、ビーチパラソルだった。
▲遠浅の沖合で潮干狩りを楽しむ人々
混んでいる入口を抜け、奥へどんどん進む。人が少ない場所を探し、ずんずん進むとまばらになってきた。万が一のために、最終集合の時間をきめておこうと家族にはなしたら、電話すればいいじゃん、と言われた。そか、山じゃないもんね。
潮干狩り、はじめ!
▲海をのぞいて、井戸端会議(左下の3人)
それぞれが持っている潮干狩り知識を出し合い、どうすれば採れるのか検証中。まずは、アサリの呼吸孔を探そう。
▲呼吸孔、誰のかな?
アサリのものと思いたい呼吸孔。掘り返してみてもアサリが出てこないこともある。いろんな生き物が干潟には住んでいるのだろう。呼吸孔が多いエリアと呼吸孔がないエリアがあるようだ。
▲忍者熊手。たしかに忍者が使いそう
大人になってから潮干狩りをした記憶はないのに、なぜか、忍者熊手が2つもうちにあった。だんだん、昔の思い出が遠くなっていて、行ったことのないはずの山を歩きはじめてしばらくたった後「あ、登ったことあるな」と思い出すのと同じで、そのうち記憶がよみがえるかもしれない。
▲徐々にコツをつかむ大人たちと姪
しばらく散開して各自いそしんだ後、再集合すると、母の袋が私の倍以上膨らんでいる。どうやってそんなに採れたのかポイントを聞くが、そんなに特別なことはしてないようだ。私より獲れているのが意外で驚く。やはり年の功か。
▲泥遊びって楽しいよね
最初は忍者熊手で掘っていたが、そのうち素手になった。砂の中に手を入れて、アサリの感触があったら、そのままつかむ方が早くなっていく。手は万能だ。
いろとりどりの貝殻と、カニも発見
一つとして同じものはない柄で、模様を眺めるのも楽しい。姪っ子さんは、きれいな貝殻を集めていた。子供のころ、ビーチコーミング(なんて、おしゃれな名前はありませんでした)でガラスの破片や貝殻を集めるのが楽しかったなぁ。ちなみに、どこから連れてこられた貝たちなのかは、聞かなかった(あえて)。
▲マメコブシガニ
ん、水中をアサリが歩いている、(そんなはずはないのだが)と拾ってみたら、カニだった。甲羅が丸く盛り上がり、見たことのないカニの形。前向きに歩くところも変わっている。
▲陽光の反射する水面
冷たくもなくぬるくもない気持ちの良い水温に足をつけて、あっちを掘り、こっちを掘り、時間が過ぎていく。いわゆる“家族レジャー”をしたのはいつ振りだろうか。海、いいですね。
2kgの袋が満杯に
それぞれ満杯になった袋をもち、満足して富津を後にした。軽いアクアライン渋滞にまきこまれながらも、車内は無言の充足感だ。来年も行きたいね、と母が言うので嬉しくなった。
持っていって役立った道具
左から、クーラーボックス:持ち運び用、赤い玉ねぎネット:分配用、緑のかご:海でのもの置きと道具をまとめる、水タンク(10L):アサリの砂抜き用海水の持ち運び用。海水は入口横でもらえる。もう一つ持っていけばよかった。
潮干狩りの翌朝は
▲水管をのばすアサリ
海水につけておいたアサリの翌朝の姿。長い水管は5cm以上と懸命に生きようとする姿に、ほろり。食べるのが哀れになるね、と言いながら、食べる分をとりだして、ゴシゴシ洗う。
▲翌朝の朝ごはん
朝から酒蒸し。新鮮なアサリってこんなに美味しかったっけ。と言いながらせっせと口に運ぶ。小葱とあえてもよかったが、一押しはパクチー。好きな方はお試しあれ。
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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