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高山植物(山の花好き)ライター・成清 陽の「ヤマノハナ手帖」#13 ヒヨドリバナ

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

ジメジメした7月がやっとこ過ぎてホッとしたのも束の間、8月に入ったら、今度は台風!列島の部屋干し臭に耐えかねた奥さまの嗅覚が、そして日頃のストレス発散をと登山計画を練っていたハイカーのガマンが臨界点に達しているのではとお察しします。そんな折にあえてテーマに掲げたい山の花といえば、「ヒヨドリバナ」。なにせ、花言葉が「清楚・期待」、そして“延期”。ハイカーに敵視されそうな気配いっぱいではありますが、この花がもつ魅力を知ったら、きっとアナタのココロはスコーンと晴れ模様。まあ、みなさんからすると、リアルに晴れるほうが大事でしょうが……。

トリの名前、いただき!

Data
ヒヨドリバナ(キク科)
一般的な花期:7~8月
主な生育場所:平地~亜高山の草地・湿地

「ピヨピヨ、ギャーギャーされて、眠れな~い!」。都心のトリ「ヒヨドリ」をめぐって、こんな声が渦巻いているそうです。「ヒヨドリ」をググれば出るわ、出るわ。「ヒヨドリ うるさい 対策」はまだまだ、手厳しいものがズラリ。しかし、そんな暗躍するトリの名前をそのまんまいただいちゃった花があるんです!その名は、“ヒヨドリバナ”(まんまやん!)。「ヒヨドリが鳴くころに咲くから」と言いますが、個人的には「フワフワの花が、ヒヨドリのボサボサ頭みたいだから」という説のほうが、しっくりくるけどなぁ……。

花トークに入る前から、脱線します。

ということで、ヒヨドリさんの名誉のためにも、ご紹介をば。この鳥、花を食べるほか、蜜やミカンが大好き!つまり、かなりの甘党のよう。で、何よりおもしろいのが、その名前。平安時代にはすでに「比衣土里」(ひいどり)と呼ばれていたそうで、「ヒーヒー」と鳴く声が名前の由来なんだとか。命名者の発想力とどシンプルぶりに、ド肝を抜かれます(ヒヨドリバナも負けてませんが)!!

森ガールっぽい❝Hanabi Flower❞

ついつい、ヒヨドリについてもっと熱~く語りたくなるところですが、この連載のテーマは残念ながら高山植物。泣く泣く?本題に戻りましょうか。「ヒヨドリバナ」ファミリーはいくつか種類があり、平地~低山の森には「ヒヨドリバナ」、山地~亜高山に「サワヒヨドリ」(トップ画)、「ヨツバヒヨドリ」などがあります。その特色は、やっぱり花火のようなツボミと花!開花するとほわほわの森ガール(死語)っぽくてキュートだし、花の周辺がにぎやかなんですよ。

あの超有名キャラと相性◎

ヒヨドリバナファミリーは、じつは昆虫ととってもなかよしです。とくに仲良しなのが、渡り鳥ならぬ「渡りチョウ」で、全国調査が行われたこともあるメジャーキャラ「アサギマダラ」。ヨツバヒヨドリの大大大ファンでもあるアサギマダラは、とくにヒヨドリバナ一族を偏愛中。清楚な花周辺の美しいにぎやかさ、「騒々しい」と一蹴されてしまう本家・ヒヨドリにも少し分けてあげたくなる?

天皇家も騒がせました

とくに平地~低山のヒヨドリバナを見ていると、ある法則に気づきます。それは……「葉っぱが妙に黄色くなりやすい」ということ。今ではこれが、ウイルスの感染によるものと判明していますが、かの有名な聖武天皇の娘・孝謙天皇は‶沢蘭(さわあららぎ)の黃葉(もみぢ)”として歌(しかも万葉集に掲載)に詠んだとか。これ、現代ならワイドショーものでしょう!まあ、騒いだかもしれないのは、1000年以上前の天皇家ですけどね……。

そして、大トリは……

最後にご紹介するのは、このワンシーンです。こちら、くまモン並みにほっぺが赤い、山地の草原をなわばりとするトリ「ホオアカ」を撮影した一枚。ホオアカがとまったヨツバヒヨドリ、ふと見ると茎がどストレートなんですね。ひょっとすると、山地にいるヒヨドリバナファミリーは、強風に耐えるために茎を強靭にしている……のかもしれません。ホオアカもそれを知っているのでしょうね~いや、感心感心。

……え?そんなこと、別にどーでもいいって?そんなことはありません。トリに始まるなら、やっぱり“大トリ”もトリじゃないと。ハイ、お後がよろしいようで(三つ指ついて、ペコリ)。

さて、今回ご紹介してきたヒヨドリバナ。いかがでしたか?ヒヨドリバナ一族は高山植物図鑑からはことごとくはじかれており、「高山植物認定」を受けていない花のひとつ。でも、尾瀬や霧ヶ峰など名だたる山に生えているので、ぜひ注目してほしいのです。そして、ヒヨドリバナ一族がいる湿原には、必ず野鳥の姿あり!かわいらしいトリたちも、お楽しみくださいね~!……と、今回は最後までトリのおハナシ。危うく、「ヤマノトリ手帖」になるところでした(笑)。

それでは、また。皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。

花ライター/会社員 成清 陽
大学時代から山を渡り歩いていた個性派キャラ。卒業後も、好奇心の赴くままに職を転々とし、自然ガイド、環境コンサル、ホテルマン、雑誌編集者、市営公園管理人を経て、現在は森づくり事業を担う会社員。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。花が美しい山しか好きになれない、アルティメットな病なんです~!(笑)

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PROFILE

ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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