全国でも珍しい、ふたつに分かれた富士塚へ|富士山とおなじご利益あり!全国の富士塚に登る【#13 西大久保富士】
小林知之
- 2023年10月28日
登れば本物の富士山を登ったときとおなじご利益があるとも言われている富士塚に、地図好き芸人・小林知之さんが参拝。みなさんの抱える悩みやモヤモヤを、山の頂に届けてくれます!
ふたつに分かれた、全国でも珍しい富士塚
「置かれた場所で咲きなさい」。近所のお祭りのポスターでこの言葉を目にしたときにはドキッとしました。これは、修道女・渡辺和子さんの著書のタイトルで、周りの環境をいい訳にしないで、いまできる努力を一生懸命にしなさいという意味が込められています。でも何もそれをお祭りのポスターに書かなくても、と思っていました。でもこれって「練馬という小さな町の祭りだけど、その環境で思い切り楽しみなさい」ということなのか?とも思いました。真相はわかりませんが、この言葉にドキッとした地元民も多かったと思います。今回はこの言葉にきっとドキッとしてしまう悩みのお便りです。
【お便りいただいたY恵さんのお悩み】
「人の嫌なところばかりに目がいってしまいます。最近、山を歩いたり自然にふれたりしていないからでしょうか……」
「西大久保富士」で悩みを成就
今回は、都営大江戸線・東新宿駅から歩いて5分、JR新宿駅からも10分ほどの、稲荷鬼王神社境内にある西大久保富士に悩みを聞いてもらおうと思います。
修羅の街・歌舞伎町の北端に位置する稲荷鬼王神社。「鬼王(きおう)」という珍しい名前。それもそのはず、なんと全国で唯一「鬼王権現」を祀る神社で、鬼を悪者としていません。そのため、節分も「鬼は内、福は内」と言って豆をまくそうです。
そんな稲荷鬼王神社内にあるのが西大久保富士。大人の背丈ほどの高さで登ることはできませんが、そこは拝めば富士信仰。登らずとも富士山のご利益がいただける富士塚です。そんな西大久保富士からY恵さんへのアドバイス
「嫌なところも含めて人、そこも受け止めなさい」
西大久保富士はとても珍しく、参道を挟んで1~4合目の富士塚と、5~9合目と山頂がある富士塚のふたつに分かれています。しかし、もとからふたつあったわけではありません。1930年に作られたときは、ひとつの大きな富士塚でしたが、1968年に社殿を再建するときにふたつに分断されてしまったそう。
そんなことがあっていいのかわかりませんが、実際にそれ以降はふたつの富士塚でやってきているのです。なんならその部分を活かして「参道を挟んでふたつに分かれた形になることによって、参道そのものが富士の胎内に通ずる道となっております」と説明板に書いてあるのです。決してプラスではない出来事を受け止めて、堂々としているのです。
富士塚好きな人も、ふたつに分かれていることに違和感を感じながらも、それも個性と受け止めて、西大久保富士に参拝しにやってきます。強烈な個性を持った西大久保富士、ぜひぜひ登ってみてください。
プロフィール/小林知之
太田プロダクション所属の芸人。芸人といいながら日本大学地理学科で学んだ地理好きスキルを使って、地図会社で働いたり、国土地理院で地図の講習をしたり、国旗の本を出したりと、謎のWワークをする二児の父。芸人としては竜兵会所属、コント中心のおもに「つっこみ」と呼ばれる役割を担っている。
Instagram:@cobayashitomo
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PROFILE
太田プロダクション所属。芸人といいながら、日本大学地理学科で学んだ地理好きスキルを使って、地図会社で働いたり、国土地理院で地図の講習をしたり、国旗の本を出したりと、謎のWワークをする二児の父。芸人としては竜兵会所属、コント中心のおもに「つっこみ」と呼ばれる役割を担っている。