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離島に渡り、この国とここで暮す人の豊かさを知る|南太平洋に浮かぶ島・ニューカレドニアの海と山を歩く#2

世界地図を広げると、日本のずっと南、オーストラリア大陸の東側に小さな縦長の島を見つけることができる。四国とほぼおなじ面積のその島は、海も山も町も魅力的な、アウトドアフィールドだった。

豊かな水の湧き出る山でランドネを満喫!|南太平洋に浮かぶ島・ニューカレドニアの海と山を歩く#1

離島に渡り、この国とここで暮す人の豊かさを知る/Ile Ouvea(ウベア島)

環礁が隆起してできたこの島には、山はなく、空から見るとまっ平ら。真っ白な砂浜と独特な地形が、アウトドア好きの心をくすぐり続ける。

旅をしたのは
安仁屋円香(左)
ランドネ編集部員。海も好きな山派。海外経験は今回で4カ国目。山ばかり歩いてきたため、ビーチリゾートは初。水着の準備なし。

田中沙季(右)
ランドネ営業担当。山も好きな海派。留学経験があり語学堪能、海外旅行も大好き。いつでも海に入れるよう、水着の準備は万端!

美しい風景が私たちに伝えること

旅の終盤、ヌメアから離島に渡るため、国内線の飛行機に乗り込んだ。目的地はウベア島。本島よりもさらに小さく、人口は約4000人。島の空港に到着すると、「こんにちは」と声が聞こえる。この島で現地ガイドをする岩本雅子さんが、すてきな笑顔で出迎えてくれたのだ。

バスに乗り込み、島内をぐるりと案内してもらう道中、島内には18の村があり、教会や寺院、お墓、幼稚園、酋長の家がそれぞれに存在すること。ここで暮らす人たちの生業は、観光業や漁業、そのほか自給自足をしている人たちが多いことを教えてもらった。そして雅子さんが住むのは、先住民カナックの伝統的家屋カーズ。驚く私たちに「住み心地はとてもいいんです」と笑顔で返してくれる。

▲ハイキングツアーでのみ、神聖な海を渡り、レキンの断崖に近づくことができる(2,500CFPほど※2023年9月価格)。
▲マングローブの植樹をしに来た、地元の子どもたち。

停車したバスを降りると、真っ白な砂浜と海を隔てた先にそそり立つ岸壁が姿を現す。「レキンの断崖」と呼ばれるその壁は、島全体同様、環礁が隆起したもので、高さはおよそ30m。そこには、かつて人々が祈りを捧げていた洞窟までの道が続いているが、ツアー以外での立ち入りは禁止。手前の海に入ることすらも禁じられている。島内には、このように人が立ち入ることや、指をさすことすらもできない神聖な海や石などが点在しているという。歴史や伝統を守り続けることは、そう簡単なことではない。それはきっと美しい自然を守ることもおなじはず。

▲ビーチリゾートホテル「パラディ・ド・ウベア」。目の前のビーチや、歩いて15分ほどのムリ橋の下でシュノーケルをするもよし。

ウベア島に来て、いままでに出会ったことのないほどの青い海を見た。ムリ橋の上から見るその海の中には、優雅に泳ぐウミガメの姿もある。そこでシュノーケルをする人たちを見て、この旅に水着を持参しなかったことを初めて悔やんだ。長年ここで暮らす雅子さんも、「いつ見てもウベアの海はきれいだと思う」と話す。

「パラディ・ド・ウベア」からつながる砂浜に出て、靴を脱ぎ、海の中を歩いてみる。春先の海は足を入れるとちょうどいい温度。透明度の高い水の中には、ときおり小さな魚の姿も見える。ヒザの下まで海に浸かりながら、砂浜を歩いていると、足の裏から伝わる柔らかな砂の感触。これは〝海歩き〞でしか味わえない楽しみだ。

▲34ある客室は、ビーチに隣接するバンガロータイプ(デラックスラゴン42,700CFP※2023年9月価格)。
▲お腹が空いたら風通しのよいレストランで、ロブスターやマグロを使った料理を味わえる(食事は要予約)。

この島のよさを雅子さんに尋ねると、「時間の流れがゆっくりとしていて、島の人はみなおおらか」だと答えてくれた。

水道設備の整っていないウべアの人たちの暮らしでは、雨水を貯めて使っているという。雅子さんの住むカーズには、いまトイレがないそうだ。屋根は5年に1回、ココナッツの葉を編んで張り替えている。お風呂がないぶん、子どもたちは朝から海に入ることもあるのだという。一見、不自由にも感じる島での暮らしは、都会では決して知ることのできない、幸福感に包まれた時間のなかにある。バスに乗っていると、すれ違う島の人たちが手を挙げたり、指でグッドをしながらあいさつをしている姿が印象的だった。

「天国に一番近い」といわれるニューカレドニア。天国とは、人間の想像するなかの最上級の幸せを意味しているのだろうか。または、いつかたどり着きたいところだろうか。その場所は意外に、日本からそれほど遠くないところにあるのかもしれない。

▲ウベア島へのアクセスは、ヌメアにあるマジェンタ空港から国内線エール・カレドニーで約40分。フェリーもあり。ウベア島内に公共交通機関はなく、送迎は宿泊先にお願いするのがおすすめ。

【旅に役立つmemo】頼れる日本人ガイドに気軽に旅の相談を!

ホテルのスタッフとして働く日本人ガイドの岩本雅子さんは、ウベア島で暮らして17年。島内はおもにフランス語と現地の言葉が使用されるため、旅のコーディネートや予約等をお任せすると心強い。

【ランドネおすすめ】ニューカレドニアでのアウトドア旅を充実させる3つのポイント

今回の旅で見つけたニューカレドニアのお土産や、山好きにおすすめしたい立ち寄りスポット、首都ヌメアについてなど、ここで紹介!

旅の拠点は、ショップや情報が集まる首都ヌメアへ

▲ウェントロの丘のそばに立つ「シャトーロワイヤル・ビーチリゾート&スパ」。空港からの乗合送迎バスあり。

ラ・トントゥータ国際空港からは車で約1時間。島の南部に位置するヌメアは、リゾートホテルやショッピングモールなどが集まり、アウトドアアクティビティを楽しむための道具や食材を調達するにも便利な町だ。ヨットハーバーが停泊する湾を見下ろすモン・ヴェニュスからの風景は、南フランスに似ているといわれるビュースポット。そのほか、地元の人が食材を求め集まるマルシェや、ニューカレドニアならではの食事を味わえるレストランやバー、地元の人にもいま人気のカフェなども多数あるため、滞在中は飽きることなく町歩きも楽しめるはず!

▲地元の人たちがよく食べる「天使の海老」や魚のほか、野菜やココナッツ、雑貨などがずらりと並ぶマルシェ。週末に向けて各家庭でごちそうを作る金曜日は、とくに賑わう。

▲アンスバタビーチ付近にはショップが多く立ち並び、なかでもパリ発イタリアンジェラート「アモリーノ」は人気店。

少し足を延ばしてでも訪れたい、マウンテンビューのレストラン

ヌメア市街から車で約1時間30分ほどに位置するラフォアにある「ラ・テーブル・ド・バニアン」。自然に囲まれ、涼しい風を感じられる開放的なインナーテラスの席でいただけるのは、地元で獲れるマングローブガニのキッシュや4 時間煮込んだ豚のビールはちみつ煮などのランチコース(4,500CFP※2023年9月価格)。併設するバンガローに滞在することも可能(完全予約制)。

▲お店をひとりで切り盛りするアニックさん。世界を渡り歩きながら、その土地の料理のテクニックやアイデアを習得し、オリジナルメニューを考案。

地元スーパーや土産物店で見つける、ニューカレドニアのお土産

▲ヌメアの土産物店「アクア」で見つけた、ニューカレードニアの魅力が描かれたイラスト地図。

ニューカレドニア産の土産物をセレクトしたお店は、ヌメア市街にいくつも点在し、なかには現地在住の日本人が営む場所も。また、大型スーパー「カジノ」やショッピングセンターなどで、地元の人が愛用する日常品や調味料などを見つけるのも楽しい。どのお店もショップバッグは持参が基本。各ショップがオリジナルで販売するバッグの中からお気に入りを探して、お土産にしても◎。

▲ブルパリにある蒸留所で作られた、レモンユーカリの虫よけ。
▲手のひらサイズのココナッツで使られた、カナック伝統的家屋「カーズ」。
▲カーズが目印のリフー島のハチミツ。生産地域ごとに味わいも変化。
▲パッケージがかわいい、フランス産のマロンクリームは仕事仲間へ配るお土産として。

取材協力◎
ニューカレドニア観光局
www.newcaledonia.travel/ja
エアカラン
www.aircalin.jp 

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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