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【山ノ鼻エリア】ブナの原生林が美しい、鳩待峠から山ノ鼻の森歩き|尾瀬ガイドが解説

尾瀬の玄関口のひとつ鳩待峠から、尾瀬ヶ原の西に位置する山ノ鼻へ。水の音を聞きながらブナやカラマツの巨木に出合う、森歩きの時間を楽しもう。

原生林と風景と湿原を潤す“水の旅”

標高1591mの鳩待峠から標高約1410mの山ノ鼻へ。川上川沿いのルートは、豊かな森に包まれている。序盤の急な下りを過ぎると傾斜は少しずつ緩やかになり、穏やかで気持ちのいい樹林帯歩きの時間が続く。

「湿原のイメージが強い尾瀬ですが、豊かな原生林が守られていることも尾瀬の魅力のひとつ。これほど大きなブナやカラマツが残された風景は、『日本の自然保護運動発祥の地』と言われる尾瀬ならではだと思います。森の暮らす生き物たちの気配も濃くて、人が少ない日にはオコジョが姿を現すこともあるんですよ」とガイドの渡辺佐智さん。中央分水嶺の鳩待峠から始まった水の流れを感じられることも、このルートのおもしろさだという。

「鳩待峠や至仏山からの水を集めた川上川は、森を通って尾瀬ヶ原へと流れていく、そんな“水の旅”を感じられるのも、このルートの楽しさです。豪雪と豊かな水の恵みは湿原を形成するための重要な要素のひとつ。水の流れとともに森を抜けて、眼の前に湿原が開けたときには、いつも『わぁっ』という感動が味わえます」と佐智さん。

POINT1:水の境界線、中央分水嶺

ルートの起点となる鳩待峠は、太平洋側と日本海側を分ける中央分水嶺に位置。鳩待峠から山ノ鼻へと下るルートの左手には、いくつもの沢の水を集めて尾瀬ヶ原へと流れる川上川があり、その水はやがて日本海へと注ぐ。鳩待峠は、尾瀬から日本海へと続く“水の旅”の始まりの地のひとつだ。

POINT2:森の世代交代を物語る倒木更新

手つかずの自然が守られてきた尾瀬の森では、多くの倒木更新を見ることができる。倒木更新とは、倒れた枯木の上に新たな世代の木が育つこと。木が倒れた場所に光が差し込み、朽ちた木が養分になって新しい植物が芽生える……。そんな森の世代交代を物語る風景だ。

POINT3:豪雪地帯ならではの根曲がりのブナ

例年3~4mもの雪が積もる尾瀬は、日本有数の豪雪地帯。鳩待峠~山ノ鼻の森を歩くとの重みによって幹が曲がったブナを見ることができる。半年以上にわたって大地を覆う雪は低温から植物を守る役割を果たし、雪解け水は尾瀬の自然を支える貴重な資源となる。

POINT4:新緑や紅葉など季節ごとの美しさを楽しめる

ブナやカラマツ、ダケカンバ、シラカバなど、多様な木々が葉を広げる山ノ鼻エリアの森では、新緑や紅葉など季節ごとの美しい風景を楽しめる。雪解けの時期を迎える6月ごろから10月半ばまでの半年間に、四季の移り変わりがぎゅっと凝縮されているため、訪れる時期を少し変えるだけで異なる森の表情に出合えることも、特徴のひとつだ。

コース

雨の日や霜が降りたあとの木道は滑りやすいので注意。時間に余裕があれば山ノ鼻に隣接する「研究見本園」にも足を伸ばしてみるのがおすすめ

計1時間

鳩待峠→1時間→山ノ鼻

案内してくれたのは

渡辺佐智さん
1976年生まれ。尾瀬保護財団認定登山ガイド。2006年に尾瀬エリアのアシスタントガイドとして尾瀬の案内をスタート。現在は日本各地の山をフィールドに活躍している。

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PROFILE

Mountain Trip OZE

Mountain Trip OZE

2007年に日光国立公園から分割し、国立公園に指定された尾瀬国立公園。本州最大の高層湿原「尾瀬ヶ原」や標高1,650mにある「尾瀬沼」、日本百名山にも選定される「至仏山(しぶつさん)」「燧ヶ岳(ひうちがたけ)」「会津駒ケ岳」など、何度も訪れたくなる見どころにあふれる場所をご紹介します。

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