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【見晴エリア】本州最大の高層湿原、尾瀬ヶ原|尾瀬ガイドが解説

東西約6㎞、南北約2㎞にわたって美しい湿原が広がる尾瀬ヶ原。ここにしかない景色と雄大な自然の営みを体感するハイキングへ。

悠久の時の流れが育む高層湿原の美しさ

本州最大の高層湿原である尾瀬ヶ原は、尾瀬の核心部ともいうべき場所。燧ヶ岳の噴火で流れ出た溶岩が沼尻川を堰き止めたことが、この湿原を生み出すきっかけだと考えられている。

「雪が多く冷涼な環境の尾瀬では、湿原の植物が枯れても分解されずに積み重なり、泥炭層を形成します。この泥炭層が厚く堆積して凸レンズのように盛り上がり周辺の水位より高いのが高層湿原の特徴。尾瀬ヶ原の中央部では泥炭層の厚みがおよそ5mほどありますが、じつは1年間で積み重なる泥炭層は0.7〜0.8㎜と推定されています。いま目の前にある広大な湿原は、数千年の歳月をかけて生まれたものです」と渡辺佐智さん。

群馬県側の山ノ鼻から牛首分岐を経て、福島県との県境近くにある竜宮十字路へ。湿原の木道を歩いていると、ゆっくりと風景は移り変わっていく。「自分の足で歩くからこそ、尾瀬の自然の大きさがわかりますよね」と佐智さんは微笑む。

極力人の手を加えることなく“ありのまま”の自然の姿が残された尾瀬の風景は、人間のスケールを超えて紡がれてきた大地の営みを物語っている。

▲訪れるたびによってさまざまな表情を見せてくれる尾瀬ヶ原。スゲなどの植物に霜が降りる晩秋の早朝もひときわ美しい時期のひとつ。

POINT1:海底の隆起によって生まれた至仏山

2000m級の山々に囲まれた盆地に広がる尾瀬ヶ原。湿原に設けられた木道を歩いていると至仏山の独特な山容に気づく。地層の隆起によって形成された至仏山は、尾瀬最古の山。植物が育ちにくい蛇紋岩が分布することから、ほかの山々よりも森林限界が低い。そのため、山の中腹から上はハイマツ帯や草原、山肌などが露出していることがわかるのだ。

POINT2:火山の噴火によって生まれた燧ヶ岳

尾瀬ヶ原の東に位置する燧ヶ岳は標高2356mを誇る東北最高峰の成層火山。約35万年前の火山の噴火によって生まれた、尾瀬で最も新しい山だ。頂上には、最高峰の俎嵓、柴安嵓、ミノブチ岳、赤ナグレ岳、御池岳の5つの峰が並んでいる。山麓には日本有数のブナの原生林が広がっており、山の上部の2200m付近まで森林が広がっている。

POINT3:美しい池塘が多く点在する群馬側の湿原

ひと言で尾瀬ヶ原といっても、群馬県側と福島県側では表情が異なる。池塘(湿原の泥炭層にできる池)が数多く点在し、変化に富んだ風景を楽しめることが、群馬県側の特徴のひとつだ。大小さまざまな池塘はモリアオガエルやアカハライモリなど水辺に生きる多様な生き物を育むゆりかごとなっている。

▲池塘のなかに“浮島”がある場所も。池塘の縁が切り離されたり、水辺の泥炭層が剥がれたりして浮かび上がることで“浮島”になるのだという。

POINT4:草原のような風景が広がる福島側の湿原

尾瀬ヶ原の福島県側に入ると、木道から見られる景色は池塘が少なくなり、すっきりとしてくる。スゲの仲間などが大地を覆うように広がり、草原のような風景を楽しめる。一見、単調に見えるその見晴らしこそ、長い時間をかけて高層湿原化が進んでいている証。足を止めて、その場所がつくられた年月を感じてみて。

美景と不思議に出合う、湿原散歩の時間

「高山植物が芽吹き始める春から、じつは人が少なくて静かな夏をすぎて、草紅葉の広がる秋へ。1年の半分ほどが雪に覆われる尾瀬は、季節の移ろいがとても早いんです。訪れる時期が1週間変われば、目の前の風景も変わるから、何度訪れても新鮮な驚きがあります」

そう話す佐智さんといっしょに尾瀬ヶ原を進んでいくと、木道沿いにいくつもの見どころが現れる。至仏山を水面に映す大きな池塘、山から流れる川に沿って木々が連なる拠水林、川の水が湿原のなかに吸い込まれていく竜宮現象……。それぞれの地形の成り立ちを教えてもらいながら歩いていると、湿原の風景の美しさや不思議さが、より鮮明になっていく。

「訪れる時間帯によってさまざまな表情を見せてくれることも、尾瀬ヶ原の魅力です。夕日に照らされて金色に輝く湿原、山の上に輝く満天の星、湿原が朝霧に包まれる早朝など、山小屋に泊まるからこそ出合える風景もたくさんあるので、できれば時間に余裕をもって訪れてほしいですね」と佐智さん。

長い時間の流れが生み出した湿原に訪れる、“いま”という美しい瞬間に出合えることが、尾瀬の大きな魅力なのだ。

POINT5:鏡のように風景を映す池塘

尾瀬ヶ原には大小1800もの池塘があるといわれていて、一つひとつ形や水の深さが異なっている。風のない日に大きな池塘を訪れると、鏡のような水面に周囲の景色が映り込んでいて、なかには、「逆さ至仏山」や「逆さ燧ヶ岳」を楽しめるポイントもある。ヒツジグサやオゼコウホウネなど、季節ごとに変化する植物の表情を眺めるのも楽しい。

POINT6:拠水林は湿原のオアシス⁉

高い木が育ちにくい湿原だが、山からの養分や土砂が流れ込む川沿いには“拠水林”と呼ばれる帯状の林が形成されている。拠水林のない場所にシラカバなどが育つ“孤立林”もところどころに分布。

POINT7:竜宮城への入り口?竜宮現象

竜宮十字路の近くで見られる竜宮現象は、数ヶ所から水が流れ込んでいるのにあふれることのない不思議な場所。じつはこの水はいったん湿原に吸い込まれ、木道を挟んだ反対側の湿原に湧き出している。かつて「水の行先が竜宮城につながっているのでは?」とウワサされたことから名付けられたという。

POINT8:日本海へと続く水の回廊

尾瀬沼の西端から流れ出し、竜宮十字路の近くなどで豊かな拠水林を形成する沼尻川。この川は、湿原を北東に流れるヨッピ川と合流して只見川となり、奥只見湖を経てやがて日本海に注ぐ水の回廊の一部だ。

コース

湿原内はアップダウンがなく木道が整備されているため歩きやすいが、雨や霜がつくと滑るので要注意。木道は原則的に右側通行だ。

計1時間25分

山ノ鼻→45分→牛首分岐→40分→龍宮十字路

案内してくれたのは

渡辺佐智さん
1976年生まれ。尾瀬保護財団認定登山ガイド。2006年に尾瀬エリアのアシスタントガイドとして尾瀬の案内をスタート。現在は日本各地の山をフィールドに活躍している。

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PROFILE

Mountain Trip OZE

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2007年に日光国立公園から分割し、国立公園に指定された尾瀬国立公園。本州最大の高層湿原「尾瀬ヶ原」や標高1,650mにある「尾瀬沼」、日本百名山にも選定される「至仏山(しぶつさん)」「燧ヶ岳(ひうちがたけ)」「会津駒ケ岳」など、何度も訪れたくなる見どころにあふれる場所をご紹介します。

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