山のそばでものづくりVol.19「Yuri Iwamoto」岩本悠里さん
ランドネ 編集部
- 2024年10月15日
山のそばに拠点を置き、山の恩恵を受けながらものづくりをする人々に注目する本連載。今回は、ガラス作家の岩本悠里さんにお話を伺いました。
夏は山小屋で働き、秋から春はものづくり
「Yuri Iwamoto」岩本悠里さん
埼玉県出身。武蔵野美術大学在学中にフィンランド・ヘルシンキへの留学を経験。帰国後、富山ガラス造形研究所へ入学。以降は富山県を拠点とし、夏季に山小屋で働きながら制作活動を続けている。
Instagram@gan_gannmo
生きもののようで、食べもののよう。岩本悠里さんのガラス作品は、無機物ながらどこか有機物のような独特な存在感を放っている。
岩本さんがガラス制作を始めたのは、美術大学生のころ。
「元々はテキスタイルデザインを学びたかったのですが、色に質感を加えられるガラス素材に興味をもち始めて、大学2年のときからガラス専攻に進みました」
生きもののように奔放なガラス素材に、自然のなかで得た感性を吹き込む
フィンランド人作家、オイバ・トイッカ氏の作風に惹かれたことも、岩本さんがガラス専攻を選ぶきっかけになったという。
「ガラスは言うことを聞かないワンパクな素材で、なんとか言うことを聞かせるというのが業界の主流。いっぽう、トイッカのスタイルはその〝元気さ〞を肯定することでした」
大学4年のとき、岩本さんは交換留学でフィンランドへ。引退していたトイッカ氏から直に学ぶことはできなかったが、トレッキングをしながら水や氷の形を観察するなど、現地で多くの学びを得る。そして帰国から一年後、富山ガラス造形研究所へ入学した。
ところで岩本さんは、両親の影響で幼いころから毎年山に登るほどの、生粋の山好き。大学時代から夏のあいだに白馬山荘で働くようになり、卒業して富山県へ移り住んでからも、夏は山小屋勤務、ほかの季節は制作活動というサイクルがルーティンになっている。
岩本さんの作品に温もりを感じられるのは、ガラスのありのままの性質を活かす技法が用いられていることに加え、自身が自然のなかで得た感性が作品に込められているからに違いない。
Yuri Iwamotoの作品ラインナップ
※写真右から紹介
■heart
名前どおり、心臓の形をモチーフにした作品。上にピョンと飛び出しているふたつの大動脈は筒状になっていて、一輪挿しとして使うことも可能。28,600円
■つばさマン
耳のような、翼を真横に広げている謎の生きもの。置物としても成立するが、頭頂部に穴が開いていて、顔全体を小物入れとしても使える。44,000円
※写真右から紹介
■ cloud
山頂に雲がかかっているようすを表現した、ガラスの花瓶。雲を白色ではなく、あえて夜空のような深い紫に着色しているところが魅力的。44,000円
■ mini/twins
とぼけたような表情と大きな耳がチャームポイントの双子の生きもの。顔の部分は少し濁った白色で、光の確度によって見え方が変わる。77,000円
■ sprout
白色のシンプルなガラスの花瓶に、植物をイメージした緑色のガラスがあしらわれたひと品。自然を愛する岩本さんならではの創造性が光る。44,000円
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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