石油ストーブ正しく使えてる?/今月のレシピ【焼き芋】| CAMMOCの「キャンプしてたら防災できた!」#30
キャンモック
- 2024年11月20日
キャンプの道具や知識には、防災に役立つことがたくさんあります。この連載では、防災士資格をもつCAMMOCからアウトドア好きのみなさんへ、もしものときに役立つちょっとしたヒントとアイデアレシピをお届けします。
電気を使わない暖房器具
これからの寒い季節に欠かせない暖房器具。ご家庭や建物内にはエアコンやヒーターなどがありますが、もしもの停電時には電気を使う暖房器具は使えません。そこで、電気を使わない暖房器具「石油ストーブ」があれば、停電時も暖をしのぐことができます。私たちも秋冬キャンプで活用しています。
とはいえ、誤った使い方をしてしまうと思わぬ事故につながります。いま一度、ストーブの正しい知識や使い方を確認しておきましょう。
日本の石油ストーブメーカーさんに聞いてみた!
今回は読者の皆さんにより正確な情報をお届けしたいとともに、私たち自身もアップデートしたく、石油ストーブのパイオニア「トヨトミ」の中達(なかだち)さんにお話を伺いました。
CAMMOC:さっそくですが、石油ストーブの誕生秘話を教えてください!
中達さん:トヨトミは創業当時、炭や薪を燃料とする器具が主流であったなか、灯油を使う「石油コンロ」を発売し、いまも災害時はもちろん各地で行なわれている芋煮会などで活躍しています。この石油コンロが元となり、1959年に対流型石油ストーブが開発され、翌年に反射型石油ストーブが誕生しました。
CAMMOC:対流型と反射型とはなんですか?
中達さん:はい、石油ストーブは大きく分けて対流型と反射型の2種類に分類できます。
石油ストーブの種類
対流型
- 全周360度を温めることができる
- 中央設置型、だるま式ストーブとも呼ばれる
- 壁から距離をとり、部屋の真ん中に設置する
- 本体と灯油タンクが一体になっている
反射型
- 反射板により正面に温かさを集中させることができる
- 輻射式とも呼ばれる
- 本体背面は熱くならないため、壁際に設置可能
- 本体と灯油タンクが別になっている
CAMMOC:どちらのほうが暖かいなどはありますか?
中達さん:どちらか、というよりも「暖房出力」の数値が大きいものが早くあたたまります。暖房出力というのは、車で例えるとエンジンのようなもの。製品名にある数字がそれを表しており、対流型は2.5〜6.7kW、反射型は2.3〜3.6kWまであります。
「KS-67H」暖房出力6.66kW
「RL-25N」暖房出力2.50kW〜1.25kW
CAMMOC:対流型のほうが暖房出力の大きいタイプがあるんですね。
中達さん:そうですね、暖房目安としては、製品名の数値が大きい67であれば木造(戸建)17畳、コンクリート(集合)24畳までとなっており、どのメーカーもおなじ表記基準です。
石油ストーブを購入するときのポイント
- 使う部屋の造りと広さ
- 石油ストーブの暖房出力
中達さん:ちなみに、防災視点で考えると、例えば20畳以上のリビングのお家で、非常時もそのスペースをいつも通りすべてあたためようとするのはナンセンスです。あたためる部屋を7畳程の寝室などに限定すると、灯油の消費量を抑えられます。
CAMMOC:なるほど!就寝中の地震に備えて、寝室をいちばん安全な場所にしているので、在宅避難となったらその部屋だけでもあたたかく難をしのげたらいいですね。
そう思うと日頃も大きいストーブですべての部屋を温めようとせずに、コンパクトなものを使うと経済的だし、さらにコンパクトなほうがキャンプにも持って行きやすいです。
中達さん:近年、キャンプで石油ストーブをご愛用いただく方が増えたことから、テント内でご使用いただく際のチェックシートをつくりました。
使用中の注意
- 出入り口を必ず1時間に1~2回(1~2分)換気してください
- テント内では通気口を2箇所以上開けて充分に換気してください
- フロアシートは取り外してください
- 可燃物とは距離を離してください
- テント内で使用する際は、製品の取扱説明書をよくお読みのうえ正しくお使いください
- テント内取扱注意書はこちらからダウンロードしてください
CAMMOC:ちなみに、4〜6人のファミリーテントだと約6畳と考えて石油ストーブを選べばよいですよね?
中達さん:いえいえ、暖房目安は木造やコンクリートなど一般住宅を想定しているので、おなじ広さのテントに対応するとは限りません。
CAMMOC:……たしかに!勘違いしていました。
中達さん:石油ストーブは屋内専用なので、屋外などで風の影響をうけると異常燃焼するおそれがあります。落ちてきた枯れ葉に引火するおそれもあるため、風のあたる場所やテント外はもちろん屋内でも風のあたる場所などでは使用禁止です。
石油ストーブは対震時に自動で止まる安全装置はついていますが、酸欠時に消えるという機能はありませんので、使用上の注意をよく読み安全にお使いください。
CAMMOC:私は対流型のレインボーストーブを愛用していて、天板にケトルや鍋を置いてお湯を沸かしたりすることがあるのですが、その際の注意点はありますか?
中達さん:本体の幅よりも大きい鍋はNGです。あと、調理のふきこぼれなどが故障の原因になることもあるので、中身を入れすぎないように、調理中は目を離さないように注意しましょう。
CAMMOC:車やキャリーカートなどでの運搬時の注意点はありますか?
中達さん:運搬時に灯油がこぼれないように、タンク内の灯油は抜いてください。灯油抜き用のスポイトはホームセンターなどで売っていますよ。
さらに大きめのケースに入れたり、転倒しないように固定するなど工夫していただくとより安心です。
CAMMOC:最後に、去年の灯油が残っているのですが、もう使えないでしょうか?
中達さん:はい、灯油も生ものですので一見透明で変化がなさそうでも、昨シーズンより持ち越した灯油は使わないでください。
シーズン終わりには、自然消火するまで燃やし切っていただき、から焼をしてから保管してください。
CAMMOC:中達さん、ありがとうございました!
私たち自身、恥ずかしながら勘違いをしていた情報もありとても勉強になりました。みなさんもチェックシートや取扱説明書をよく読んでから安全にお使いください。石油ストーブの暖かさで寒い季節も乗り越えましょう。
今月のレシピ【焼き芋】
石油ストーブは天板の熱を利用して、お湯を沸かしたり、調理に使ったりすることができます。石油ストーブで暖まりながら、じっくり時間をかけて焼いた焼き芋はとびきり甘くて至福の味!ぜひお試しください。
材料
サツマイモ…1本
新聞紙…1枚
アルミホイル…適量
バター…お好みで
作り方
① サツマイモをよく洗う。
② サツマイモを新聞紙で包み、水で全体をぬらし、アルミホイルで2、3重に包む。
③ ストーブの上に置き、たまに転がしながら30分〜1時間ほど焼く。良い香りがしてきたら出来上がりの合図。軍手で触ってみて、柔らかくなったら完成。
サツマイモの大きさによって焼き時間が変わります。バターをのせて食べるのがお気に入り!
クリエイターズユニット
CAMMOC(キャンモック)
左から、三沢真実、三宅香菜子、内舘綾子
「キャンプのある暮らし」
HP:https://cammoc.com
Instagram:www.instagram.com/cammoc
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PROFILE
キャンモック
「キャンプのある暮らし」をコンセプトに空間やフードのコーディネート、キャンプ撮影の監修、防災講演など、多数メディアで活躍するクリエイターズユニット。無理なく無駄なく楽しくできる「SDGs防災キャンプ」を提唱。 https://cammoc.com/
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