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自然との共存を考える時間:「Leave No Trace」を学んで|アウトドアタウンときがわで里山遊び#22

「アウトドアといえば、ときがわを思い浮かべるような”アウトドアタウン”にしたい!」。そんな思いを抱き、地元の人を巻き込みながら日々さまざまな活動を行なう、野あそび夫婦のアオさんこと青木達也さんが、ときがわの自然の楽しみ方や、そこで暮らす魅力的な人たちなどを紹介します。

自然との共存を考える時間:「Leave No Trace」を学んで

「自然をそのままに残すって、どういうことだと思う?」講座の冒頭、そんな問いかけが投げかけられた。これはアメリカ発祥の「Leave No Trace(リーブノートレース)」(以下LNT)という、自然環境を尊重し、痕跡を残さない行動を目指す7つの原則を提唱する団体が実施しているプログラムの中での一幕だ。先日、とあるきっかけでこの講座を受けることになった。

LNTの講座は、ただ話を聞くだけの座学では終わらない。事前に「原則」を読み込んで、自分で授業内容を組み立て、実際に30分間、先生役として講座を実施する。そしてその後、LNTインストラクターからフィードバックを受けるという実践的な構成になっている。どんなふうに原則を体験的に伝えるか、参加者それぞれのアイデアが詰まった講座のアイデアはどれも刺激的だった。

たとえば「見たものはそのままに」という原則を体感するためのアクティビティでは、①3つのチームに分かれてトレッキングコースに見立てた道で石を持ち寄り、好きな場所に積み上げる。②完成したケルン(石の塔)を思い出に残すために写真を撮る、という流れが行われた。この行為そのものは楽しいし、つい夢中になってしまう。でもその後、「石を移動させたことで何が起きると思う?」という質問が投げかけられたとき、一気に視点が変わった。石の裏に潜んでいた生き物たち、石があった場所の水の流れへの影響、そして人工的に積まれた石を見た人が感じる違和感。些細に見える行動も、環境や他の人々にどんな影響を及ぼしているのかが見えてくる。積んだケルンを見返すと、自然の中に放たれる違和感がじわじわと心に残る。

「じゃあ、自然に何もしちゃいけないのか?」という疑問も当然出てくる。でも、全部ダメ!では堅苦しいし、それは本質的な解決にはならない。大事なのは、自然との関わり方をどう選び取るか、適切な行動を見極める柔軟さだ。焚き火の跡をどう残さないか、野外トイレの痕跡をどう処理するか。工夫と知識を重ねることで、自然と人との関係を適切に保つことができる。

今回の1泊2日の講習を経て、NONIWAはLNTの所属団体となった。この考え方を広めていくために、まずは近くの学校や施設でワークショップを実施していければと考えている。自然との距離が近い里山だからこそ、この考え方をより知る意味があると思う。参加者といっしょに学びながら、未来に繋がる自然との関わり方を模索してみたい。

※写真はインストラクターの小口良平さんより提供

■Profile|青木達也(アオ)
レンタル・レクチャー付きでキャンプ体験ができる施設「キャンプ民泊NONIWA」と、暮らしとアウトドアをテーマにしたお店「GRID」を埼玉県ときがわ町で運営。「野あそび夫婦」という夫婦ユニットでキャンプインストラクターとしても活動。監修「ソロキャンプ大事典」。

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PROFILE

青木達也(アオ)

ランドネ / NONIWA

青木達也(アオ)

レンタル・レクチャー付きでキャンプ体験ができる施設「キャンプ民泊NONIWA」と、暮らしとアウトドアをテーマにしたお店「GRID」を埼玉県ときがわ町で運営。「野あそび夫婦」という夫婦ユニットでキャンプインストラクターとしても活動。監修「ソロキャンプ大事典」。 https://noniwa.jp/

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