BROOKS/CHARIOT(ブルックス/チャリオット)1982|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年11月17日
激動の’80年代初頭に技術の粋を結集し、業界随一の機能性を発揮した
「ランナーズワールド」誌でトップレベルの評価を獲得
1970年代はジョギングブームのおかげもあって、アメリカを中心にランニングシューズマーケットは毎年のように拡大を続けていった。そんな成長を続けていたマーケットも’80年代に入ると陰りを見せるようになる。それはランニングによる障害が問題となったり、エアロビクスを始めとしたフィットネスアクティビティに注目が集まり、多くの女性ランナーが、ただ単に走るランニングよりも、音楽にあわせて楽しくカラダを動かすことでフィットネス効果のあるこれらアクティビティのほうに興味を示したからである。
そんな時代背景のなかで、スポーツシューズブランド各社はランナーが安全に快適に走ることのできるシューズづくりを目指した。そうしたなかでリリースされたのがサッカニーのジャズ、ニューバランスのM990、そしてブルックスのチャリオットであった。
ブルックスは、1970年代にヴァンテージやビラノバといったシューズが全米のランナーから高い評価を受け、ランニングカテゴリーの機能面をリードするブランドとして知られていた。ランナーのバイブルとして高い信頼を築くことに成功していた、ランニング専門誌「ランナーズワールド」のシューズレビューにおいても、トップレベルの評価を獲得していた。
シックなカラーリングと比類なき高機能を融合
そんなブランドがランナーの足の保護性と時代の変化を踏まえて開発したのがチャリオットだった。従来のランニングシューズがアスレチックカラーと呼ばれるブルーやレッド、イエローといった発色の良い派手なカラーリングを組み合わせていたのに対し、チャリオットのカラーはシックなグレー。同時期に登場したニューバランスのM990もグレーのアッパーカラーを採用していたように、’80年代に入って都会派のランナーは派手なカラーリングよりも街に溶け込むようなカラーを好むというリサーチから、このチャリオットを始めとして’80年代初期のランニングシューズは落ち着いたカラーリングが主流となっていった。
そしてチャリオットで忘れてはいけないのが、その機能性の高さ。着地時の過度な脚の倒れこみ、オーバープローネーションをコントロールするダイアゴナルロールバーをミッドソールに配置し、クッショニング性能を高める3層構造インソールを採用するなど、それまで履いていたシューズでは脚部に痛みを訴えていたランナーも、「このシューズに履き替えたら、長時間走ってもヒザや足首が痛くならない!」ということが珍しくなかったという。
そんな走行性能に優れたチャリオットは日本市場にも紹介され、多くのランナーを魅了したが、’80年代中期以降、アメリカとはまったく異なったマーケットで注目されることとなる。それがウォーキング用途として大ヒットしたこと。チャリオットが誇る安定性の高さ、優れたクッション性とフィット感が中高年ユーザーから支持され、’80年代後期から’90年代初頭にはウォーキングシューズのセールスランキングの上位を、リーボックのフィットネスウォーカー、アシックスのぺダラなどと争うこととなったのである。
とくに人気となったのが淡いパープルカラーのウイメンズモデル。あまりにウォーキングシューズとしてヒットしたので、当時はオリジナルのチャリオットがランニングシューズとしてリリースされたことを知らない百貨店の店員も少なくなかったほどである。
column
1982年に登場したオリジナルのグレーカラー以外に、豊富なカラーバリエーションがラインアップされている。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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