On/Cloudsurfer(オン/クラウドサーファー)2013|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年02月06日
自然な着地感と力強い蹴り出しを絶妙にミックス!
他ブランドにはない走り心地でランナーを魅了
日本には「百聞は一見に如かず」ということわざがあるが、欧米にも似たような言葉でSeeing is believingというフレーズがある。文字どおり「見ることは信じること」。すなわち、実際に見てみるまでは信用できないという意味だ。そして、’60年代にスイスからカリフォルニアに移住した兄弟が創業したスポーツブランドのK・SWISSは、’90年代初頭にWearing is believingというキャッチコピーを雑誌広告などで使用した。日本語に意訳すれば「履けばわかるさ!」という感じになるだろうか。そしてK・SWISSがこのコピーを使用してから20年が経過した2010年、スイスに本拠地を置くスポーツシューズブランドが誕生する。それがオンである。
このブランドはデュアスロンのワールドチャンピオンに数回輝き、アイアンマンレースでも6回優勝したスイス出身の世界的なトライアスリートであったオリヴィエ・ベルンハルド、そして彼の友人であるキャスパー・コペッティ、デビッド・アレマンの3人が、完璧なランニングシューズを開発すべく創設した。現役時代に慢性的なアキレス腱炎に悩まされていたオリヴィエは、ほとんどすべてのブランドのランニングシューズを試したが、本当の意味で納得できるプロダクトは存在しなかった。
そして彼は自らシューズ開発を決意。前述のとおり、彼の元に2人の友人が結集したのである。幸運だったのは、オリヴィエにはチューリッヒ工科大学に勤めるエンジニアの知り合いがおり、彼も同じ考えをもっていたこと。最初は庭に水を撒くホースを輪切りにしてアウトソールに貼り付けるなどの試行錯誤を重ねながら、のちに独自のクッショニングテクノロジーが完成する。それがクラウドテックである。
履けば実感! 個性以上の快適性でシェア拡大
ラバーをチューブ状に成形して空洞を持たせるというアイディアは、視覚的にもインパクト充分。しかしながらスポーツシューズブランドでプロダクト担当として勤務していた筆者は、最初にオンのシューズを見たとき、「ラバーを筒状に成形してアウトソール部分に配置しただけでは、十分なクッション性は得られないのでは?」と思った。スポーツシューズブランドでは、数々の特殊素材がすでに使用されていたからだ。
しかしながら2013年、オンが日本にも上陸し、主力品番のクラウドサーファーを試す機会があり、実際に走ってみると、彼らが標榜する「ソフトな着地感と力強い蹴り出し」が確保されており、本当に快適に走ることができたのである。そしてオンは、毎シーズン機能性の向上とラインアップの拡充を図ることにより、世界各国のランニングシューズマーケットで確固たるポジションを獲得。とくにヨーロッパにおいては、ドイツをはじめトップ5に入る国もあるなど、急速にシェアを拡大している。
筆者は2015年のニューヨークシティマラソンを走っているが、そのときのエクスポ会場にあったオンのブースでスタッフから聞いた言葉が印象的だった。それは「最初は奇抜な見た目に驚くんだけど、とにかく履かせたらこっちのもんだよ。履けばオンの快適性や走りやすさを体感できるからね!」と言っていたこと。オンのランニングシューズは、まさにWearing is believingを体現しているのだ。
column
オンのクラウドフラッシュ。リオ五輪の女子トライアスロン競技で銀メダルを獲得したニコラ・スピリグは、このモデルのプロトタイプを履いていた。
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