new balance/M320(ニューバランス/M320)1976|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年12月11日
ニューバランスの技術力をランナーに知らしめた!
比類なき屈曲性をランナーに提供した名作
現在はスポーツシューズブランドとして確固たるポジションを築いているニューバランスだが、1906年にマサチューセッツ州ボストンで創業した当時は、偏平足やハイアーチを治すアーチサポートやインソール、矯正靴のメーカーであった。1938年に初のランニングシューズを製造したが、あくまでオーダーメイドであり、同社が本格的にスポーツシューズ製造に参入したのは’60年代に入って、足長だけでなく足囲(ウィズ)のサイズも選択可能なトラックスターを発表したことに遡る。
1972年、ジェームス・S・デービス現ニューバランス アスレチックス会長が、その当時は日産36足、従業員6名だった同社を買収したことによりスポーツシューズ生産に特化。それ以降、ランニングシューズマーケットにおけるニューバランスの快進撃が始まる。そして1976年に同社の機能性の高さをランナーに知らしめる1足が正式リリースされることとなった。それがのちに「M320」と呼ばれる「ニューバランス 320」である。
ナイロンとスエードのコンビネーションアッパーに、オンロードにおいて優れたグリップ性を発揮するヘリンボーンアウトソールを組み合わせたこのモデルを一躍有名にしたのは、前足部には靴ひもを通すレースホールがなく、中足部のみにシューレースを配したインステップレーシングを採用したこと。この構造は足首とカカトをしっかりホールドしつつ、前足部は高い屈曲性をランナーに提供するフィッティングテクノロジーであった。
お馴染みの「N」ロゴはもともとは付いていなかった!
また、正式発売の前年、1975年9月28日に行われた第6回ニューヨークシティマラソンにおいて、トム・フレミング(アメリカ)が2時間19分27秒でゴールし、1973年の第4回に続いて優勝を飾ったが、彼が開発されたばかりのニューバランス 320を履いていたことも、このプロダクトの優秀性をアピールすることに。さらにはアメリカのランナーから絶大なる信頼を得ていたランニング専門誌「ランナーズワールド」の、1976年10月号のシューズレビュー トレーニングシューズ部門において堂々1位に輝いた。
このように、その高いパフォーマンス性能により、ランニングシューズマーケットで確固たる地位をキープすることに成功したニューバランス 320だが、デビューから1年ほどで大きなスペック変更が行われることになる。それは現在も同ブランドの象徴として親しまれているアッパーサイド部分のNロゴが採用されたこと。このモデルは当初アッパーミッドフット部分にはスエードの補強パーツが配され、そこにNロゴはなく、代わりに2本のラインがくり抜かれていただけであった。
そして1978年には女性の足型を徹底研究することで完成したスリムなラスト(木型)を使用した、女性専用モデルとなるW320も登場。アメリカのランニング市場における女性ランナーの急増にいち早く対応した点はさすがである。正式リリースから40年が経過した2016年、ニューバランスは、いくつかの復刻モデルをリリースすることでM320の生誕40周年を祝った。
column
2016年はM320の生誕40周年ということもあり、いくつかのバリエーションが発表された。写真は「U320」とネーミングされたリミテッドエディションである。
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