saucony/JAZZ(サッカニー/ジャズ)1981|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年10月23日
独自のアウトソールパターンが類まれなグリップ性と推進力を生んだ
厳しい選択眼のランナーも納得の走行性能!
走ることはライフスタイルの一部となり、一過性のブームを超越してランニング人口を毎年のように増やし続けていたアメリカのランニング市場。しかしながら、’80年代を迎えると成長は鈍化し、女性たちはエアロビクスなど、ラン以外のアクティビティにも目を向けるようになっていた。そんな中、ランニングに熱中するランナーたちは走り続けることになんら疑問をもっていなかった。
そんな熱心なランナーたちにとって、1981年と1982年は忘れられない2年になる。なぜならこの2年間がランニングシューズ史上屈指の豊作イヤーとなったからである。このタイミングでリリースされた歴史的なモデルとは、1981年に登場したサッカニーの「ジャズ」、1982年に発表されたニューバランスの「M990」とブルックスの「チャリオット」で、この3モデルは従来のプロダクトから機能性を大きく進化させ、後のランニングシューズの発展に大きく貢献したことで知られている。なかでもサッカニーの「ジャズ」がリリースされた際には、その高いパフォーマンス性能により、ランナーたちから多くの注目を集めたという。
サッカニーは1898年に創立された全米最古のアスレチックブランド。日本では’80年代の途中までサッカニーではなく「ソーコニー」と表記されていたため、古くからのファンはあえてソーコニーと発音する人も少なくない。サッカニーは「ジャズ」の発表以前も機能性の高いシューズを発表していたが、同じアメリカンブランドでもナイキやブルックスあたりと比較すると地味な印象は否めなかった。しかし、ジャズの登場がブランドを大きく飛躍させる大きな転機となったのである。
トータルバランスに優れたサッカニーの看板モデル
このモデルは当時珍しかったネイビーなどシックなカラーリングのアッパーを採用していたが、その優れたフィット感は従来のランニングシューズを大きく凌駕。また三角形のスタッドを敷き詰めたアウトソールパターンは、高いグリップ性とクッション性を発揮するのと同時に、比類なき推進力をランナーに提供することも可能としていたのである。
トータルバランスに優れた「ジャズ」は、同社の看板モデルとなりいくつもの後継モデルがリリースされ、ランナーたちから高い支持を得ることに成功。現在では、初代ジャズに現代風のカラー&マテリアルミックスを加えたモデルが「ジャズ オリジナル」の名で展開されており、世界中のカジュアルシーンで良好なセールスを記録している。
いまはアジア諸国で生産を行っているサッカニーであるが、この当時はメイン州第3の都市であるバンゴーにおいてシューズを生産しており、このジャズもアメリカ国内で製造されていた。ちなみに、当時はナイキもメイン州とニューハンプシャー州に工場を所有していたが、ナイキは’80年代に、サッカニーは’90年代にアメリカ国内での生産を停止しており、現在もアメリカ生産を継続しているのはニューイングランド地方で複数の工場を操業するニューバランスのみとなった。
ちなみに、グレー、ネイビー、バーガンディといったシックなカラーのランニングシューズというとニューバランスの専売特許のように思われがちだが、じつはサッカニーもこれらのカラーを採用したのはかなり早く、ネイビーに関してはサッカニーのほうのイメージを強く抱くスニーカーフリークは少なくない。
column
ジャズは現在ストリートシーンで人気となっており、「ジャズ オリジナル」に加え、薄いミッドソールに変更した、上の「ジャズ ロー プロ」も人気となっている。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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