ルアーの“速さ”を考える【ソルトワールド基礎講座】
SALT WORLD 編集部
- 2020年08月29日
INDEX
人が歩く速さって何?
釣りのハウツー本や雑誌の解説には、「人間が歩く速さで動かす」「速い動きでリアクションバイトを誘う」「じっくり見せてしっかり食わせる」など、ルアーを動かすスピードについての記述が多く見られます。たしかにスピードは大切な要素、ルアーを簡単に見切ってしまうスレッカラシは瞬間的に勝負するほうが騙しやすいし、逆に低水温等で動きの鈍い魚にはスロースピードが有利です。
しかしこの基準が曖昧だと、伝えたい「速さ」がうまく理解してもらえないこともあります。そこで今回は、ルアーアクションの速さを「移動の速さ」と「動き自体の速さ」の二つに分けて考えてみたいと思います。
移動の速さとは、平たく言えばリーリングのスピード
ここで言う移動の速さとは、そのルアーが着水点から足元まで泳いでくる速さです。前述の「人が歩く速さ」は時速約4kmですから、まさにこのことを表しています。ちなみに速い動きが効くのは明るい時間帯や水色が澄んでいる時。夜間や水が濁った海域ではゆっくり動かすのがセオリーです。
またルアーにはそれぞれ、バランスを崩さずに泳ぐ適正スピードがあるので注意も必要。高速巻きに適したルアーは細身でストレートなルアーや、水中抵抗が少ないルアーであることが多いですが、このタイプはスロースピードではあまり良い動きをしないこともあります。逆に低速巻きが得意なルアーは高速になるほど泳ぎが破綻し、最終的には水面から飛び出してしまうことも。個々のルアーの持ち味を活かして使うようにしましょう。
動き自体の速さとは俊敏性のこと
二つ目の瞬間的な速度というのは、その場、その場での動きの俊敏さ。ゆっくり巻いてきたルアーを急激なロッドワークでダッシュさせたり、連続トゥイッチで切れの良い動きを与えたり、要はルアーがその場でクイックに動く速さです。迷っている魚にスイッチを入れ、リアクションバイト(反射食い)を誘う「速さ」はこれに当たります。
「速さ」を組み合わせることで誘いのパターンが広がる
さらにこの2つの「速さ」を組み合わせることで、ルアーは無数の動きを演じます。大きく分ければ、①リーリングもロッドワークもスロー、②リーリングはスローだがロッドワークはクイック、③リーリングもファスト、ロッドワークもクイック、④リーリングは速いがロッドワークはスロー…といった具合。
一例としてジギングの「ハイピッチショートジャーク」は短い距離のなかでジグをクイックに躍らせるテクニックですが、高速でリールを巻き上げてくるわけではありません。また逆に「スローピッチジャーク」はジグの移動速度はゆっくりですが、一回一回のロッドワークはスローとは限りません。ここは是非、押さえておきたいところです。
普段特別に意識はしていなくても、皆さんが何げなくやっているルアーアクションもこのなかのどれかに分類できるはず。ルアーの速さを「移動の速さ」と「その場の速さ」に分けてみると、その本質が見えてくると思います。
SHARE
PROFILE
SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。