宮城県・仙台湾沖のマダイSLJ攻略【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年11月07日
全国各地どこでも誰でも楽しめる手軽さ、そしてゲーム性の高さゆえ、いま最も注目を集める「スーパーライトジギング」。そのブームの牽引役のひとりであるメロン屋工房・永井真人が向かったのは、宮城県仙台湾沖。ターゲットは「マダイ」だ。まったくと言っていいほどに釣れていないという最悪とも言える状況のなか、永井は見事良型を連発させる。その攻略法とは……? 前後編の今回は、ダメ元で挑んだ前編をお送りする。(文中敬称略)
最悪の状況のなかいざ仙台湾へ!
スーパーライトジギングの可能性を探り、全国のフィールドを奔走するメロン屋工房の永井真人。北は青森県平舘海峡から、南は九州、そして地元・静岡県の御前崎や西伊豆など、一年を通して各地を巡っている。
なぜそこまで永井はこの釣りに熱くなるのか? それは単純に「ゲーム性が高く面白いから」と答える。小型のメタルジグはこれまで大型のジグには見向きもしなかった実に多くの種類の魚たちを魅了し、しなやかなロッドと組み合わされたライトなラインはこれまでは不可能とされていたサイズの魚をも難なく釣り上げてしまう。タックルもジグも軽いから、誰でも楽しめる。このスーパーライトジギングのタックルさえあれば、北海道から沖縄まで、全国各地のいろんな魚たちを狙って釣ることができるのだ。面白くないわけがないのである。
そんなスーパーライトジギングの今回のエリアとターゲットは、宮城県仙台湾周辺のマダイと根魚。船は塩竈市越ノ浦の「快星丸」だ。
▲舞台は宮城県仙台湾沖。船は塩竈市越ノ浦の「快星丸」。港のすぐ近くには日本三景の松島があり、根魚狙いでは金華サバで有名な金華山の沖も攻めた。美しい風景と豊かな漁場。最高のロケーションだ。
「今年の春に初めてここを訪れたのですが、メバルが大きくて凄かったんです。そのとき、シーズンになればマダイも面白いという話を聞き、それはぜひ来なければならないと思いました」
釣行は2019年7月末。永井が快星丸・佐藤慎一船長に事前情報を聞いたところ、状況が遅れているとのこと。遅れているといっても、ポツポツと釣れていればまだいい。だが、
「まったくと言っていいほどに釣れていないそうです。釣行をずらしたいぐらいですが、すでに予約も取っているので、ダメ元で行きましょう。マダイがダメでも根魚ならなんとかなると思います。一升瓶サイズのアイナメが出るようです」と永井。相手は海。自然には勝てない。そして、自然だからこそきっと逆もあって欲しい。突然釣れ始めることはある……のか?
ジグセレクトの基準は水深=ウエイト
初日。港に着くと、ちょうど真正面の水平線がインクを流したかのようにマゼンダに染まった。夜明け前の紫がかったブルーの空とのコントラストが実に美しい。このすぐ近くには日本三景のひとつである松島がある。最高の風景が広がっているわけだ。夏の東北だから少しは涼しいのかと思っていたが、ジメッと湿気をたっぷりと含んだ空気が肌にまとわりつく。無風である。
船外機の快星丸は、静かに岸壁を離れる。船が港を離れ沖に出るにしたがい、空気がひんやりとして来た。ここは栄養豊富な親潮の影響を受ける、世界に誇る豊穣の海なのだ。
永井にとっては快星丸を訪れるのは二度目であっても、ここでマダイを狙うのは初めてのこと。どのように攻略しようとしているのか聞いてみた。
「ジグのセレクトですが、ウエイトは水深とイコールのものをまずはセレクトします。水深が30mだったら30g、40mだったら40gといった具合です。これが基準です。それで底が取れなければ重くして、確実に底が取れるウエイトまで増やしていきます」
タックルは、基本的にはジグをキャストする状況ではスピニング、船を立てる状況やドテラ流しでもバーチカルに近い状態ではベイト、と使い分けている。
▲スピニングタックルでジグをキャストするのはなぜか? 広範囲を探る、よりラインに角度を付ける、潮上に投入してジグをナチュラルにアクションさせる……等、その目的は色々ある。
▲ラインに角度を付けることにより、より長くヒットレンジをトレースすることが可能。
ひと流し目。水深は40m前後。船はドテラで流していく。永井はスピニングタックルを手に取った。
佐藤船長によると、ここは浅い瀬がだらだらと続くポイントだという。永井は前出の基準に従い、45gのトリッカー2を結ぶ。このジグは左右非対称で扁平形状となっているため、フォールは比較的スローでアピール強め。ただ巻きでよく動くように設計されている。青森をはじめ各地のマダイに対して効果を上げているジグだ。
▲「トリッカー2」の場合は、基本はただ巻きでOK。これで十分にアピールする。
横方向に広く探るためにジグをキャストする方向を変えながら何度が入れ直していると、いきなりボトム付近で手応えがあった。
引きからしてマダイのようだが、状況が悪いと聞いていただけに半信半疑。だが、途中でそれは確信に変わった。本命だ。しかも、時折ラインも出される。良型に違いない。
状況が悪いと聞いていただけに、この一枚が上がればもはや取材は成立したも同然。永井はいつになく慎重に慎重を重ねてやり取りする。ようやく姿を現したのは、3㎏級の美しい個体。黄金色の朝日に照らされ、濃いオレンジ色に輝く。その背後には、安堵に満ちた永井の笑顔があった。
▲ジグは、マダイ狙いでは今回も「トリッカー2」を主に使用した。とりわけ横方向の攻略に強い。根魚狙いでは定番の「ウィークベイト」MIDとショートをメインで。ドロッパーのダウンサイズ版もテスト中だ。状況に応じてフックのセッティングも変更。一本二本の違いが釣果を大きく左右する。
TACKLE
●永井タックル
ロッド:メロン屋工房・MSJ70LS、65LS、65UL
リール:シマノ・ステラ4000、3000、カルカッタコンクエストCT200PG、カルカッタコンクエスト200PG
ジグ:メロン屋工房・トリッカー2 30、45、55g、ウィークベイトMID30、50g、ウィークベイトショート60g、ドロッパーFS(プロト)
フック:メロン屋工房・アシストフックフィネス LJアシストフックフッ素シングルL、M、Mショート
スプリットリング:メロン屋工房・スプリットリングEX #3、#4
ライン:YGKよつあみ・GソウルスーパージグマンX80.6~0.8号
リーダー:YGKよつあみ・ガリスFCウルトラアブソーバー∞4号
【この記事は2020年2月現在の情報です】
宮城県・仙台湾沖のマダイSLJ攻略【後編】はこちら>>>
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PROFILE
SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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